2-33 先輩
トナ校長に引き連れられて向かった場所は学園の敷地、プロンテラとの境界にある正門の前だった。
既にAクラスからDクラスの面々は全員集まっているらしく、それぞれのパーティーで雑談をしていた。
「なぁファル」
「なんだい?」
ギルがその光景を見て一言。
「Eクラスって少なくないか?」
「今頃その疑問!?」
普通に考えると新入生達は水鉄砲でバトルロワイヤルやガルマー先生との勝負である程度顔を見合わせている。
さらに言えば新入生歓迎パーティも機会に入っている。
その事をファルが話すと何かを考えるかのように俯き、ふと顔を上げた。
「そういえばNINO&NANOのサイン色紙どうなったんだ?」
「一体何なのよ突然・・・・・・・・・。というか何今になって思い出してんのよ。馬鹿?」
「ロロっち、あたいらも忘れてたんだから強く言えないんじゃ?」
「・・・・・・・・・そうね」
実際ガルマー先生にフルボッコにされて景品とかどうでもよくなっていたのは確かだ。
だいたい今にして思えばトナ校長とガルマー先生がグルだったのは明白である。
景品にしても本当にあったのかすら疑わしい。
「ワイは欲しかったな・・・・・・・・・色紙」
「あれ?アレスっちも何とかのファンなの?」
「何とかってなんや。NINO&NANOや!」
「はいはい・・・・・・・・・これだからオタクは」
ボソッと小さな声でティアマトは呟き、誰にも聞こえていないことを確認すると再び質問した。
「で、そのファンなの?」
「違うわい。ワイは商人やで?これに変えるんや」
これ、と指を輪っかにし、アレスはニヤリと笑った。
「なんせNINO&NANOは神出鬼没でライブ以外はまったく会えないんや。
おかげで探し出すのに苦労したんやけど・・・・・・・・・」
「ちょっと待ってください。探し出すってなんですか探し出すって」
「・・・・・・・・・。言葉の綾や!決してストーカーとかいうんじゃなくてやな・・・・・・・・・」
「最低だな」
「最低だね」
「最低ね」
「最低ですね」
「最低だよ」
「ぬおおおおおおおおおおおお!」
全員に白い目で見られ、膝を折り両手を後頭部に回して挫折ポーズ。
ふと気が付くとEクラス以外のクラスから妙な視線を感じ、ファルが見るとそこには変人を見る目をした1年生達。
まだ変態を見る目じゃないだけマシだろうかと思考しつつもトナ校長が小さい体をブンブン振り回して
注意をしている姿を見る。
ぶっちゃけた話、誰も聞いていない。
「Aクラスはエルダーウィローだっけ」
「あん?ファル、クラスで狩る対象が違うのか?」
「当たり前ね。全員で狩るなんて大袈裟すぎるわ。別に殲滅運動じゃないのよ?」
そりゃそうだ、とギルは納得。
モンスターとて、生きてるのだ。
殲滅なんてしたら生態系が崩れてしまうのが現実だった。
もっとも現在封鎖されている下水に住んでいる黒いモンスターGの殲滅運動は非常に活発なのだが・・・・・・・・・。
やはり見た目か、見た目なのか。
「君達がEクラスかな?」
「はい?そうですけど・・・・・・・・・貴方、引率の上級生ですか?」
「敬語なんて面倒だからいいよ。・・・・・・・・・女の子にはむしろ罵られたい」
見知らぬ狩人服を着こなし弓を担いでいる金髪の男にファル答えると、ギルが眉を顰める。
ちなみに上級生の男がポツリと呟いた一言は誰にも聞こえなかった。
「上級生、いたのか」
「ええ、実在したのね」
「あんたら、上級生がいたことぐらい、あたいだって知ってたよ?
そもそもこの時期、上級生は遠征で昇級試験やってんのよ」
そうなのかー、とギルとロロが口を揃えて言う姿にティアマトは溜息を吐いた。
この二人はよくも悪くも周りにあまり興味がないらしい。
だからこそ二人は今でも幼馴染でいられるのだろう。
ギルとロロは知らない。
二人が恋人同士という学園中で確信されつつある噂が横行していることを。
「まぁあたいには関係ないけどね」
ティアマトとしてはこの二人がくっつこうがくっつくまいが、自身にはまだ何の関係もない話である。
クラスメイトとしては興味半分なのだが、そんな半端な事で人の恋愛事に首を突っ込む気はない。
むしろ気になるのは───
「スオウさんですか。よろしくお願いします」
「ところで日程だけど、スオウさん良いかな?」
この二人だ。
ファルとジーナ、今もこの二人の関係をティアマトはまったく把握していない。
断言するがこの二人に甘い空気が流れたことは一度もない。
しかし雰囲気はまるで運命共同体と言わんばかりに長年連れ添ったような二人。
むしろ戦友、といったほうが正しいがそれでも何か違和感が残る。
「むー」
「ティアマトはん、どないしたん?」
「うるさい黙れ」
「心配しただけなのに何で罵られるんワイは!?」
既にAクラスからDクラスの面々は全員集まっているらしく、それぞれのパーティーで雑談をしていた。
「なぁファル」
「なんだい?」
ギルがその光景を見て一言。
「Eクラスって少なくないか?」
「今頃その疑問!?」
普通に考えると新入生達は水鉄砲でバトルロワイヤルやガルマー先生との勝負である程度顔を見合わせている。
さらに言えば新入生歓迎パーティも機会に入っている。
その事をファルが話すと何かを考えるかのように俯き、ふと顔を上げた。
「そういえばNINO&NANOのサイン色紙どうなったんだ?」
「一体何なのよ突然・・・・・・・・・。というか何今になって思い出してんのよ。馬鹿?」
「ロロっち、あたいらも忘れてたんだから強く言えないんじゃ?」
「・・・・・・・・・そうね」
実際ガルマー先生にフルボッコにされて景品とかどうでもよくなっていたのは確かだ。
だいたい今にして思えばトナ校長とガルマー先生がグルだったのは明白である。
景品にしても本当にあったのかすら疑わしい。
「ワイは欲しかったな・・・・・・・・・色紙」
「あれ?アレスっちも何とかのファンなの?」
「何とかってなんや。NINO&NANOや!」
「はいはい・・・・・・・・・これだからオタクは」
ボソッと小さな声でティアマトは呟き、誰にも聞こえていないことを確認すると再び質問した。
「で、そのファンなの?」
「違うわい。ワイは商人やで?これに変えるんや」
これ、と指を輪っかにし、アレスはニヤリと笑った。
「なんせNINO&NANOは神出鬼没でライブ以外はまったく会えないんや。
おかげで探し出すのに苦労したんやけど・・・・・・・・・」
「ちょっと待ってください。探し出すってなんですか探し出すって」
「・・・・・・・・・。言葉の綾や!決してストーカーとかいうんじゃなくてやな・・・・・・・・・」
「最低だな」
「最低だね」
「最低ね」
「最低ですね」
「最低だよ」
「ぬおおおおおおおおおおおお!」
全員に白い目で見られ、膝を折り両手を後頭部に回して挫折ポーズ。
ふと気が付くとEクラス以外のクラスから妙な視線を感じ、ファルが見るとそこには変人を見る目をした1年生達。
まだ変態を見る目じゃないだけマシだろうかと思考しつつもトナ校長が小さい体をブンブン振り回して
注意をしている姿を見る。
ぶっちゃけた話、誰も聞いていない。
「Aクラスはエルダーウィローだっけ」
「あん?ファル、クラスで狩る対象が違うのか?」
「当たり前ね。全員で狩るなんて大袈裟すぎるわ。別に殲滅運動じゃないのよ?」
そりゃそうだ、とギルは納得。
モンスターとて、生きてるのだ。
殲滅なんてしたら生態系が崩れてしまうのが現実だった。
もっとも現在封鎖されている下水に住んでいる黒いモンスターGの殲滅運動は非常に活発なのだが・・・・・・・・・。
やはり見た目か、見た目なのか。
「君達がEクラスかな?」
「はい?そうですけど・・・・・・・・・貴方、引率の上級生ですか?」
「敬語なんて面倒だからいいよ。・・・・・・・・・女の子にはむしろ罵られたい」
見知らぬ狩人服を着こなし弓を担いでいる金髪の男にファル答えると、ギルが眉を顰める。
ちなみに上級生の男がポツリと呟いた一言は誰にも聞こえなかった。
「上級生、いたのか」
「ええ、実在したのね」
「あんたら、上級生がいたことぐらい、あたいだって知ってたよ?
そもそもこの時期、上級生は遠征で昇級試験やってんのよ」
そうなのかー、とギルとロロが口を揃えて言う姿にティアマトは溜息を吐いた。
この二人はよくも悪くも周りにあまり興味がないらしい。
だからこそ二人は今でも幼馴染でいられるのだろう。
ギルとロロは知らない。
二人が恋人同士という学園中で確信されつつある噂が横行していることを。
「まぁあたいには関係ないけどね」
ティアマトとしてはこの二人がくっつこうがくっつくまいが、自身にはまだ何の関係もない話である。
クラスメイトとしては興味半分なのだが、そんな半端な事で人の恋愛事に首を突っ込む気はない。
むしろ気になるのは───
「スオウさんですか。よろしくお願いします」
「ところで日程だけど、スオウさん良いかな?」
この二人だ。
ファルとジーナ、今もこの二人の関係をティアマトはまったく把握していない。
断言するがこの二人に甘い空気が流れたことは一度もない。
しかし雰囲気はまるで運命共同体と言わんばかりに長年連れ添ったような二人。
むしろ戦友、といったほうが正しいがそれでも何か違和感が残る。
「むー」
「ティアマトはん、どないしたん?」
「うるさい黙れ」
「心配しただけなのに何で罵られるんワイは!?」
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