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1-4 歴史

「・・・・・・・・・でかいな」

「・・・・・・・・・でかいわね」

まるで城だと言わんばかりにそびえ立つ建物──これでも一応寮らしい──に唖然とするギルとロロ。
寮は丘の上に立っており、そこに辿る道は一本の坂を上るか崖を上るかだけのようだ。

「でもここってプロンテラから少し離れてるよな?」

プロンテラの王城を抜けたところにある巨大な城。
そこは確かにプロンテラの敷地内ではなく、王城の敷地と言うに離れすぎている。

「お前ら、さっきも思ったが入学パンフはちゃんと見たのか?」

「え、何それ?」

「そんなのあったかしら?」

「・・・・・・・・・もういい」

この二人の幼馴染をやっていると日課になってしまう溜息を吐いてからファルは説明を始めた。

「ここは昔、ギルド同士が権利をかけて取り合っていた城なんだ」

「何の権利よ?」

「王からの仕事の優先だったり防衛隊長だったり・・・・・・・優遇措置だね」

へぇー、へぇー、へぇー、と何かを押すような動作をしつつギルは相槌をうつ。
この様子だと本当に何も知らないようだ。

「もっとも、今じゃその行事はなくなって5つあった城も1つになったけどね」

「なんでだ?行事楽しいじゃん」

「・・・・・・・・・・楽しい行事ならね」

丘を登る最中にポツリと呟いたファルの言葉に首を傾げるギルとロロ。
彼の言い方ではまるで楽しくない行事にしか聞こえなかった。
しかし、真実はそれで合っている。

「実際はただの殺し合いだったらしい」

「「・・・・・・・・・」」

「この行事の為に強くなる冒険者が大勢いたから王も黙認してたんだけど・・・・・・・・・そうも言ってられない状況になった」

「どういうことだ?」

「分かっているだろ?数十年前に比べて、人間は明らかに劣勢になった。
 今でこそ復興しているが一度滅ぼされたモロクとイズルート。
 そして地図から消えた町リヒタルゼン、ベインス、フィゲル。
 冒険者の数も年々減ってきているし・・・・・・・・・特級認定されたモンスターも確認されている」

「・・・・・・・・・バフォメットか」

苦々しく呟いたその言葉にロロは怪訝そうな顔をした。
しかしそれは一瞬でファルとギルは気付かない。

「ねぇ、イズルート以外の都市は何で攻撃を受けたの?当時、今より冒険者は多くいたんじゃないの?」

「僕は歴史の講師じゃないんだけど・・・・・・・・・。
 どうも多くが特級モンスターが混じっていたという話なんだ。
 モロクにはその都市が名前を持つキッカケとなったモンスター、モロクが。
 ベインスには特級モンスターが確認されたらしいけど、その名前が報告される前に壊滅したらしい。
 制圧されるのに一時間とかからなかったと聞いているから、よほど力を持っているのかもしれないね。
 あとはリヒタルゼンだけど・・・・・・・・・どうもこれは色々な憶測が交じり合っているんだ」

「例えば?」

「冒険者が反旗を翻した。いや、それは確かにモンスターだった。
 ・・・・・・・・・確かに分かることはその後跡地の血痕を調べたらモンスターの血は一滴もなかったらしい」

「それって人間しかねぇんじゃねぇの?」

「いや、報告ではそう言われてるけど血を出さなくて死んだら痕跡も残さないモンスターも多くいるからね」

一概にはそういえないんだ、そう言ってから言葉を続ける。

「最後にフィゲルだけど・・・・・・・・・何でもヴァルキリーが現れたらしい」

「へ?ヴァルキリーは人間の味方じゃないの?」

「僕に言われても分からん。一応特級モンスター、ランドグリスとして登録されているが・・・・・・・・・
 定義があやふやで倒しても賞金を得られない可能性もある」

「うげぇ・・・・・・・・・何だよそれ」

それこそ伝説級である特級モンスターを倒して何も得られないなんて、意味がない。
相手にするだけ無駄というものだ。

「だけどヴァルキリーのつけている装備は人間の作るそれより遥かに超えているからね。
 お金じゃなくて装備目当てならと狙う人もいるにはいるよ」

しかしいまだに討伐されたというニュースは聞かないので、まだ生きていることは間違いないだろう。

「先生!」

「はい、なんでしょうギル君」

「他に特級モンスターって何がいるんですか?」

ギルがいきなり手をあげて質問したのに対しファルはノリで返した。
そして顎に手をあて、考えると言い放つ。

「ドラキュラとドッペルゲンガー。人間の形を模した悪魔で、ゲフェンの地下にいたらしい」

「・・・・・・・・・デンジャラスな都市だったのね、あそこ」

既にドッペルゲンガーは討伐され、ゲフェンの地下からモンスターは消え去った。

「特級モンスターに認定はされているけど実質討伐が出来ないモンスター、ダークロード。
 記録によると別世界の魔王と自称していたらしいけど、真相は謎だね。
 そして最後にアリの王、マヤ。
 話が分かる奴で、領域に踏み込まなければ襲わないと協定を結んでる」

「いい奴だな」

「だけど入ったが最後、四方八方からアリの大群が押し寄せてきて圧倒的な物量の差に熟練の冒険者でも即死だとか」

「・・・・・・・・・容赦ない奴だな」

一秒で意見を変えたギルだが、ロロも同意見なのか同じような表情をしている。

「これで歴史講座は終わりだ。寮についたぞ」

「・・・・・・・・・なぁ」

「なんだ?」

「ひょっとして毎日この坂を上り下りするのか?」

30分くらいかかったんだが、そう呟いたギルにファルとロロが固まった。
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