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1-3 生まれ故郷

気分がいくらか楽になって降りたその先は懐かしい故郷だった。
多くの冒険者が飛行船を降り、視界の妨げになってなお半壊した家が多く目に飛び込んでくる。
イズルート・・・・・・・・・8年前、今はバフォメットと名付けられたモンスターが暴れ、廃墟と化した町。
今では復興こそしているが、まだまだ半壊している家も多い。

「大丈夫かギル?」

「・・・・・・・・・行こう」

ギルはファルの問いに対して返事を出せなかった。
イズルートに住んでいた者にとって、8年の年月は事件を忘れるにはあまりにも早すぎた。

「墓参りはいいのか?」

「ああ。学園はプロンテラだからいつでもこれるだろ」

「・・・・・・・・・本当に来れるのか?」

「・・・・・・・・・」

その言葉に沈黙したギルはまるでその光景を拒むかのように黙って俯いた。

「いや、すまない」

「気にすんな」

「そうか・・・・・・・・・うん?先に行ってるぞ」

重苦しい会話から一転、ファルは笑いを堪えたかのような顔をするとギルの肩を叩いて、
乗船券を渡していたダクトゥル先生のところへと向かった。
ファルはペン太さんとか言っていたが、まさか本気で先生だと気付いていないということはないだろうか。

「あれ?ギル少し暗いね。変な物でも食べたの?」

「・・・・・・・・・なんて酷い言い草だ」

ファルと入れ替わるように来たのは幼馴染であるロロだ。

「そうね。変な物食べてなくてはギルは変だもんね」

「本当に酷い言い草だ!」

なんて女だ・・・・・・・・・!
ひょっとして俺のことをカボチャかトマトくらいしか思っていないのではないだろうか。

「それで、どうしたの?本当に変よ?」

ロロは小さく首を傾げてギルの全身を観察するように見た。
しかしすぐに溜息を吐いて首を振った。

「ダメ、あんた見てると目が腐るわ」

「・・・・・・・・・なぁ、お前俺のこと嫌いなのか?」

「知らないわよ」

そう言い放つとロロもペン太・・・・・・・・・じゃなかった、ダクトゥル先生の下へ向かった。
この反応はギルがロロに何か機嫌を損ねるようなことを言った時のものだ。

「・・・・・・・・・」

精一杯考えてみるが、原因が思い浮かばない。
ひょっとして飛行船の上で叫んでいたのが悪いのだろうか。
あの後ロロに教えてもらったが、どうやらファルの適等な知識らしい。
・・・・・・・・・今度何かを奢れば許してもらえるのだろうか。
とりあえず自分もダクトゥル先生と一緒に学園へ向かわなければならない。

「・・・・・・・・・バフォメット」

最後にギルは振り向くと、そう小さく呟いた。






「わあああああ」

「おおおおおおお」

「ふぅん」

目の前に広がる王立学園にロロ、ギル、ファルはそれぞれの反応をあげた。
ダクトゥルはそれに満足気に微笑むと懐から一枚の紙を取り出し、ファルに渡した。

「地図ですね。さっそく職務放棄ですか?」

「違いますよ!私は忙し・・・・・・・・・って先生って分かってたならそう呼んでください!」

「・・・・・・・・・そんなことないですよ?ペン太さん」

「なんて白々しいんだ・・・・・・・・・」

ギルの呟きにロロが同意するかのように頷いた。

「ひゃっ!?」

その瞬間、どこかから何かが爆発するような音が鳴り響いた。
ロロが小さく悲鳴をあげて近くにいたギルの服を掴んでは真っ赤になって殴り飛ばすという奇行をしているが、
ダクトゥルは溜息を吐くと愚痴をこぼすかのように言った。

「これだからマジシャンの育成なんて嫌なんですよ・・・・・・・・・だいたい一番危険な仕事を私がやるなんて・・・・・・・・・」

「はいはい、目的地に進みながら愚痴をこぼしてくださいね」

ファルに背中を押されたダクトゥルはその事に気付いてないのか足は前へと動きながらもブツブツと何かを呟いている。
目的地につけば良いのだが、あいにくファルは爆発がしたかもしれない方向へ押しただけである。
このままだと辿り着けない可能性があるが、ファルにとって知ったことではなかった。

「さてと、まず荷物を取りに行きたいのだが」

「俺は構わねぇけど?」

「私も良いわよ」

「なら決定だな」

ギルとロロから了承を得たファルは地図を片手に寮へと向かう。

「しかし広いなここは・・・・・・・・・どれくらい広いんだ?」

「聞いた話だとプロンテラの敷地の2割を使ってるらしいわよ?」

「うげ・・・・・・・・・本当に広いな、それ」

迷わなきゃいいんだけどよ、とギルは小さく呟くと地図と周辺の景色を交互に見ているファルに話しかけた。

「ファル」

「うん?」

「そういえば男子寮と女子寮で場所って違わないのか?」

「確かにそうね。ちょっと地図見せてくれる?」

「・・・・・・・・・はぁ」

二人がそう言うとファルは大きく溜息を吐いて言った。

「お前ら、馬と鹿だな」

「おう、そのとおりだ。格好良いだろう?」

「馬鹿にされてるのよギル!肯定すんじゃないわよ!」

なにぃ!?と驚くギルに再度溜息を吐くとファルは説明を始めた。

「まず始めに言っておくが男子寮女子寮なんてものは存在しない」

「はぁ?それはいったいどういうことだよ?」

最低限それは必要だろうが、と思いギルは言ったがファルは首を横に振った。

「確かにフロアで男子と女子の区別はついている。
 だいたい先生が不足しているから寮を管理する人が一人しかいないんだよ」

「なら生徒から寮長を決めればいいんじゃないの?」

ロロがもっともなことを言うがさらにファルは首を振る。

「冒険者を纏めるということは相応の力がないと出来ないからだ。
 ただの噂だが、寮の管理人は素手でハーピーを殴り殺したらしい」

「「・・・・・・・・・」」

ハーピー、冒険者にとって厄介なことこの上ない敵である。
弓等の遠距離攻撃の手段を持っていれば話は別だが、常に宙を舞うハーピーに騎士やアサシンでさえ苦戦をしてしまう。
そのハーピーを素手で倒すなんて、正直は話意味が分からない。
だがもしそんな人物がいれば誰も逆らわないのは明白だろう。

「あとは・・・・・・・・・これは聞かないほうがいいだろう」

「そこまで言われるとめっちゃ気になるんだけど」

「・・・・・・・・・そうね」

投げやりに手を振りながら話は終わりだと言わんばかりにファルは再び地図を見始めた。
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