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2-36 monster 冒険者

もんもんもん。
そんなもやもやした思いを感じつつも目の前のそれから目を離さない。
というか自分の父親の話だったら俺だって聴く権利あるだろ、今更そう思うが今言ってもとぼけられるだけだろう。
ファルがスオウ先輩に何かを呟く前、あそこが分かれ目だったとギルは感じていた。
・・・・・・・・まてよ?
そんなに有名なら調べればすぐに出てきそ・・・・・・・・・・・

「ギル!ぼーっとしてんじゃないわよ!」

「おっと」

2頭身くらいの、小さく様々な武器をもつゴブリンの攻撃を軽く避けてそのままバスターソードを振りぬく。
敵から目を離さなくても考え事をしていたら意味がない。
ちらりとロロのほうを見るとそこには仮面ごと殴り倒され、ひび割れた仮面や、仮面ごと陥没した頭が雑草のごとく並んでいる。
内臓のほうが破裂しているのか、お腹が妙に膨らんでいるゴブリンも・・・・・・・・・・いや、深く考えまい。

「っは!」

目の前のゴブリンが振りかぶった斧を下ろす前にその手、頭ごと一閃。
僅かな手ごたえと同時にそれらが飛ぶのを見るとさらに踏み込み別のゴブリンを切る。
実際始めての実戦なのだが、ギルはこれを物足りなく感じていた。
身体の作りが頑丈ではなく、元々下級モンスターであるゴブリンは正直ロロのように蹴り飛ばすだけで倒すことが出来る。
それをわざわざ両手剣で斬り飛ばしているのだから、手間と感じるのも無理はないだろう。
言ってしまえば折り紙を刀で切っているようなものなのだ。

パンッ

乾いた音とセットで共にすぐ近くで何かが倒れる音がする。
少し離れた場所にいるジーナの仕業だろうが、何故こっちの敵ばっかり撃っているのだろう。
さっきから流れ弾がこないかヒヤヒヤするのだ・・・・・・・・・

パンッ

「ひぃっ!?」

撃ち損ねたのか、何かが頬を掠めていく感触。
頬を触ってみるとツーッと赤い何かが垂れていた。
恐る恐るジーナのほうを振り向くと、そこには銃身をこちらに向けているジーナさん。
・・・・・・・・・あの?

「ごめんなさい。わざとです」

「ですよねー!・・・・・・・・・って殺す気かぁ!?」

一瞬納得しかけたが、納得したらダメだろこれは。
・・・・・・・・・って、あのぅ?
その傍ででっかい炎弾を貯めている方はなんで手をこっちに向けているんでしょうかファルさん。

『解き放て、赤の衝撃。ファイアーボール』

「って死ぬわまじで!?」

迫ってくる炎の弾に身を投げるようにしてそれを避けるギル。
実際はこんな大げさに避けなくても当たりにいきさえしなければ当たらないルートだったのだが、
炎の弾が迫ってくるのを見て焦らない人間がいるだろうかい、いやいない。
チュドーン、と何かが着弾・・・・・・・・・というか爆音を聞きながら受身をとり、そのまま着地地点にいた相手を大袈裟斬り。
しかし敵のど真ん中に突っ込んでしまったのか、周囲には結構な数のゴブリン。
武器ごと真っ二つにしたのを確認すると、そのまま剣に魔力を流し込み、勢い良く地面に突き刺した

「マグナムブレイク!」

自らを中心に小規模の爆発が置き、ゴブリン達を弾き飛ばす。
爆発が収まった直後に飛び掛ってくるゴブリンがいるが、それにもギルは反応し

「遅い!」

剣を抜き取った反動のまま回し蹴りを放つ。
足に気持ち悪い何かが砕けるような感触が伝わり、顔を顰めるがすぐにバスターソードを振る。
父の教え、相手の動きをよく観察し、敵の攻撃の始点を潰す。
ゴブリンの短刀が浅くこちらを切り裂こうとしたのをバックスッ轍鮒で避け、勢い良く一回転しながらなぎ払い。

「まだまだいける!」






「うへぇ・・・・・・・・・」

可視範囲にいるゴブリンを殲滅し、しばらくの警戒の後にギルは力が抜けたように座り込んだ。
周囲の安全確保から帰ってきたジーナとティアマトはそのままスオウと何か話していた。

「死ぬかと思ったわ・・・・・・・・・」

「お前のせいだろ!」

アレスの一言に全力でギルがつっこんだ。
何故ゴブリンの大群と戦闘することになったのか、それはアレスが原因だ。
周囲を警戒しつつ動いていたギル達だが、突如立ち止まったアレスが叫んだ。

『あの蝶は・・・・・・・・・ハガルや!』
『って、何で走るんだよ!?』
『止まりなさい!』
『ワイはもう誰にも止められんでー!』

後から聞いた話によると、ハガルという蝶はコレクターの間で数十万で取引されているらしい。
だからといってモンスターの大群の中につっこむのはやめていただきたいものだ。
しかもその原因となったアレスはゴブリンから逃げ惑うだけで、役に立たなかった。
スオウは監督の立場から手を出さず、ティアマトは良く分からない。
そういえば見てないな、と思いファルに聞いてみると。

「ティアマト?僕、彼女の戦い見てたけどギルより強かったよ」

「そうなのか?」

「うん。それに熟練者って感じだったし。彼女、僕みたいに資格とらずに冒険してたんじゃないかな?」

冒険者の資格を持っていなくても冒険をすることは可能だ。
もちろん一人なら正規の冒険者のように様々な場所に出入りしたり、
手軽に物品を換金できないのだが、ファルのような事例もある。
例え非正規の冒険者であっても正規の冒険者にくっついていけば問題なく冒険者として振舞えるのだ。
つまりティアマトはそういった非正規の冒険者をやっていたのではないかということだ。

「それに比べて・・・・・・・・・」

ギルがジト目で見ると、アレスは慌てたように言った。

「しゃあないやろ!ワイは元々非戦闘員なんや!」

「じゃあ何で実習来てるんだよ。普通免除じゃねえの?」

「・・・・・・・・・ワイやって意味わからんわ」

ちなみにアレスが目指している冒険者は主にパーティの支援を目的としたものらしい。
パーティの主な換金交渉や補給等が主な役割で、凄腕になるとギルドに雇われたりもするとか。
そんな後方支援担当のはずのアレスが実習に連れてこられている事は学園の不手際としか思えない。
それ以前に出発する前に気付け、とギルは思ったが言わないのは優しさから・・・・・・・・・
というわけではなく、単純に言うのが面倒だっただけだ。

「血ってきもちわりぃな。着替えたくなるな」

「そうね。出来るなら早いところこの服脱ぎたいわ」

得意レンジが近距離なギルとロロは真っ赤に染まった自身の服を見て溜息を吐く。
雨でずぶぬれになった、肌に吸い付く感触はその時のそれに似ているが雨より酷い。
何せ血は水より遥かに粘性があり、ベトベトするのだ。
そういえば、と授業で服から血を抜く魔法の理論を言っていた気がするが・・・・・・・・・今、その理由が良く分かった。

「あら?」

ボーっとスオウとティアマト、ジーナを見ていたロロが疑問の声をあげた。

「あん?どうした?」

「ティアの服、血ついてないわ。・・・・・・・・・なんでかしら?」

「んなわけねぇだ・・・・・・・・・本当だな」

ギルは見ていないがティアマトは剣で戦っていたと聞いている。
ならば返り血を浴びていないのはおかしいはずだが、現にティアマトの服は今朝集まった時と何ら変わらない。

「ちょっと私聞いてくるわ。さすがにいつもこうなるのは耐え難いもの」

「俺にも後で聞かせてくれよ」

「あんたも来るのよ馬鹿!」
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