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2-28 動き出す歯車

裏庭で砂まみれになった俺に、彼女は言った。
その言葉に俺は当たり前じゃないかと思ったが、それでも彼女の雰囲気にただ飲み込まれていた。

「約束、できるかな?」

「・・・・・・・・・うん」

手に持っている木刀を杖のようにして震える足のかわりに支える。
対する彼女は息切れすらせずに救急箱を取り出していた。
いつからだったろう。
俺の目標が父を超えて彼女になったのは。
まだ父の域にすら達していない自分が彼女と共に戦いたいと思うのは子供の幻想なのだろうか。
だがそれでも俺は一度見たあの強さを手に入れたくて、ただ彼女に頼み込んだ。
戦う術を教えて欲しい、と。

「帰ろうか、ギル」

「うん、姉さん」







「なっ!?」

布団を蹴飛ばして一気に上体を起こす。
何だ今の夢は。
こんなの知らない、知るわけがない。
そもそも姉などギル=ノクトンの世界には存在しなかった。
ならば自分が夢の中で姉と呼んだあれはいったい誰だ。
今はっきりと夢で見た内容なのに顔や声といったものがまったくといっていいほど思い出せなかった。
狐に化かされた気分であるが、すぐに頭を冷やす。
夢、しょせん夢だ。

「姉さんって・・・・・・・・・俺どんだけだよ」

隠された性癖というべきか。
まさか自分が姉属性を好むとは・・・・・・・・・。

「脳内姉って・・・・・・・・・」

ギルが口に出したその言葉がさらに自分を深く傷つけたのは言うまでもない。





また、封印が解けた。
ギルが忘れてなければならない過去。
それを封じる為、幾重にも張り巡らせた封印の一つがまた内側から砕け散る。
そのことを感じ取った者、ファルはゆっくりと目を開けた。

「はぁ・・・・・・・・・日に日に強くなるな」

溜息と共に愚痴を吐き、窓の外を見上げる。
今日は新月、モンスターの魔力が最も弱くなる日。
その日、ギルの力は最も強くなる。
ならばこそ封印がまた一つ解けるのも仕方のない話なのかもしれない。

「ん・・・・・・・・・」

「久々なのにな」

隣で寝ているジーナがさらに深く布団をかぶろうとそれを引っ張る。
今夜は特に仕事もなく平和な夜だった。
そうでなければ夜中まで勉強会なんてするわけがない。
新月の日は万が一に備えて待機しているのだが、やはりというか封印が解けれることが多かった。

「・・・・・・・・・まぁいいか」

このままだといつ全てを思い出すか、そう考えたら無意味なことに気付くとまた眼を閉じた。
未来はもう決まっているのだから。






「なのー」

「・・・・・・・・・」

「なのー」

「・・・・・・・・・」

「なのー」

「・・・・・・・・・」

カーン、カーン、カーンと定期的に音を響かせながらそれを作るトナ校長とエイボン。
神殺しのシステム、アル・アジフ。
エイボンはそれをアルと呼んでいるが、その一号は既に彼女に渡した。
その彼女は先日、無数の剣を操る少年と交戦したとかでこちらに感想を言いに来た。
エイボンいわく結論としては成功である。
しかしこれはトナ校長や彼女以外、絶対に耐えられるものではないと主張した。
とにかく一号を彼女に渡したのでトナ校長が使うもの、二号を作らなければならない。
エイボンとしては彼女の戦闘データを元に改良したいらしいがトナ校長はとにかく使いたいのだ。
ただの落ち着きのない子だが。

「何を設定しようかなー、なの。コード、アル・アジフなの!」

「そのまま」

「コード、コードなの!」

「・・・・・・・・・」

「何か反応してなの」

ぷう、と頬を膨らませながらも手元の作業を止めないトナ校長だが、エイボンはそれを無視。
その性格を知っているトナ校長は仕方なく作業に没頭した。
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