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2-29 デート?

カチ………カチ………カチ………

時計の針が時を刻むと同時に教室へこれ以上ない重圧をかける。
授業中は気にならないその音に今、彼らは神経質になっているかのように何度も時計を見つめてしまう。

「あと5分なのー」

テスト、最後の科目、魔法基礎理論。
教室の場は既に二つのグループに分かれていた。
もう終わってますよと言わんばかりに寝たり見直しをしたりしている勉強出来るグループ。
一方色んな意味で終わってますよと言わんばかりに絶望的な表情をしつつ必死に手元の用紙を見るグループ。
ちなみに意外にもアレスは前者に入っていた。
ファル曰くアレスは理解力はいいのだが記憶力に問題があるらしい。
なのでテスト前まで徹夜で猛勉強していたアレスは力尽きたのか机で爆睡していた。

「そこまでなの!」

ぺしぺしと机を叩く音が鳴り、ひとりでに答案用紙が浮かんでトナ校長の下へと飛んでいく。
ギルとロロは未練がましく飛んでいく答案用紙を見送り、他の面々はやっと終わったと疲れた表情で立ち上がった。

「終わった………」

「ええ………終わったわね」

どこか煤けた様子の二人を放置してティアマトとジーナがファルの席へと向かった。
何かをファルに言おうとしたジーナだが、ティアマトがいることにすぐに気付いた。

「ティアさん、ファルさんに何か用事があるんですか?」

「だね。本当ならギルっちかロロっちにでも話そうと思ったんだけど、あの様子だからファルファルに話そうと思ってね」

「僕に?」

いったい何なのか、そう考えるが特に心当たりはなかった。

「いやさ、テスト休みが終わると実習入るでしょ?だから良い武器屋がないか聞きたかったんだけど」

「なんで僕に?」

「ギルっちとロロっち、この前学園出てたみたいだからさ。
 仮にも冒険者なら武器屋くらい覗いてるかなと思ったんだけど」

なるほど、筋は通っているがあの二人がそんな計画的に動けるわけがないとファルは思った。
ジーナも同感らしく苦笑いをしている。

「ティアさんはどこのギルドに入るつもりですか?」

「んー………アコライト、聖堂にでも入ろうと思ってたんだけどちょっと厄介になったのよ」

「厄介?大司教に暴力でも働いたの?」

「あたいもさすがにそんなことはしないわよ」

笑って首を振るが、理由を話さない辺り本当に厄介になったらしい。

「扱いたい武器はもう決まってます?」

「んー、ここは正道らしくサーベルみたいなものがいいかな」

「となればイズルートのほうが品揃えがいいですね」

ジーナは数多くある武器屋を頭に思い浮かべながら話すと、ティアマトは嬉しそうに笑った。
何でも道は把握したらしいが肝心の店は全然頭に入っていないらしい。
心当たりがあるなら連れて行ってほしいと頼み込むティアマトにジーナはファルに目配せした。
そしてファルが頷いたのを確認すると言った。

「テスト休みの二日目にファルさんと一緒でいいなら構いませんよ」

「………あれ?ひょっとしてデートだった?」

それは少し悪い気がすると付け加えるが、ファルは構わないといった。

「デートじゃないから大丈夫。ちょっと人と会う約束をしてるんだ。
 だから昼前までしか案内できないけどいい?」

「十分十分。あたいのことは放っておいて、二人でいちゃいちゃしてなよ」

「だからデートじゃないんだけど」

「わかってるって」

絶対分かってない。
そのにやけ顔はなんだ。
小一時間問い詰めたいがどうせ無意味なので必要以上につっこまないことにする。

「しかし武器屋か………それならアレスも連れて行ったほうがいいんじゃないかな?
 いや、むしろアレスに連れて行ってもらったほうがいいだろう」

「うん?なんで?」

アレスを推すファルに邪魔者扱いされているのかと思ったが、どうもそういうわけではないようだ。
ティアマトはジーナを見るが、むしろ納得といった表情をしている。

「アレス!ちょっときてくれないか?」

その呼び声にムクリと顔をあげてキョロキョロと辺りを見回すと、目があったファルの所へ来るアレス。
寝起きなのか多少目つきが悪く、欠伸もしている。

「なんや?」

「ティアマトが武器屋に行くらしい。案内をお願いできるかな?」

「はい?なんでワイに?」

心底わからないといった様子のアレスに溜息を吐いてからファルはいう。

「鍛冶師の子供なら剣の目利きくらい楽勝だろう?」

「へぇ。アレスっち、そうなのかい?」

「………いやちょっと待ちや」

待てと右手を一旦前に出してからいった。

「その情報どっから出たん?」

「単に親父さんとは知り合いだっただけだよ。たまに会ってたし、アレスともその時何度か会ってたんだけど?」

「え………ほんま?」

コクリと頷くファルに脳内から昔の記憶を発掘し始めるが、どうも記憶にない。

「んー………そういうことやったら」

「ほんと!?アレスっちありがとん!もうキスしちゃうわ!」

「ひぃっ!?やめい!それは罰ゲームや!」

「失礼しちゃうね。あたいのキスはいらないってか!?」

「当たり前やろ!」

堂々と言い返したアレスだが、ティアマトの反応がどうもおかしかった。
何か怖い物を見るかのような目でじょじょに後ろへと下がる。

「まさか………男色?」

「なんでや!?」
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