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2-25 ガラクタ探索

いつものようにファルに起こされてそのままいつものように訓練をし、ファルの部屋に向かう途中でそれはおきた。

「た、たすけてギル!」

「へ?」

部屋から出てきたのは一度も見たことがないほど切羽詰った表情をしたファル。
開け放たれたドアの向こうには呆れた顔をしたジーナと状況が分かっていないのかポカンとしているロロ。
机に並べられたご飯と焼き魚と味噌汁、さらに漬物がいつもの朝食を演出しているが肝心のファルがおかしかった。

「あるれぃあるらがりすらかりぜまふであしまう!?」

「どんだけ錯乱してんだよ。落ち着け」

オンドゥル語以上に聞き取り不能なその言語に思わず子供をあやすかのようにファルの頭に手をのせる。
・・・・・・・・・が、いつもなら「失敬だね」と手を払いのけるファルなのだが今回はその様子もない。
本格的にどうしたんだろうと心配し始め、聞いた瞬間ファルは叫んだ。

「で、どうしたんだ?」

「や、やつが来るんだ!」

「やつ?」

奴って誰よ。
そんな疑問が頭に浮かぶが聞かれた本人はそのまま走り去っていった。
必死さが浮かんだその背中に声をかけるが聞こえていないのか、そのままファルは階段を下りていった。
よく分からないが今日は休日だから外に身を隠す気なのだろうか。
それよりもあのファルがあれほどまでに恐れる人物とはいったい誰なのか。
そこまで考えてギルは思考を中断した。
否、中断せざるをえなかった。

「ひいいぃぃぃぃ!?エ、エイボン!?」

「・・・・・・・・・捕獲」

「い、いやだ!いやだあああああああああああああああああああああああああ!」

ガショーンやらウィーンやら不穏な機械の駆動音が聞こえ、そのままファルの叫びはどんどん小さくなっていった。
・・・・・・・・・関わらないほうがよさそうである。

「しかし魚か。この辺に魚屋ってあったっけ?」

ギルの記憶によるとプロンテラの魚屋は少なくとも学園周辺にはなかった気がする。
前に買い物に行った時はギルも同行したのだが四日前の話である。
それほど魚を放置しておけば鮮度が心もとないはずなのだが・・・・・・・・・。
しかしその疑問をあっさり答えた人物がいた。

「馬鹿ですね?」

罵倒で。

「って何で罵倒されてるんだ俺!?なんかもうジーナが俺を罵倒するのが当たり前みたいになってないか!?」

「・・・・・・・・・ギル、私はあなたの味方よ」

「その全てを包み込むような微笑みはやめて!?なんだか俺が惨めみたいじゃないか!」

「惨めですね」

「はっきり言った!?」

「よく考えてください。その腕輪の機能くらい知ってますよね?」

「・・・・・・・・・ああ、そういうことか」

よく考えると腕輪の中の収納空間は空気だとか雑菌だとかが存在しない。
さらに空間を密閉している間の時間の流れは遅いので腐りにくい。
ということは買い置きでもしていたのだろう。

「鮮度を心配していましたが、味は大丈夫ですね」

「死ななければ俺は構わないぜ」

「いるわよね。こういう男」

「うるせえ」






「えっと、古の像の欠片・・・・・・・・・欠片?」

「ギルー!こっちに鉄あったわよ」

「・・・・・・・・・なぁロロ」

「なによちゃんと探しなさ・・・・・・・・・あ、古い霞発見」

「おかしいと思わないのか?」

今更何を、と言った視線を受けながら手元のメモを見る。
この前の模擬戦で怪我をした時に使ったポーション代としてその材料を集めているのだ。
そしてそのメモはとある保険医から受け取ったものだがどうもおかしい。
表面は最初に確認していた通り簡単な材料だったのだが、裏面がおかしかった。
本当に回復薬に使われていたのか?と問い詰めたい材料がぎっしりと書かれていた。
一つ一つの値段そのものは安いのでたいした出費ではないのだが一つの店で事足りるラインナップではない。

「いいから早く探しなさい。手伝ってあげてるんだから」

「・・・・・・・・・ああ。さんきゅな」

「いいわよ別に。幼馴染なんだから・・・・・・・・・幼馴染かぁ」

再度呟いたその単語を感慨深く呟くロロに疑問を感じた。
今日の朝のファルはおかしかったが最近のロロも少しおかしい気がする。

「・・・・・・・・・どうしたんだ?」

「分かんないわよ」

「は?」

「知らないわよ。何でか嫌だって思っただけ」

意味わからん、そう思うが当の本人も同様の様子なのでギルは聞き返さなかった。

「ところで今朝の話なんだけどよ、あいつどうしたんだ?」

「私もよく分からないんだけど、ファルの腕輪に通信が入って誰かと話した瞬間部屋から出て行ったのよ」

「あいつも謎といえば謎だよなぁ。会う前の話は何も聞いたことがないし」

「それは意外ね」

周囲からは仲が良く見えるギルとファルだが、ギルはあまりファルのことを知らない。
というよりファルが話さないといったほうが正しいか。
ファルの会話から察するにイズルートに住んでいたようなニュアンスはあるのだが、その詳細は知らなかった。
さらにその以前は各地を転々としていたらしい。

「へぇ。剣を使えたり魔法使えたりするのもそのおかげ?」

「かもな。俺達より小さい頃に一人旅なんてないと思うから同行者の人に教えてもらったんだろ。
 えっと、あとは・・・・・・・・・魔力を含んだゼロピー?」

おいおい、とギルは頭を抱えた。
別に魔力を含んだゼロピーそのものは高いものではない。
むしろゴミだ。
ゴミすぎて売られてないのだ。
となれば自分で取りに行くしかないのだが・・・・・・・・・冒険者見習いの自分がプロンテラの城壁から出られるとは思わない。
門番に止められるのが関の山だろう。

「どうするのよ?」

「どうしよ、本当に」
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