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2-30 date それぞれの組み合わせ

日課の訓練を終えるとギルはシャワーを浴び、室内でゴロゴロしていた。
父親の言に従うならばこういう時こそ自主訓練をするべきなのだろうが人間とはこんなものである。
であるからして自らをより高みへと導くのは難しいことなのだが。
そして悪いことにギルはそれを自覚しながらさぼっている、いわゆる駄目人間の部類だった。
せっかく補修を免れたというのに、補修をしていたほうが明らかマシだ。

「暇だー」

なら訓練しろよ。
そんなツッコミを天国にいるであろう父が入れているのを幻視しつつ本棚の漫画のタイトルに目を通す。
…………読む気起こらないな。

「アレスでも呼んで覗き………ってアレスはティアマトとデートだっけ」

実際はだいぶ違うのだが、説明を面倒がったファルが簡潔の述べた説明が今のギルの認識のそれだった。
へー、あの二人がなぁ、となんとなしに二人がいちゃついている場面を想像してみる。

『おはようハニー!いい朝だね!』
『そうねマイケル。とってもいい朝だわ』
『おー。君の瞳はふつくしい………』

「無理だな」

彼女を作ったことがないギルの想像力ではこれが限界だった。
というか誰だこれ。

「ファルでも呼んで日課のナンパ………って誰もツッコんでくれないな」

いつもなら『ギル、馬鹿?そんな脳みそだから普段僕とナンパしているなんて夢を見るんだよ』と、
心を多少抉るツッコミとともに呆れた表情をするファルがセットなのだが。
確かファルは誰か人と会う約束をしているだとかで今朝早々に出て行った。
ジーナも同じ用事で出て行ったのだが二人で出て行かなかったのは何なんだろう。
ひょっとして一緒じゃないのだろうか。
・・・・・・・・・デートの待ち合わせ?

「ロロは………大聖堂の礼拝と掃除にいったんだっけ」

何でも最近魔法少女と名乗る人物が大聖堂で暴れまわったらしく、大聖堂が散らかっていたらしい。
あまりの瓦礫の多さに日分けして片付けていたのだが今日はその片付けの最終日で、
それにロロは礼拝ついでに手伝っているらしい。
ミッドガルドではオーディン信仰が主流だがギルとしてはぶっちゃけどうでもいい。
やる事がないなぁ、と数分呆ける。

「………。………。………あ」

そこでようやく思い出した。
飛行船でイズルートについてから行くと決めていた父のお墓参りを忘れていたのだ。
どうせ暇なんだから行くか。
運がよければロロを除くイズルートに言っている4人に会えるだろう。
そう思い、ギルは立ち上がった。





王立学園がテスト休みで休日といっても世間では普通の平日である。
イズルートの中央にある謎のモニュメントの周囲を囲うようにして商品を広げている商人達は多いが、
休日ほどの賑わいは見せていなく、昼頃ということもあってさらに人通りも少ないような気がした。
冒険者の腕輪をつけているギルは様々な商人に呼び寄せられながらも目的の場所まで歩いた。
商人達にとっても冒険者というのは主な取引相手だ。
だからこそ彼らは客寄せをする時、まず相手の腕を見る。
冒険者には魔法機械や発掘品、魔法薬等の冒険に使う類のものを勧めるのだ。
といっても駆け出しの、しかも学園生のギルに収入の良い冒険者が常用するようなものを買えるはずがないが。
ふと中央広場を見回すギルだが、イズルートにいるらしいファル達の姿は見当たらない。
イズルートにある三つの武器屋を巡るとアレスとティアマトに会うだろうが、別に探すまでもなかった。

「実習が始まれば嫌というほど顔を合わせるだろうしな」

ファルから教わった話だが、王立学園の実習は基本的に8人パーティを組んで行うらしい。
といっても6人しかいないE組だと確実に今いるメンバーでパーティを組むことになるだろうとは彼の弁だ。
実習に関してを思い出しつつ表通りをしばらく歩くと少しだけ開いた公園のような場所へと出る。
遊具や砂場といったものはまったくなく、代わりに奥にはポツンと寂しげに石碑がたっている。
その下には数々の花がおかれている。
バフォメット襲撃事件、それの被害者達の墓碑だった。
本当はただの名前を彫っただけの墓碑だ。
そして無数に刻まれた名前、その中の一つだけにギルは視線を向ける。
セタ=ノクトン・・・・・・・・・彼、ギル=ノクトンの父親だ。

「・・・・・・・・・」

別に言葉を向けに来たわけじゃない。
花を供えに来たわけでもない。
ただ、来ただけだ。
本当に死んでいるかも分からない為に墓碑なんかへ、本気で黙祷をするわけでもない。
この墓碑は確かにイズルート半壊時の犠牲者を書き綴ったものであるがそれが本当に死んでいるかというのは別問題である。
無数に書かれたその名前にサッ視線を走らせる。
新たに削られ、消された名前がいくつかあった。
そこに書かれていた名前は死んだと思われていた人たちであった。
バフォメットが放った魔法は一瞬で建物を破壊し、人は蒸発した。
ならば行方不明者がそれによって死んだと思われるのは当然ことなのかもしれない。
だからこそ────だからこそギルは今も父の死を疑っていた。
あの父が死ぬわけがない・・・・・・・・・それは幼い頃から見てきた父の姿から想像できないからだった。
確かにどんな冒険者だって魔法をまともに受ければ死ぬ。
例えモンスターが作ったお粗末な武器であってもまともに殴られれば死ぬ。
だがしかしギルの父はそんなレベルをはるかに超越していた。
かつてゲフェンの地下を制圧した───ドッペルゲンガーとヴァンパイアを打ち倒した父が死ぬわけがない。
もちろんそれだけならただの妄信だろう。
だけど確かに父は───

「ぐっ!?」

途端、バフォメットの前に立つ二人の姿がフラッシュバックとして現れる。

「またか・・・・・・・・・・!」

これこそが───この光景こそが彼が父の死に疑問を感じている正体だった。
その二人、父の背中と黒いポニテの女性の後姿は既に事切れたバフォメットの前で不敵に笑っていた。
突如思い出したこの映像が本物ならば、バフォメットに父が殺されているはずもなかった。
そして父の死体が見付かったわけでもなく行方不明、それ故に墓碑に刻まれた父の名。
ファルにその事を話したことはあるが───彼はただ知らないと言わんばかりの態度だった。
彼のその考える能力を当てにしてしつこく聞いてみた所、推測でよければと言ってくれたのがこれだった。

『もし君の父親が生きているとしたら、なんで行方不明になっているの?
 ここからは生きていることが前提で話すけど───』

もし生きているならば父はこちらに戻れない状況にあるということだ。
例えば、とファルはいくつもの例をあげて戻れないに値する納得のものをあげ、最後に言った。

『君のその記憶だけでは何も分からない。ただの推測だってことは忘れないでね?』

もちろんそんなことは分かっていた。
冒険者の中でセト=ノクトンを知らない人間はいない程の有名人が少なくとも王国にいる可能性はだいぶ低いらしい。
ならばいる場所は王国の暗部、例えばエリアEのどこか。
もしくはもう閉じてしまってはいるがかつて魔王モロクがその道を作ったとされる異世界。
知っている遠い街や、まだ見ぬ新しい国や街。
状況は分からないがいる場所はそのいずれかしかない、とファルは結論を出した。
ならばと冒険者になり、世界を歩きわたる。
冒険者になるという決意はさらに固くなり、今に至った。
そこでふと思う。

「あとどれくらい待てばいいんだ?」

その決意は一年前の話。
そして冒険者としてちゃんと活動できる時期は最低でも王立学園を卒業する1年と10ヵ月後。
・・・・・・・・・あれ?
そういえば王立学園って二年生だよな。
そのわりには学園で先輩らしい姿とか見ないのだが・・・・・・・・・いったいどういうことだろうか。
たぶんこれをファルに聞くと「まだ気付いてなかったの?」と蔑んだ目で見られるに違いない。

「じーざす!」

「どうしたんだいギル君?いきなり叫んで」

「馬鹿なんですよ兄さま」

「・・・・・・・・・」

二つの声に振り向くとそこには3人・・・・・・・・・見目麗しい女性二人を侍らせているイケメンやろうが一人。

「えっとクロウだっけ?それにジーナと・・・・・・・・・ナノちゃん!?っていうか兄さまって何だよ!?
 それとナノちゃんつれて歩いてるからっていい気になってんじゃないぞごるぁ!」

「彼、情緒不安定なのかい?」

「ええ。残念ながら」

「ちょっとジーナさん何を仰いますか!?」

クロウの問いかけに本当に残念そうに呟いた一言に全力でつっこむがクロウの自分を見る目は可哀相な人を見るそれだ。
長い黒髪を持つ今日は素顔を晒したナノも若干冷たい目で見ていたのは、見なかったことにする。
・・・・・・・・・・悲しくなんかないやい。
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