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トナ校長のクリスマスパーティ

もふもふ。
もふもふ。

「・・・・・・・・・あの?」

「いいから黙ってるの」

「・・・・・・・・・」

ひたすらにヌイグルミの柔らかさを確かめるかのように大人しく座っている彼女を抱きしめる。
無表情のそれからは僅かに困惑が滲み、周囲の者は苦笑して見守っている。

「あー、やっぱり女の子は柔らかくていいの・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・女の子と言われても」

「貴方は女の子なの。事実なの」

彼女も何を言っても無駄だということは分かっているのでただ無表情に僅かな疲れを描くだけだ。

「ケーキなの!ケーキを買ってくるの!ほら、タク買ってくるの!」

「ええー・・・・・・僕かよ・・・・・・」

「校長命令なの!早く行くの!」

ブツブツと文句を言いつつ校長室から出て行くタク。
その他にも校長室にはガルマー、パール、トマト、保険医がいた。

「ロン!ロンロンロン!」

「あの・・・・・・非常の申し上げにくいのですが、それチョンボです」

「うむ」

「馬鹿じゃねぇのおっさん」

「のうっ!?」

その4人は麻雀をしていた。
保険医は悶絶しながらゴロゴロと転がり、点棒を参加者に渡す。

「はぁー、世の中はクリスマスなの。そんな日にリーちゃんと一緒で嬉しいの」

「玩具じゃない」

「なの?ひょっとして婚約者のほうが良かったの?」

「別に。そういうの、気にする相手じゃない」

「なら今は大人しく私の玩具になって・・・・・・・なの?」

「・・・・・・・・・侵入者」

ポツリと彼女が呟いた言葉にトナ校長は大きく頷き、抱いていた彼女を一旦手放す。

「困ったの。タクがいないから罠で撃退できないの。まったく肝心な時に役に立たないの・・・・・・」

「なんという暴君・・・・・・」

「なの?リーちゃん何か言ったの?」

「別に。いってくる」

「あ、今日は私が行くの。リーちゃんは疲れてるだろうし、今日は私が!」

そう言って勢いよく校長室のドアを開けるトナ校長。
そして背後から聞こえた呟き。

「・・・・・・・・・殺さないでよ?」









「発見なの!」

「ひぃ!?何だこの化け物!魔法が効かないぞ!?」

「撃て!弓でも銃でも何でもいいから近寄せるな!」

「無駄無駄無駄無駄なの!」

トナ校長が走り、それを妨害するものが全て炎となって消えていく。
その小さな身体から発せられるのは人が持っているとは思えない程、膨大な魔力。
それを感じ取れるマジシャン達は既に全員逃げ出しており、侵入者はもはやどうやって逃げるかしか考えていない。
当てることを考えないで足止めしか考えていないような狙うことを放棄した弾幕にトナ校長は叫んだ。

「もう、邪魔なの!『祭られるは社の巫女、司るは砂時計。祭ったのは私!』」

「な!?なんだよそれ!?」

トナ校長の周囲にこれでもかと浮かぶ炎弾の数々。
これが一斉に発射されたらまず避けようがない上、防げるかどうかも不明な程の大きさである。

「ちょっ・・・・・・待て降参す」

「行くの!『フレアレイン!』」

侵入者が何かを言いかけたが構わずトナ校長は呪文を完成させた。
トナ校長の十八番であり、トナ校長だけのオリジナルマジック。
それは爆音を鳴らし、侵入者の周辺全てに破壊の痕を残していく。
3秒程持続させてから解除すると侵入者達はピクピクと痙攣して気絶していた。
相手の被害は様々だが・・・・・・・まぁ全員戦闘不能だしいいだろうとトナ校長は思い、騎士団に連絡、そして部屋に帰った。






帰ったのだが・・・・・・

「いひゃいいひゃいいひゃい!」

「ふ、ふふふ・・・・・・トナ?」

「リーちゃん私、激しいのより優しいほうがいいの・・・・・」

「反省の色・・・・・・なし」

「なの!?は、反省してるの!」

待っていたのは説教だった。
麻雀をしていた4人は最初こそこの光景を珍しげに眺めていたが次第に飽きたのか麻雀に戻っていた。
今ではイカサマがどうこうでもめている。

「確かに殺してない。でも・・・・・・校舎を破壊していいなんて言ってない」

「別にリーちゃんの所有物じゃないからいいんじゃーいたいいたいいたいの!」

アイアンクローでギチギチとトナ校長の頭が締め上げられているが、彼女には分かっていた。
そもそも反省なんてするわけがない、と。

「おう、帰ってきた・・・・・・んだけど、何これ?」

「タク」

「おう、どうし・・・・・・・・・は、なんでしょうか」

「そのケーキ、私が持って帰る」

「なの!?リーちゃん独り占めよくないの!」

独占禁止法だ!と叫んでいるトナ校長であるが、彼女がトナ校長を見た瞬間その表情は固まった。

「なの・・・・・・・・・ごめんなの」

シュンと叱られた子供のように小さくなるトナ校長を確認して彼女は溜息を吐いた。

「・・・・・・・・・仕方ない。タク、皿」

「えー、僕パシリじゃないんだけど」

「タク?」

「い、いえっさー!」

ギロリと彼女に睨まれたタクが冷や汗を流して厨房に駆け込んでいくのを見送ってから彼女は言った。

「さっさと終わらせる。ケーキ、食えないでしょ」

「む、仕方あるまい」

「ですね」

「ひっひっひっ。無問題さ!」

彼女の言葉に4人は卓を片付け始めるが、最下位だったトマトだけは複雑な心境で片付けていた。

「・・・・・・・・いいの?」

「仕方ない。次からは気を付けて」

「わ、わかったの」

トナ校長はこれ以上何かを言うと薮蛇の可能性があるので何もいわずに素直に席に座る。

「持ってきたよー」

「私が斬る」

「・・・・・・・・・漢字違わなくねぇか?」

「うるさい野菜」

「トマトだっての!というか人の名前に何ケチつけてんだよ!」

彼女の毒にウガーと唸りをあげるトマトに切り分けられたショートケーキが置かれた。

「タク、これは何のケーキですか?場所によってチョコレートだったりイチゴだったりと落ち着きがありませんけど」

「ふむ・・・・・・摩訶不思議なケーキだな」

「それを部位ごとに綺麗に切り分けるって何者だよてめぇ」

「だからうるさい野菜」

「野菜って言うな!」

どこか置いてけぼりな気分を味わうトナ校長だが、去年に比べれば随分マシだ。
彼女が来てから止まっていた時間が再び動き出した、そんな気がした。
ならば彼らも来れば・・・・・・そう思うがきっと来年はもうこんな時すら味わえないだろう。
ならば今だけ、お願いだから今だけ。
ふと外を見ると、雪が降っていた。
午前2時から始め現在真夜中の4時。
まだまだパーティは始まったばかりだ。

「トナどうした?」

「なんでもないの!あ、私はチョコレートのほうが・・・・・・」

まだ滅びは始まっていない。
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