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2-35 実習初日中編

「この辺からは降りていくよ」

「そうだね。そろそろ彼らの縄張りだ」

監督役の先輩、スオウの言葉にファルが答えるとギル達は荷物を簡単にチェックしてから荷車を降りた。

「ところで戦い方を聞きたいんだけど。特に女の子とか女の子とか女の子とかの」

「正直ですね・・・・・・・・・煩悩とか欲望に」

スオウはどうやらオープンスケベといった部類の人間のようで、たまに顔が崩れているのが今日だけでも数回見れた。
そしてその視線の先には絶対に女性がいるのだ。
実に顔は整っているスオウ先輩であるが、絶対に女性にもててないのは予想できることである。

「あ、そういえば名前そこの二人しか聞いてないね。戦闘スタイルを教えてくれ!電話番号も是非!」

「駄目だこの人。ま、あたいはティアマト。今回はレイピアで戦う予定だよ」

そう言ってレイピアを見せるように抜くティアマト。
スオウはそれを見て頷き「で、お前は?」とギルを見た。

「俺はギル。見ての通りこの剣で・・・・・・・・・」

「ちょっと待ち。ぎる?ひょっとしてギル=ノクトンか?」

ギルの名前に心当たりがあるのか一度ギルのセリフを遮って問い直すスオウ。

「あ、ああ。そうだけど、どうしたんだ?」

「・・・・・・・・。そうか」

「・・・・・・・・・?」

というか何で俺の名前を知ってる、そう聞こうとしたが恐々とスオウはファルに向かって質問をしていた。

「じゃあ君は噂の・・・・・・・・・というかEクラスだから3人の誰かが、か」

「どういう噂かは知らないけど、不正入学したとか女性を複数侍らしているとかそういう噂なら僕のことだね。
 もっともその噂が本当かどうかは別だけどね」

なんでそんなに自分に関する噂を知っている、とアレスとティアマトが驚きの表情を浮かべた。。
普通噂というのは本人に流れないのが普通で、友人経由でそれが伝わることはあれど、Eクラスにいたってそれはない。
何故ならEクラスは王立学園でも特殊な立ち位置に属し、他のクラスとの交流といえるものがないのである。
もっともこの時期ならそれはEクラスに限らず交流は入学式の時のみしか存在しなかったが。
だが元から長い付き合いのギル達はファルが実はプロンテラを牛耳ってたとしても驚かない話であった。
そう彼らが思うのにはとある事件が由来するのだが、それはまた別の話だ。

「あー、私はロロ。一応手甲で戦うわ。支援魔法は初級程度ね」

「わいはアレス。・・・・・・・・・あれ?なんでワイ実習に出てるんやそういえば」

「今更かよ、おい」

「・・・・・・・・・ワイ入学時に後方支援担当って聞かされたはずなんやけど。
 だから間違っても直接戦ったりしない・・・・・・・・・あれ?」

「なるほど。つまり剣は腰にぶら下げているが、素人なのか?」

スオウはペラペラと冊子を確認しつつ何かメモ書き記していく。

「僕はファル。魔法を使える剣士だね」

「私はジーナです。銃を撃ちますので、私の前に立つと危険ですよ」

「大丈夫。俺はむしろ後方に立ってそのスカートの中身を覗きたい」

「・・・・・・・・・私の背後に立つと撃ちますよ?」

さりげなく腕輪に手を置いていつでも銃を取り出せるようにしたジーナに冷や汗を浮かべてスオウは声をあげた。

「まず最初は周囲の安全を確保しつつ水辺で拠点を作る。本格的な実習はそれからだよ。
 さて女の子は俺の後ろについてきな!」

無駄にポーズを決めながら頭に唾つきの帽子をかぶっているかのように手を頭上におくスオウ。
しかし女性陣はそんなスオウを完全に無視してEクラスの面々同士で簡単な陣形を話し合っていた。

「ふっ、俺の格好良さに直視できないってか」

いい加減鬱陶しくなってきたジーナはスオウの耳元──スオウは「フラグきた!」と叫んでいた──でこう囁いた。

「黙っててください○○」

「○○?・・・・・・・・・!?ちょっ・・・・・・・・・それはいくらなんでも酷くない!?」

何を言われたのか、そこには涙目で抗議する男の姿が。

「・・・・・・・・・?ロロ、何言ったのよ?」

「お姉さま、女の子の口からそんな恥ずかしい事言えませんよ」

「いや・・・・・・・・・いいや」

スオウに向かって言ったことを聞こうとしたが、ギルは考えることをやめた。
こちらをチラリと見たジーナの目が怪しく光っていたからだ。
たぶん、喋ったら、酷い目にあう。

「まず最初は拠点を探すか。ファル、どんなところがいいんだ?」

「ゴブリン相手ならベストは洞窟だけど。この辺そんな場所ないだろうし、見晴らしの良い場所かな」

「ちょっと待ちや。見晴らしの良い場所だと奇襲に気付きやすいけど、逆に丸見えやで?」

「だけどこの辺の地形だと・・・・・・・・・」

「あたいはむしろ住家を乗っ取る・・・・・・・・・」

「いえしかしその方法では・・・・・・・・・」

ファルに話しかけたのだが、いきなり話し合いが始まった。
もともとファルが何とかしてくれるだろうと何も考えに聞いたので、その会話に加われるはずもなかった。
仕方ない、一人寂しく

「私、何言ってるのかわらからないわ」

・・・・・・・・・二人寂しく結論が出るのを待っていよう。

「あ、そうだ」

そういえば何で自分の名前を知っていたのか聞かないと。
スオウはちょうどブツブツと虚空を頬を赤く染めながら見つめていた。
都市の中だとうっかり通報してしまいそうなくらいの怪しさだ。

「スオウさん」

「バニーさんがやはり・・・・・・・・・って何か?」

「・・・・・・・・・。何で俺の姓名知ってるんだ?」

「スルーされたな。それはそれでちょっとお兄ちゃん寂しいぞ」

「いやどうでもいいから」

「そうかな?まぁいいか。何で姓名を知ってるか、だっけ?」

コクリと頷くとスオウは首を傾げた。

「むしろ、何で自覚がないのか分からないな。君だって君のお父さんがどんな人物か知らないわけじゃないだろう?」

「・・・・・・・・・そういやそうだった」

「え、その反応。まさか忘れてたの?」

「あ、ああ」

本気で驚いた表情をしたスオウにギルは嫌な汗が額を伝うのを感じた。
たぶん心の中で評価が低くなっていることだろう。

「セタ=ノクトン。23年前、ゲフェンの塔地下の討伐において単独で特級モンスターを倒した冒険者」

「・・・・・・・・・あれ?」

「君は自覚が薄いかもしれないけど、下級生の間じゃEクラスを除いて君のことだいたい皆知ってるよ?」

「いつのまにか有名人!?」

「さらに君は知らないと思うけど、冒険者の間でも結構有名だよきみ?」

「規模がさらに大きくなった!っていやいやいや!そうじゃなくて単独で特級モンスターを倒したって何だよ!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・?え?」

自分が父から聞いた話では、自分以外に二人の人物と倒したと聞いたが・・・・・・・・・。
スオウは何を言っているのか分からないと思った後、まさかの可能性に思い当たって聞いた。

「君、セタ=ノクトンの息子だよね?」

「あ、ああ」

「実の息子だよね?」

「へ?ああ、そうだけど」

「・・・・・・・・・。セタはね・・・・・・・・・・・・」

「待って」

その時、話し合いをしていたはずのファルが急に二人の間に強引に入った。
話を中断されたギルは不満そうに文句を言ったが、ファルはそれを全て無視し、スオウに何かを呟いた。

「・・・・・・・・・。・・・・・・・・・」

「はい?そんなことありえるのん?」

「・・・・・・・・・」

「はいはい。そんなわけでギル=ノクトン!」

話し終えたスオウは大声でギルを呼んだ。
いったい何だ、そう聞く前にスオウは言った

「忘れろ!」

「は?」

「うん、だから忘れてね?」
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