2-31 兄とアイドル
墓碑の前で話し合うのも何なので、ということで喫茶店に場所を移したギル達。
その間ジーナとナノの女性陣からギルに向かって冷たい視線が向けられていた。
奇行を行った自覚のあるギルとしては目を逸らしつつ露店を見渡すフリをするしかない。
今回ナノはフードコートで顔を隠していなく、周囲から視線を集めていた。
当の本人はそんなことに慣れているのか気付かないフリで・・・・・・・・・いや、案外本当に気付いていないのかもしれない。
さらに当然といえば当然なのだが、現役アイドルと一緒に行動している男二人は何なのかという視線も集めている。
「・・・・・・・・・胃が痛ぇ」
「幼馴染の気持ちには気付かないくせにこういう視線には敏感なんですね」
「あん?何かいった?」
「なんでもありませんよ」
いや、ならその蔑む視線なんだよ。
そう言いたい衝動を抑える。
ヘラヘラと笑うクロウに若干苛立つがこんな所で喧嘩をすればさらに注目を集めることは間違いないだろう。
「というかよ、お兄様ってなんだよ?兄弟なのか?」
ジーナがクロウに向かって言ったお兄様という言葉。
そういえば今までジーナから家族の事を聞いたことがなかったな、と思いなおす。
「そうですよ?無能ですが」
「・・・・・・・・・ひどいね」
「事実でしょう。彼に比べるとあなたは数段劣りますし」
「彼と比べられると全ての人類が劣っていることになると思うんだけど」
ここでもジーナは毒舌少女としての本領を発揮していた。
実の兄に向かっても容赦なしである。
妹に暴言を吐かれたクロウはのらりくらりと反論しつつも表情は落ち込んでいた。
「というかファルはどうしたんだよ?」
ギルがアレスから聞いた話によるとこの二人は会う人物が・・・・・・・・・って同一人物とは限らないのか。
「ファルかい?彼なら昼過ぎに別れたけど」
「ジーナは?」
「私とファルさんがセットみたいに思ってるみたいですが、私達だって別行動くらいしますよ」
それもそうだ、と思いギルは次に一人ボーっとしている少女へ視線を向ける。
異常なほど長い髪をしたナノである。
「で、ジーナとクロウはナノちゃんとどういう関係なんだ?」
実際ギルが一番気になっていたのはこのことである。
もちろん野次馬根性的なものもあるのだが、何よりもギルはNINO&NANOのファンでもある。
「ナノとは幼い頃からの知り合いなんだ。
最近こっちに越してきたみたいだからお祝いをかねて誘ったんだけどね」
「・・・・・・・・・。お、おお。そうか」
クロウの呼び捨てに一瞬だけ殺気が湧き出たがすぐにそれを収める。
自分がファルやロロと幼馴染のようにジーナとクロウはナノと幼馴染なのだろう。
「ということはニノちゃんとも?」
「そうですよ?もっとも、彼女は昔からプロンテラに住んでいますが。
今回も誘ったんですが最近面白い玩具を見つけたらしく、街では全然見かけませんが。なんでも大人の玩具だって言ってましたが」
「大人の玩具?・・・・・・・・・ゴクリ」
「変態ですね」
すっごい蔑んだ目で見られた。
「ところでナノちゃんあんまり喋らないけど、どうかしたのか?」
するとこの会話を聞いていなかったのか「何?」と言いたげに首を傾げるナノ。
「元々ナノはあんまり喋るのが得意じゃないからね。ナノが自分から嬉々として喋るのなんて・・・・・・・・・・」
「お兄様?」
何言い出してんだワレ、背後にそんな文字を幻視したクロウとギルは唾を飲み込み、平静を装う。
「・・・・・・・・・まぁとにかくある人以外と楽しく話す場面なんて私は知らないね」
「まさか・・・・・・・・・恋人?」
「・・・・・・・・・ちがう」
ナノが一言否定し、また暇そうにし始める。
「今日はナノの為にパーティを開くんだ。だから料理が出来るまでフラフラしてるんだけどね」
「そろそろ戻ったほうがいいでしょう」
「え?・・・・・・・・・ってまだプレゼント買ってないじゃないか!?」
「自業自得です。だいたい気を惹きたいからって宝石店を巡るほうが間違ってると思うんですが」
「むぅ・・・・・・・・・やはり花束だろうか?」
ひょっとしてクロウはナノに好意を抱いているのだろうか。
そしてこの会話を聴いているのか聴いていないのか反応のないナノ。
「お兄様?ナノに手を出したら殺しますよ?」
「早いもの勝ちだろう?」
「ナノと付き合おうなんて、無駄なことですよ」
「分からないじゃないか。1%でも可能性があるなら私はそれにかけるさ」
何なんだろうかこの会話。
ひょっとしてナノはそこまで難攻不落なのか。
それとも一度ふられている?
つい気になってそれを聞くと
「ああ、うんそうだね。今朝の63回目の告白もふられたさ」
「63・・・・・・・・・凄いっすね・・・・・・・・・」
ギルの呟きに答えたクロウはそういえば、と思い出しながら聞いて見る。
「まぁね。ところで知ってるかい?渡り神がこの世界に来ているという話を」
「クロウ」
「おや?これは言ってはダメかい?」
「・・・・・・・・・だめ」
渡り神?
聞き覚えのない単語に疑問を覚えるがそれを遮るようにナノはクロウを睨みつける。
といってもナノが睨みつけても周囲には可愛いくらいにしか思われないが。
「ふむ。忘れてくれたまえ」
「いや、忘れろって・・・・・・・・・」
んな強引な。
・・・・・・・・・何にせよ、こんな会話をしているからそろそろ周囲の視線が痛くなってきた。
それに気付いたのか気付いていないのか思い出したようにクロウは言った。
「さて、そろそろ戻る時間かな?またいつか会おう」
「ですね。ギルさん、また休み明けにでも」
「・・・・・・・・・・ばいばい」
それぞれの言葉を口にして3人は去っていった。
その間ジーナとナノの女性陣からギルに向かって冷たい視線が向けられていた。
奇行を行った自覚のあるギルとしては目を逸らしつつ露店を見渡すフリをするしかない。
今回ナノはフードコートで顔を隠していなく、周囲から視線を集めていた。
当の本人はそんなことに慣れているのか気付かないフリで・・・・・・・・・いや、案外本当に気付いていないのかもしれない。
さらに当然といえば当然なのだが、現役アイドルと一緒に行動している男二人は何なのかという視線も集めている。
「・・・・・・・・・胃が痛ぇ」
「幼馴染の気持ちには気付かないくせにこういう視線には敏感なんですね」
「あん?何かいった?」
「なんでもありませんよ」
いや、ならその蔑む視線なんだよ。
そう言いたい衝動を抑える。
ヘラヘラと笑うクロウに若干苛立つがこんな所で喧嘩をすればさらに注目を集めることは間違いないだろう。
「というかよ、お兄様ってなんだよ?兄弟なのか?」
ジーナがクロウに向かって言ったお兄様という言葉。
そういえば今までジーナから家族の事を聞いたことがなかったな、と思いなおす。
「そうですよ?無能ですが」
「・・・・・・・・・ひどいね」
「事実でしょう。彼に比べるとあなたは数段劣りますし」
「彼と比べられると全ての人類が劣っていることになると思うんだけど」
ここでもジーナは毒舌少女としての本領を発揮していた。
実の兄に向かっても容赦なしである。
妹に暴言を吐かれたクロウはのらりくらりと反論しつつも表情は落ち込んでいた。
「というかファルはどうしたんだよ?」
ギルがアレスから聞いた話によるとこの二人は会う人物が・・・・・・・・・って同一人物とは限らないのか。
「ファルかい?彼なら昼過ぎに別れたけど」
「ジーナは?」
「私とファルさんがセットみたいに思ってるみたいですが、私達だって別行動くらいしますよ」
それもそうだ、と思いギルは次に一人ボーっとしている少女へ視線を向ける。
異常なほど長い髪をしたナノである。
「で、ジーナとクロウはナノちゃんとどういう関係なんだ?」
実際ギルが一番気になっていたのはこのことである。
もちろん野次馬根性的なものもあるのだが、何よりもギルはNINO&NANOのファンでもある。
「ナノとは幼い頃からの知り合いなんだ。
最近こっちに越してきたみたいだからお祝いをかねて誘ったんだけどね」
「・・・・・・・・・。お、おお。そうか」
クロウの呼び捨てに一瞬だけ殺気が湧き出たがすぐにそれを収める。
自分がファルやロロと幼馴染のようにジーナとクロウはナノと幼馴染なのだろう。
「ということはニノちゃんとも?」
「そうですよ?もっとも、彼女は昔からプロンテラに住んでいますが。
今回も誘ったんですが最近面白い玩具を見つけたらしく、街では全然見かけませんが。なんでも大人の玩具だって言ってましたが」
「大人の玩具?・・・・・・・・・ゴクリ」
「変態ですね」
すっごい蔑んだ目で見られた。
「ところでナノちゃんあんまり喋らないけど、どうかしたのか?」
するとこの会話を聞いていなかったのか「何?」と言いたげに首を傾げるナノ。
「元々ナノはあんまり喋るのが得意じゃないからね。ナノが自分から嬉々として喋るのなんて・・・・・・・・・・」
「お兄様?」
何言い出してんだワレ、背後にそんな文字を幻視したクロウとギルは唾を飲み込み、平静を装う。
「・・・・・・・・・まぁとにかくある人以外と楽しく話す場面なんて私は知らないね」
「まさか・・・・・・・・・恋人?」
「・・・・・・・・・ちがう」
ナノが一言否定し、また暇そうにし始める。
「今日はナノの為にパーティを開くんだ。だから料理が出来るまでフラフラしてるんだけどね」
「そろそろ戻ったほうがいいでしょう」
「え?・・・・・・・・・ってまだプレゼント買ってないじゃないか!?」
「自業自得です。だいたい気を惹きたいからって宝石店を巡るほうが間違ってると思うんですが」
「むぅ・・・・・・・・・やはり花束だろうか?」
ひょっとしてクロウはナノに好意を抱いているのだろうか。
そしてこの会話を聴いているのか聴いていないのか反応のないナノ。
「お兄様?ナノに手を出したら殺しますよ?」
「早いもの勝ちだろう?」
「ナノと付き合おうなんて、無駄なことですよ」
「分からないじゃないか。1%でも可能性があるなら私はそれにかけるさ」
何なんだろうかこの会話。
ひょっとしてナノはそこまで難攻不落なのか。
それとも一度ふられている?
つい気になってそれを聞くと
「ああ、うんそうだね。今朝の63回目の告白もふられたさ」
「63・・・・・・・・・凄いっすね・・・・・・・・・」
ギルの呟きに答えたクロウはそういえば、と思い出しながら聞いて見る。
「まぁね。ところで知ってるかい?渡り神がこの世界に来ているという話を」
「クロウ」
「おや?これは言ってはダメかい?」
「・・・・・・・・・だめ」
渡り神?
聞き覚えのない単語に疑問を覚えるがそれを遮るようにナノはクロウを睨みつける。
といってもナノが睨みつけても周囲には可愛いくらいにしか思われないが。
「ふむ。忘れてくれたまえ」
「いや、忘れろって・・・・・・・・・」
んな強引な。
・・・・・・・・・何にせよ、こんな会話をしているからそろそろ周囲の視線が痛くなってきた。
それに気付いたのか気付いていないのか思い出したようにクロウは言った。
「さて、そろそろ戻る時間かな?またいつか会おう」
「ですね。ギルさん、また休み明けにでも」
「・・・・・・・・・・ばいばい」
それぞれの言葉を口にして3人は去っていった。
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