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1-2 空を行く船で飛行船

ジュノーで生まれ育った僕は高所恐怖症というものが理解できない。
落ちるような行為をしなければ大丈夫じゃないかと思ってしまうが、ジュノーの住民は皆そんな感じなのである。
だからファルにとってペン太さん(仮名)が顔を青くしてプルプルと震えているのが理解不能である。
今ファル達が乗っているのはジュノーと伊豆、さらにラヘルを繋ぐ定期飛行船だ。
船の中に入ればギャンブルがやっていたり──というかギャンブルしかない──賑やかなのだが、
ペン太さんは

「ふ・・・・ふふふふ・・・これが私の兄が編み出した超絶必殺技・・・・ひぃっ許して!」

「ペン太さん大丈夫ですか?」

「かゆ・・・・・・・・・うま・・・・・・・・・」

どうやらダメのようだ。
一方、ファルの幼馴染は船から何を考えたのか叫んでいた。

「空だあああああああ!」

「ちょ、ちょっとやめてよ!皆見てるじゃない!」

ギルは相変わらず馬鹿だった。

「ほら、ロロも叫ぶんだ!魂の叫びを・・・・・・・・・!」

「へ?」

まさかそう来るとは思っていなかったロロはキョトンと声を漏らした。
そしてギルはロロの手をとり

「空だああああああ!ほら、ロロも」

「え?えーと・・・・・・・・・そ、空・・・・・・・・・だぁ・・・・・・・・・って言えないわよ!」

ギルの強引な誘いに思わずのってしまうロロだが、恥ずかしさが上回ったのかすぐに正気の戻った。
同じ方法で止めても意味がないかもしれないと思い、視線があったファルに視線で助けを求める。

「いいじゃないか、叫べば」

頼みの綱のファルはあっさりと見放したが。

「嫌よ!だいたい何よそれ!?ファルもこの馬鹿を止めなさい!」

「え?」

「その疑問に満ちた顔はいった何よ!?・・・・・・・・・はっ!」

そこで何かに気付いたかのようにロロは叫び続けているギルを見た。

「ファル!あんたの入れ知恵ね!」

「それを否定するのは正直者を自称する僕にとって辛いことだ・・・・・・・・・」

「遠まわしに否定しても分かるわよ!」

ウガーと吼えるロロだが、幸いにも風が強いのでお得意のキックが飛んでこない。
何の関係が、という話だが今のロロはスカートをはいている。
もちろん普段なら羞恥心など捨てたと言わんばかりにとび蹴りを放つロロだが、今は周りに多くの他人がいるのだ。

「ふふふ・・・・・・・こう人がいてはとび蹴りを放てまい!」

これこそが絶対バリアー・・・・・・・・・!

「うるさい!」

「ぐはぁっ!」






「まさか冒険者になる前に死にそうになるなんて思わなかったな」

「うう・・・・・・だから何度も悪かったって言ってるでしょ!」

あの時殴られたファルはそのまま慣性の法則に従って飛行船から紐なしバンジーをする寸前だったのだ。
我に返ったペン太さんが咄嗟に氷でクッションを作ってくれなければ間違いなく今頃海の藻屑と化していたに違いない。

「ところでギル、大丈夫か?」

「おえ・・・・・・・・・たぶん・・・・・・・・・」

力なく答えるギルだが、顔はペン太さんと同じく真っ青で先程から口元を押さえていた。

「まさか船酔いとはな・・・・・・・・・」

「俺もこれは予想外だった・・・・・・・・・うっぷ」

「ちょっと私に近寄らないでよね」

ロロから汚物に見られるかのような視線を受けているギルだが、それに抗議するだけの体力は残されていないらしい。
力なく手を振っては大きく深呼吸をしている。
・・・・・・・・・しているのだが



自主規制




「空から吐くってどうなんだ」

「んー・・・・・・たぶん大丈夫よ。ギリギリ海に落ちたと思うわ」

飛行船の手すりから下を見つめるロロの報告に安心しつつファルはまだ顔が青い幼馴染の背中をさすっている。
それにしてもとファルは思う。
ジュノーは空に浮かんだ都市だ。
もちろん風が強い日は多少揺れているはずなのである。
そんな中で育ったギルが飛行船くらいで酔うとは思えないのだ。
だいたい飛行船には風を防ぐ術式が刻まれていたはずである。

「・・・・・・・・・どうでもいいか」

別に医者じゃないんだし、分かるはずがないと思い、幼馴染の看病を続けた。
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