2-46 隠された力?
意識が浮上する。
懐かしい何かを見ていた気がするが、身についた習慣がそれを振り払う。
重い目をあけてベッドの傍においた腕輪の目覚まし昨日を呼ぶ。
いつもどおりの起床時間であることを確認すると軽く頭を振ってふらふらと洗面台へ向かう。
顔を洗うと裏庭へと向かい、バスターソードを腕輪から取り出して素振りと型の練習をする。
以前は中庭でもしていたが好奇の視線に晒され、人気のない裏庭へと移動した。
少し寮からの距離が遠くなったものの、静かで集中できるのが何よりもの利点だ。
そして今日の日課はいつもどおり終わる・・・・・・・・・はずだった。
「あれ?」
自分の技じゃないような。
そんな疑問を浮かべつつもう一度無意識に放った技を意識的に放つと、再び思案する。
ナニコノワザ
「・・・・・・・・・つまり俺の隠された能力ってことだな!」
なるほど、俺やるじゃねぇか。
もちろん心の底からそう思っているわけじゃないが、考えるのが面倒なギルはそう思うことにした。
なんか知らんけど技が増えた、それでいいと。
日課を終えると汗を流すためにシャワーを浴びる。
そして部屋でバスターソードの簡易的な手入れをしてから部屋を出る。
向かうのはファルの部屋だ。
ファルの部屋はギルの部屋と同じ階に存在しており、またそんなに離れてもいないのですぐにつく。
ノックをすると中から出てきたのはファル・・・・・・・・・じゃなくてジーナ。
「早く座ってくださいうすのろ」
朝一番の挨拶が罵倒のジーナに最早慣れつつあることに嘆きながら既にテーブルに用意されている朝食に手をつける。
ロロは既に食べ終わっており、ファッション雑誌を広げてソファーでゴロゴロしていた。
まるで自室にいるかのような自堕落さだが、ここはファルの部屋だ。
その辺のことを忘れてないかと思いつつギルはキッチンで食器を洗う二人を見つめる。
ファルとジーナ、この二人が怪しいと思っていたのは出会った頃からだった。
何も恋路だけに限ったことではない。
全ての面において怪しいのだ。
もちろんギルは友達だと思っていたので追及はしなかったのだが、もし聞いたとしても彼らは答えなかっただろう。
思えばジーナがロロのことをお姉さまと呼んで慕う『ふり』をし始めたのもあの事件からだった。
ジュノーのモンスター襲撃事件・・・・・・・・・あの日何があったかは知らないが、二人の間で何かが決定的に変わったのは確かだ。
二人は自分のことをまだ何も気付いていないと思っているようだが実際は色々なことに気付いている。
つうかあれだ。
こいつら、同棲しといて隠す気ゼロだもんな。
いつファルの部屋いってもジーナいるし。
・・・・・・・・・ロロは何故か気付いてないけど。
「やれやれ」
それでも普段二人から甘い空気が一切流れないのは何か事情があるのだろう。
本音はその事情を聞いてどうにかしてあげたいのだが、ファルはともかくジーナはそういうのを何より嫌うだろう。
ならば親友として出来るのは見守ることだけだ。
「さぁ逝くでがんす」
「食らいなさい!」
「いやでござる!見守るだけでござる!」
「何とち狂ってんですか!?」
いやいやいやいやジーナさん!?
模擬戦で銃使うってなんなんですか!?
なんなんですか!?
「死ぬ!絶対死ぬ!当たったら死ぬ!」
「大丈夫ですよ。模擬弾ですから。当たっても死ぬほど痛いだけです」
「だけ、ってなんだ!?十分じゃないか!」
今行われているのはギルとジーナの模擬戦。
平原に書かれたサークルの中のみで動き回り、相手に有効打を与えたほうの勝ちだ。
ギルは手にもった木刀で飛んでくるゴム弾を打ち払い、そして避ける。
一方ジーナはギルを近づけまいとここぞとばかり嫌らしい位置にゴム弾をばらまいている。
普通木刀で防ぐ場合最も弾きにくい場所は下段と上段だ。
というのも人間が木刀を持つとその性質上正面が最も振りやすい。
もちろん下段と上段にも振れるが真正面程振りやすくはない。
しかし防御しにくいというだけで回避という面なら一番楽でもある。
が、ギルは回避より防御のほうが得意なのでつい弾いてしまうのだが・・・・・・・・・それが現在の状況を作り出していた。
「ちぃっ!」
執拗に足元を狙ってばらまかれるゴム弾。
たまに跳弾で予測もつかない軌跡を描き、足にもいくつか被弾している。
・・・・・・・・・めちゃくちゃ痛いのと、いつ男の弱点に当たるかで凄く怖いんですが。
リロードの合間にも近寄ろうとするが、危なくなると腕輪から予備の銃を取り出して連射する。
「これ・・・・・・・・・卑怯じゃねぇのか!?」
「あら、なんのことでしょうか?」
「だいたいあと何発あるんだよ!?」
「私の弾丸は108式まであります」
「どういう意味で!?」
「隙あり」
しまった!
そう思う間もなく弾丸を弾いたままの体勢で硬直してしまう。
そしてジーナの手に持つ銃口はギルの頭に向けられる。
ゴム弾でも頭に当たると宣言通り死ぬほど痛いんですが!?
交わったジーナとの視線でそう目で訴えかけるが、帰って来た言葉は
「大丈夫ですよ。死にはしませんから」
・・・・・・・・・。
本気でやばい、明日はニノ&ナノのライブなのだ。
頭に直撃なんてしたら間違いなく昏睡する。
明日起きられるかは謎であるが、そんな賭けはしたくない。
「うおおおおおお!」
「はい?」
崩れた体勢を立て直そうとする力を抜き、木刀を思いっきり地面に突き刺す。
そのままの勢いで一回転。
頬をかすめる弾丸を感じながら何も考えることなくジーナの下へと走り出す。
次いで2発目、3発目と今度は確実に当て、足を止めるために胴に向かって弾丸が放たれるが足を止めないで
「っ!?」
弾丸を切り裂いた。
驚愕に足を止めたジーナに構うことなく手に持たれた銃にむかって一閃。
そのまま木刀を反すことなくジーナの喉下へと突きつける。
「・・・・・・・・・降参です」
その頃ファルはロロの蹴りをかわしながら今のギルの動きを見て驚いていた。
あの動きは・・・・・・・・・いや、あの技は間違いなく彼の技。
初代プロンテラ王、ロズウェルが使っていた武器を問わない確実に斬る為の技。
なんで彼がそんな技を?
そう思案するがその答えを出す前に
「いい加減食らいなさいっ!」
「へ?げっぽるぁ!?」
ロロの足技によって意識を刈られた。
懐かしい何かを見ていた気がするが、身についた習慣がそれを振り払う。
重い目をあけてベッドの傍においた腕輪の目覚まし昨日を呼ぶ。
いつもどおりの起床時間であることを確認すると軽く頭を振ってふらふらと洗面台へ向かう。
顔を洗うと裏庭へと向かい、バスターソードを腕輪から取り出して素振りと型の練習をする。
以前は中庭でもしていたが好奇の視線に晒され、人気のない裏庭へと移動した。
少し寮からの距離が遠くなったものの、静かで集中できるのが何よりもの利点だ。
そして今日の日課はいつもどおり終わる・・・・・・・・・はずだった。
「あれ?」
自分の技じゃないような。
そんな疑問を浮かべつつもう一度無意識に放った技を意識的に放つと、再び思案する。
ナニコノワザ
「・・・・・・・・・つまり俺の隠された能力ってことだな!」
なるほど、俺やるじゃねぇか。
もちろん心の底からそう思っているわけじゃないが、考えるのが面倒なギルはそう思うことにした。
なんか知らんけど技が増えた、それでいいと。
日課を終えると汗を流すためにシャワーを浴びる。
そして部屋でバスターソードの簡易的な手入れをしてから部屋を出る。
向かうのはファルの部屋だ。
ファルの部屋はギルの部屋と同じ階に存在しており、またそんなに離れてもいないのですぐにつく。
ノックをすると中から出てきたのはファル・・・・・・・・・じゃなくてジーナ。
「早く座ってくださいうすのろ」
朝一番の挨拶が罵倒のジーナに最早慣れつつあることに嘆きながら既にテーブルに用意されている朝食に手をつける。
ロロは既に食べ終わっており、ファッション雑誌を広げてソファーでゴロゴロしていた。
まるで自室にいるかのような自堕落さだが、ここはファルの部屋だ。
その辺のことを忘れてないかと思いつつギルはキッチンで食器を洗う二人を見つめる。
ファルとジーナ、この二人が怪しいと思っていたのは出会った頃からだった。
何も恋路だけに限ったことではない。
全ての面において怪しいのだ。
もちろんギルは友達だと思っていたので追及はしなかったのだが、もし聞いたとしても彼らは答えなかっただろう。
思えばジーナがロロのことをお姉さまと呼んで慕う『ふり』をし始めたのもあの事件からだった。
ジュノーのモンスター襲撃事件・・・・・・・・・あの日何があったかは知らないが、二人の間で何かが決定的に変わったのは確かだ。
二人は自分のことをまだ何も気付いていないと思っているようだが実際は色々なことに気付いている。
つうかあれだ。
こいつら、同棲しといて隠す気ゼロだもんな。
いつファルの部屋いってもジーナいるし。
・・・・・・・・・ロロは何故か気付いてないけど。
「やれやれ」
それでも普段二人から甘い空気が一切流れないのは何か事情があるのだろう。
本音はその事情を聞いてどうにかしてあげたいのだが、ファルはともかくジーナはそういうのを何より嫌うだろう。
ならば親友として出来るのは見守ることだけだ。
「さぁ逝くでがんす」
「食らいなさい!」
「いやでござる!見守るだけでござる!」
「何とち狂ってんですか!?」
いやいやいやいやジーナさん!?
模擬戦で銃使うってなんなんですか!?
なんなんですか!?
「死ぬ!絶対死ぬ!当たったら死ぬ!」
「大丈夫ですよ。模擬弾ですから。当たっても死ぬほど痛いだけです」
「だけ、ってなんだ!?十分じゃないか!」
今行われているのはギルとジーナの模擬戦。
平原に書かれたサークルの中のみで動き回り、相手に有効打を与えたほうの勝ちだ。
ギルは手にもった木刀で飛んでくるゴム弾を打ち払い、そして避ける。
一方ジーナはギルを近づけまいとここぞとばかり嫌らしい位置にゴム弾をばらまいている。
普通木刀で防ぐ場合最も弾きにくい場所は下段と上段だ。
というのも人間が木刀を持つとその性質上正面が最も振りやすい。
もちろん下段と上段にも振れるが真正面程振りやすくはない。
しかし防御しにくいというだけで回避という面なら一番楽でもある。
が、ギルは回避より防御のほうが得意なのでつい弾いてしまうのだが・・・・・・・・・それが現在の状況を作り出していた。
「ちぃっ!」
執拗に足元を狙ってばらまかれるゴム弾。
たまに跳弾で予測もつかない軌跡を描き、足にもいくつか被弾している。
・・・・・・・・・めちゃくちゃ痛いのと、いつ男の弱点に当たるかで凄く怖いんですが。
リロードの合間にも近寄ろうとするが、危なくなると腕輪から予備の銃を取り出して連射する。
「これ・・・・・・・・・卑怯じゃねぇのか!?」
「あら、なんのことでしょうか?」
「だいたいあと何発あるんだよ!?」
「私の弾丸は108式まであります」
「どういう意味で!?」
「隙あり」
しまった!
そう思う間もなく弾丸を弾いたままの体勢で硬直してしまう。
そしてジーナの手に持つ銃口はギルの頭に向けられる。
ゴム弾でも頭に当たると宣言通り死ぬほど痛いんですが!?
交わったジーナとの視線でそう目で訴えかけるが、帰って来た言葉は
「大丈夫ですよ。死にはしませんから」
・・・・・・・・・。
本気でやばい、明日はニノ&ナノのライブなのだ。
頭に直撃なんてしたら間違いなく昏睡する。
明日起きられるかは謎であるが、そんな賭けはしたくない。
「うおおおおおお!」
「はい?」
崩れた体勢を立て直そうとする力を抜き、木刀を思いっきり地面に突き刺す。
そのままの勢いで一回転。
頬をかすめる弾丸を感じながら何も考えることなくジーナの下へと走り出す。
次いで2発目、3発目と今度は確実に当て、足を止めるために胴に向かって弾丸が放たれるが足を止めないで
「っ!?」
弾丸を切り裂いた。
驚愕に足を止めたジーナに構うことなく手に持たれた銃にむかって一閃。
そのまま木刀を反すことなくジーナの喉下へと突きつける。
「・・・・・・・・・降参です」
その頃ファルはロロの蹴りをかわしながら今のギルの動きを見て驚いていた。
あの動きは・・・・・・・・・いや、あの技は間違いなく彼の技。
初代プロンテラ王、ロズウェルが使っていた武器を問わない確実に斬る為の技。
なんで彼がそんな技を?
そう思案するがその答えを出す前に
「いい加減食らいなさいっ!」
「へ?げっぽるぁ!?」
ロロの足技によって意識を刈られた。
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