2-23 魔法使い達
「しかし本当にいいんですか?こんなもの作って・・・・・・・・・」
「いいのいいの!私に任せとけなの!」
不満げな顔をしたパールは無駄に得意げなトナ校長を一瞥するとそれを作った本人に目をやる。
いつもボーっとしていて滅多に、それこそ教職員にすら顔を見せない教員エイボン。
長く白い髪を一纏めに後ろでくくっているエイボンだが、もともと彼女は部外者である。
数ヶ月前、突如としてトナ校長が連れてきた偉大な魔法使いだそうだ。
「しかし作る必要あるんですか?こんなそれこそいかれたシステムなんて」
「・・・・・・・・・失礼な。これはいかれていない」
作った本人は不満そうに頬を膨らませるが眠そうに時折欠伸をするのでオーラがコミカルだ。
「エイボンこれの仕様を教えるの」
「・・・・・・・・・ええ」
「はぁ」
いったいこの武器の何が有用だというのだろうか。
こんなの普通の人間が扱っていいわけがない。
戦いは死と隣り合わせと言うが、これはそれを助長させているだけだ。
誰が好き好んで危険を冒すのか、そうは主張したがトナ校長は依然として必要なのと一言だけで片付ける。
「別に只の剣を使えばいい話じゃないですか」
「ふむ。だが分からんでもないな」
「ガルマーさん!?あなたまで・・・・・・・・・」
静かに佇んでいたガルマーという思わぬ敵にパールは驚くが、彼の表情に変化はない。
むしろ合理的だと言わんばかりに口を開いた。
「真の強者が使えばこれ以上ない武器になる。これはそういうシステムなのだろう?」
「それはそうですが・・・・・・・・・ですが・・・・・・・・・」
彼の言いたいことは分かる。
確かにこのシステムさえあれば冒険者が夢を見ていた理想の武器が作られたことになる。
しかしこれは・・・・・・・・・このシステムはまるで
「まるで人を使い捨てにするかのようなシステム、ってことかな?別にいいじゃん」
「俺も構わないと思うぜ?誰かで実験するならともかく使うのはトナ校長自身なんだろ?」
「お二人まで!」
さらに追い討ちをかけるように同意したタクとトマトに味方がいないことを悟る。
このシステムを作った本人はこちらの会話なんて気にもしないでトナ校長に専門的なことを話していた。
実は傲慢なトナ校長だが、何故かエイボンの言うことはよく聞くのだ。
真に不本意ながら。
「はっ!?あのマッドな保険医はどうなんですか!?」
「ああ。あいつ?なんでも新薬の実験を彼に試してそのレポート書き上げてるみたいだけど」
「何してるんですか!?」
「・・・・・・・・・いやまぁ、仕方ないと思うけど。だってギル君、ポーションとか絶対に効かないでしょ?」
「ギ、ギル君ですか」
確かに彼相手なら仕方ないか。
・・・・・・・・・と思いかけたところでトマトが呟いた。
「でもよ、動物実験もしないでいきなり人体実験はどうかと思うぜ?」
「あの保険医、人の命を何だと思ってるんですか!?」
「俺に言われても。だいたいあいつ連れてきたのトナ校長だし」
そうなのだ。
トナ校長は何でか知らないが異様に顔が広い。
だいたいギルやファル、ロロにジーナを入学させたのだってトナ校長だ。
パールは彼ら──ギルを除く──の何が問題なのかは知らされていない。
ガルマーは何かを知っているようだが聞いても教えてくれるような人物なので聞いていない。
E組に入れられるくらいなので何かしら問題があるとは思うのだが・・・・・・・・・。
残りの二人に関してはアレスに関してはトナ校長から聞かされているがティアマトに関しては何も知らない。
ただトナ校長が言うには彼女は問題があるというよりある意味ファルよりも特殊な存在らしい。
「ふぅ」
そもそもファルという人物の特殊性を知らないのにその人物を比較の対象にされても分からないのだが。
いや、答える気がないだけだろう。
「・・・・・・・・・それでトナ?」
「なの?」
「明日、キリア・・・・・・・・・じゃなくて、えーと・・・・・・・・・ファルをつれてきて」
「別に会いにいけばいいと思うの」
「駄目。あの子逃げるから」
「鹵獲すればいいの」
「・・・・・・・・・そうね。でも約束は約束」
「わかったの」
パールが考え込んでいる時、その二人は不穏な会話をしていた。
「あたいの出番ってわけかい?」
緑のショートヘアの少女は虚空に向かって話しかけていた。
そこには誰もいなく、一歩間違えれば精神病患者に間違われそうだが少女の不適な笑みは正常なそれだった。
しかも少女が立っているそこは大聖堂の十字架の真上。
一見神秘的に見えるが信者からすれば冒涜的である。
「へぇ?今度は数で攻めようってわけかい。まったくこの世界は退屈しないよ」
少女は大聖堂に潜んでいる者たちを見据えて、己の獲物を取り出した。
それは一本の金属で出来た短い棒。
服がまるで生きているかのように蠢き、その形を少女趣味でフリルがたくさんついているものに変わっていく。
少女はまるで先に刀身があるかのように構えて言った。
「さて魔法少女ティア、穢れを払うかな」
「いいのいいの!私に任せとけなの!」
不満げな顔をしたパールは無駄に得意げなトナ校長を一瞥するとそれを作った本人に目をやる。
いつもボーっとしていて滅多に、それこそ教職員にすら顔を見せない教員エイボン。
長く白い髪を一纏めに後ろでくくっているエイボンだが、もともと彼女は部外者である。
数ヶ月前、突如としてトナ校長が連れてきた偉大な魔法使いだそうだ。
「しかし作る必要あるんですか?こんなそれこそいかれたシステムなんて」
「・・・・・・・・・失礼な。これはいかれていない」
作った本人は不満そうに頬を膨らませるが眠そうに時折欠伸をするのでオーラがコミカルだ。
「エイボンこれの仕様を教えるの」
「・・・・・・・・・ええ」
「はぁ」
いったいこの武器の何が有用だというのだろうか。
こんなの普通の人間が扱っていいわけがない。
戦いは死と隣り合わせと言うが、これはそれを助長させているだけだ。
誰が好き好んで危険を冒すのか、そうは主張したがトナ校長は依然として必要なのと一言だけで片付ける。
「別に只の剣を使えばいい話じゃないですか」
「ふむ。だが分からんでもないな」
「ガルマーさん!?あなたまで・・・・・・・・・」
静かに佇んでいたガルマーという思わぬ敵にパールは驚くが、彼の表情に変化はない。
むしろ合理的だと言わんばかりに口を開いた。
「真の強者が使えばこれ以上ない武器になる。これはそういうシステムなのだろう?」
「それはそうですが・・・・・・・・・ですが・・・・・・・・・」
彼の言いたいことは分かる。
確かにこのシステムさえあれば冒険者が夢を見ていた理想の武器が作られたことになる。
しかしこれは・・・・・・・・・このシステムはまるで
「まるで人を使い捨てにするかのようなシステム、ってことかな?別にいいじゃん」
「俺も構わないと思うぜ?誰かで実験するならともかく使うのはトナ校長自身なんだろ?」
「お二人まで!」
さらに追い討ちをかけるように同意したタクとトマトに味方がいないことを悟る。
このシステムを作った本人はこちらの会話なんて気にもしないでトナ校長に専門的なことを話していた。
実は傲慢なトナ校長だが、何故かエイボンの言うことはよく聞くのだ。
真に不本意ながら。
「はっ!?あのマッドな保険医はどうなんですか!?」
「ああ。あいつ?なんでも新薬の実験を彼に試してそのレポート書き上げてるみたいだけど」
「何してるんですか!?」
「・・・・・・・・・いやまぁ、仕方ないと思うけど。だってギル君、ポーションとか絶対に効かないでしょ?」
「ギ、ギル君ですか」
確かに彼相手なら仕方ないか。
・・・・・・・・・と思いかけたところでトマトが呟いた。
「でもよ、動物実験もしないでいきなり人体実験はどうかと思うぜ?」
「あの保険医、人の命を何だと思ってるんですか!?」
「俺に言われても。だいたいあいつ連れてきたのトナ校長だし」
そうなのだ。
トナ校長は何でか知らないが異様に顔が広い。
だいたいギルやファル、ロロにジーナを入学させたのだってトナ校長だ。
パールは彼ら──ギルを除く──の何が問題なのかは知らされていない。
ガルマーは何かを知っているようだが聞いても教えてくれるような人物なので聞いていない。
E組に入れられるくらいなので何かしら問題があるとは思うのだが・・・・・・・・・。
残りの二人に関してはアレスに関してはトナ校長から聞かされているがティアマトに関しては何も知らない。
ただトナ校長が言うには彼女は問題があるというよりある意味ファルよりも特殊な存在らしい。
「ふぅ」
そもそもファルという人物の特殊性を知らないのにその人物を比較の対象にされても分からないのだが。
いや、答える気がないだけだろう。
「・・・・・・・・・それでトナ?」
「なの?」
「明日、キリア・・・・・・・・・じゃなくて、えーと・・・・・・・・・ファルをつれてきて」
「別に会いにいけばいいと思うの」
「駄目。あの子逃げるから」
「鹵獲すればいいの」
「・・・・・・・・・そうね。でも約束は約束」
「わかったの」
パールが考え込んでいる時、その二人は不穏な会話をしていた。
「あたいの出番ってわけかい?」
緑のショートヘアの少女は虚空に向かって話しかけていた。
そこには誰もいなく、一歩間違えれば精神病患者に間違われそうだが少女の不適な笑みは正常なそれだった。
しかも少女が立っているそこは大聖堂の十字架の真上。
一見神秘的に見えるが信者からすれば冒涜的である。
「へぇ?今度は数で攻めようってわけかい。まったくこの世界は退屈しないよ」
少女は大聖堂に潜んでいる者たちを見据えて、己の獲物を取り出した。
それは一本の金属で出来た短い棒。
服がまるで生きているかのように蠢き、その形を少女趣味でフリルがたくさんついているものに変わっていく。
少女はまるで先に刀身があるかのように構えて言った。
「さて魔法少女ティア、穢れを払うかな」
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