主従クライマックス 2話『前兆』
雅樹様の指示で勘当された朝霧真を秘密裏に東雲家の最奥にある雅樹様の部屋に通してから数分たった。
なんで俺が、夕菜様を拒絶したこいつを・・・・・・・・・ここに通すまではずっとそう思っていた。
しかし静まり返った深夜故に微かに聞こえた話し声は、俺に衝撃を与える。
なるほど、だから真様は・・・・・・・・・。
今日のあの時は怒りでいっぱいいっぱいだったが、今ではその理由がよく分かる。
しかしそれに対して雅樹様が提案したゲームとはいったい、何がしたいんだ?
真様を屋敷の外までお送りしてから、雅樹様に報告する時に聞いてみた。
「あの・・・・・・・・・雅樹様?」
「なんだ」
「何故あのような提案を?」
あのゲームはいったい東雲家に何の意味が?
そういった疑問なのだが、雅樹様はそれを鼻で哂った。
「実はあるのだよ。このような前例が、前にもな」
「前例・・・・・・・・・?その時はどのようなことが?」
「・・・・・・・・・」
雅樹様は何かを懐かしむように、遠くを見ながら呟いた。
「この屋敷が半壊した」
「は?」
「ついでに言えば当時の東雲家当主も逃げた」
「・・・・・・・・・は?」
「さらに言えば朝霧家は全焼した」
「・・・・・・・・・」
なるほど。
つまりこれは非常事態ということらしい。
となれば周囲の評価はどうあれ真様のした判断は正しいとしか言えなかった。
もし真様が夕菜様と主従関係を結んでれば・・・・・・・・・考えるだけで恐ろしい。
「ですが、それでは真様には不利なのでは?」
失礼であるが、夕菜様がこのゲームをクリアできるとは思えない。
「たしかに真は自身の全てをこのゲームで賭けている。
それに対して不利なのは分かっておるが・・・・・・・・・それは夕菜が原因。
本来一年と言わず一月あれば可能なゲーム、ならば妥当だろう」
かくして数日前にそんな会話が自室の横で行われていたなんて知るわけもない夕菜は悶々としていた。
「ゲーム・・・・・・・・・ゲームだよぅ」
ゲーム、遊びごと、または遊戯のこと。
勝負とも訳す。
・・・・・・・・・そういう意味じゃないよね。
「うにゃああああ!」
敷かれた布団の上でゴロゴロと転がりながら悶絶する。
真ちゃんが提案したそのゲームをクリアできれば真ちゃん曰く、何でも言うことを聞いてくれるらしい。
もちろん主として認めさせることも、そう言っていた。
つまるところ、これは真ちゃんに主として自分を認めさせるための試験なのだ。
そもそも試験なしに主として認めろなんてムシの良い話である。
「えっと・・・・・・・・・真ちゃんが私を主にしなかった理由、だよね?」
それを一年後の今日に答えを出すこと。
少なくとも真ちゃんは一年自分の下を離れない、そのことに安堵しつつ普段回転しない頭をふる稼動させる。
認められない理由といえば、やはり私に欠点があるってことだよね?
んー・・・・・・・・・料理が出来ない?
掃除が出来ない・・・・・・・・・洗濯物も出来ないし、お裁縫なんてしたら自分の指が布の一部になる自信がある。
・・・・・・・・・まさか、容姿?
ふと、鏡を見てみる。
「・・・・・・・・・」
そこには金髪ポニテのすらっとした肉体を持つ自分がいた。
悪くないと思うのだが・・・・・・・・・やはり胸まですらっとしてるとか、ロリ体系なのが頂けないのだろうか。
いや真ちゃんは人を外見で判断しないと思う。
だからロリ体系なんて・・・・・・・・・体系なんて
「にゃあああああああああ!」
「お兄ちゃん!ご飯だよー」
「ん、了解」
真が転がり込んだのは、昔朝霧家の命令で一緒に仕事したことのあるとある刑事の家だった。
最初はアパートの一室を借りる予定だったが、巡回中だった刑事、赤井大地に見付かり現在に至る。
「はやくはやく!」
彼女は赤井大地の娘、凛ちゃんだ。
元気すぎる9歳児で、冬休み中やたらあちこち引っ張りまわされて朝霧家の職務より大変だった。
その際偶然明に出会い「やっぱりロリコンか?」と聞かれたので、とりあえずぶん殴っといた。
「帰ってきてたの?」
「さっきね。真君のほうも、この家は慣れたかい?」
「だいぶね。大地のほうこそまたヘマしてないよね?」
「またその話か・・・・・・・・・」
たまに真は大地をこのことでからかうことがある。
本来一度きりの出会いであったはずの二人がまるで同僚のように話し合っているのも、この話が起因する。
それ以来プライベートでもちょくちょく会い、大地の家族とは顔見知りであった。
「真君その話、わたし聞きたいわ。大地さん全然教えてくれないんだもの」
そしてその話を聞きたがるのは大地の妻である赤井里枝さん。
大地、どうやって射止めたんだって問い詰めたいほど美人である。
数日前に聞いてみると昔テロリストの凶弾から身を呈して守ったのだとか。
奇跡的に急所は外れていたらしく、しばらく病院暮らしであった大地のお見舞いをしているうちに恋人になったらしい。
・・・・・・・・・どこの主人公補正だよ。
「いいや!真君絶対言っちゃ駄目だよ!駄目だからね!」
「はいはい」
まぁ惚れている人に自らの汚点をわざわざ話したいとは思わないよな。
そう納得して、席に座る。
「いただきますっと」
食事をしながら今日何があったかをお互い話し合う。
朝霧家の食事は基本一人だったので、これはこれで斬新なものだ。
・・・・・・・・・いや、そもそも朝霧家で食べたことすら数少ないのだが。
「それで父さんは並居る不良を無双モードでな・・・・・・・・・」
「お父さんすごい!」
「大地さん。少しオーバーな気がするわ」
しかし今日に限って考えるのは夕菜のこと。
ゲームを提案したはいいが、きっと望みは薄いだろう。
そもそも自分の願いと夕菜の願いは決定的にズレが生じている。
それを夕菜自身が気付かない限り、自分はこの町を去るしかないだろう。
「・・・・・・・・・んくん?真君?」
「へ?ああ、なんですか?」
「ボーっとしてどうしたんだい?」
随分長いあいだ会話に参加していなかったのか、食卓を見れば自分の食事だけやたら余っていた。
赤井家はもう殆ど食べ終えており、手を止めて俯いている真の様子をおかしく感じたのだろう。
「いや、なんでもないよ。久々の学校だったから疲れが溜まってるんだと思う」
そう言って、思い出したかのように手を動かした。
「なぁ真。そういやお前、最近何してんだ?」
ゲーム開始の次の日、明が訝しげに真に質問していた。
といっても質問の内容が曖昧すぎて本人にはさっぱりであるが。
「何してるって・・・・・・・・・どういうこと?」
「いやさ、妙に俺の家の近辺でお前のこと見かけるし・・・・・・・・・」
明の家と真の実家は学校を挟んだ向こう側にある。
つまり正反対である明の家の近辺に真が現れるのは何か用事があってのことのはずだ。
「アルバイトをね」
「は?だってお前の家って・・・・・・・・・そういや家出中なんだっけか」
朝霧家の財産を真は勝手に、しかも際限なく使えたのだが今その手段はとることが出来ない。
そもそも家から追い出されたのに勝手にお金を使えばそれはもはや窃盗である。
真とて高校生で前科がつくのは勘弁してほしい。
「学費はまぁ、学園長と掛け合って免除にしてもらったんだけど・・・・・・・・・さすがにその他の費用がね」
「ふぅん。で、何のバイトなんだ?」
明が何の気兼ねなく問いかける。
ちなみにその時教室の空気は完全に緊迫していた。
もちろんそれに真と明は気付いているが既に慣れたのか内容を隠そうともしない。
「ま、お前なら選びたい放題だろうけどな」
「まぁね。こういう時だけは朝霧家の教育も役に立つよ」
といっても朝霧家の人間であることは不便の代名詞みたいなもんだ、と真は付け加えた。
「今は探偵の助手やってる。探偵って言っても便利屋扱いなんだけどね」
「へぇ。便利屋ってのは、ある意味似合ってんじゃないか?」
「そうなんだけど・・・・・・・・・この前なんてホテルのコックやらされた」
「ちょっと待て。それは探偵の仕事じゃないだろ。いや探偵の仕事を実際知ってるわけじゃないけど絶対に何か違う」
だよね、と真は同意して溜息を吐いた。
しかし疲れた表情を見せた次の瞬間、何を感じ取ったのか周囲を探るように見渡し、ズルズルと壁ににじり寄る。
「・・・・・・・・・?どした?」
「やばい。何かよく分からんけど、やばい」
「厨二病か?」
「違うに決まってるでしょ。だいたい明こそ・・・・・・・・・っ!?」
言葉を言い切る前に本能に従って思い切り身を前に投げ出す。
それに遅れるように背後に鳴り響く破壊音に目もくれずに教室の外へと走り出した。
やばい、これはやばい。
というかなんで・・・・・・・・・夕菜が俺のこと襲ってくるんだよ!?
えっと、だから、えーと・・・・・・・・・なんだっけ?
そうそう、真ちゃんに私のことを認めさせればいいんだっけ。
延々と寝ずに考え続けて何も思い浮かばず、とうとう朝を迎えてしまった。
小鳥さんおはよう。でも寝てないからこんにちわでいいよね。
「こんにちわ、小鳥さん」
・・・・・・・・・そういえば真ちゃん、私が朝の挨拶を小鳥さんにした時凄い微妙そうな顔してたっけ。
あれなんなんだろ?
「・・・・・・・・・って違うよ!いけないいけない」
そう、今はどうやって真ちゃんに認めてもらうかだ。
・・・・・・・・・えっと、だから・・・・・・・・・そう、当主として認めてもらえるか?
ってじゃあ簡単じゃん。
私はあらゆる武術において最強と名高い東雲家の人間。
ならばその当主に何が求められるか決まっている。
そう、ならば・・・・・・・・・戦争だ。
「ふ・・・・・・・・・ふふふ。ふふふふふふふふふふ」
なんで俺が、夕菜様を拒絶したこいつを・・・・・・・・・ここに通すまではずっとそう思っていた。
しかし静まり返った深夜故に微かに聞こえた話し声は、俺に衝撃を与える。
なるほど、だから真様は・・・・・・・・・。
今日のあの時は怒りでいっぱいいっぱいだったが、今ではその理由がよく分かる。
しかしそれに対して雅樹様が提案したゲームとはいったい、何がしたいんだ?
真様を屋敷の外までお送りしてから、雅樹様に報告する時に聞いてみた。
「あの・・・・・・・・・雅樹様?」
「なんだ」
「何故あのような提案を?」
あのゲームはいったい東雲家に何の意味が?
そういった疑問なのだが、雅樹様はそれを鼻で哂った。
「実はあるのだよ。このような前例が、前にもな」
「前例・・・・・・・・・?その時はどのようなことが?」
「・・・・・・・・・」
雅樹様は何かを懐かしむように、遠くを見ながら呟いた。
「この屋敷が半壊した」
「は?」
「ついでに言えば当時の東雲家当主も逃げた」
「・・・・・・・・・は?」
「さらに言えば朝霧家は全焼した」
「・・・・・・・・・」
なるほど。
つまりこれは非常事態ということらしい。
となれば周囲の評価はどうあれ真様のした判断は正しいとしか言えなかった。
もし真様が夕菜様と主従関係を結んでれば・・・・・・・・・考えるだけで恐ろしい。
「ですが、それでは真様には不利なのでは?」
失礼であるが、夕菜様がこのゲームをクリアできるとは思えない。
「たしかに真は自身の全てをこのゲームで賭けている。
それに対して不利なのは分かっておるが・・・・・・・・・それは夕菜が原因。
本来一年と言わず一月あれば可能なゲーム、ならば妥当だろう」
かくして数日前にそんな会話が自室の横で行われていたなんて知るわけもない夕菜は悶々としていた。
「ゲーム・・・・・・・・・ゲームだよぅ」
ゲーム、遊びごと、または遊戯のこと。
勝負とも訳す。
・・・・・・・・・そういう意味じゃないよね。
「うにゃああああ!」
敷かれた布団の上でゴロゴロと転がりながら悶絶する。
真ちゃんが提案したそのゲームをクリアできれば真ちゃん曰く、何でも言うことを聞いてくれるらしい。
もちろん主として認めさせることも、そう言っていた。
つまるところ、これは真ちゃんに主として自分を認めさせるための試験なのだ。
そもそも試験なしに主として認めろなんてムシの良い話である。
「えっと・・・・・・・・・真ちゃんが私を主にしなかった理由、だよね?」
それを一年後の今日に答えを出すこと。
少なくとも真ちゃんは一年自分の下を離れない、そのことに安堵しつつ普段回転しない頭をふる稼動させる。
認められない理由といえば、やはり私に欠点があるってことだよね?
んー・・・・・・・・・料理が出来ない?
掃除が出来ない・・・・・・・・・洗濯物も出来ないし、お裁縫なんてしたら自分の指が布の一部になる自信がある。
・・・・・・・・・まさか、容姿?
ふと、鏡を見てみる。
「・・・・・・・・・」
そこには金髪ポニテのすらっとした肉体を持つ自分がいた。
悪くないと思うのだが・・・・・・・・・やはり胸まですらっとしてるとか、ロリ体系なのが頂けないのだろうか。
いや真ちゃんは人を外見で判断しないと思う。
だからロリ体系なんて・・・・・・・・・体系なんて
「にゃあああああああああ!」
「お兄ちゃん!ご飯だよー」
「ん、了解」
真が転がり込んだのは、昔朝霧家の命令で一緒に仕事したことのあるとある刑事の家だった。
最初はアパートの一室を借りる予定だったが、巡回中だった刑事、赤井大地に見付かり現在に至る。
「はやくはやく!」
彼女は赤井大地の娘、凛ちゃんだ。
元気すぎる9歳児で、冬休み中やたらあちこち引っ張りまわされて朝霧家の職務より大変だった。
その際偶然明に出会い「やっぱりロリコンか?」と聞かれたので、とりあえずぶん殴っといた。
「帰ってきてたの?」
「さっきね。真君のほうも、この家は慣れたかい?」
「だいぶね。大地のほうこそまたヘマしてないよね?」
「またその話か・・・・・・・・・」
たまに真は大地をこのことでからかうことがある。
本来一度きりの出会いであったはずの二人がまるで同僚のように話し合っているのも、この話が起因する。
それ以来プライベートでもちょくちょく会い、大地の家族とは顔見知りであった。
「真君その話、わたし聞きたいわ。大地さん全然教えてくれないんだもの」
そしてその話を聞きたがるのは大地の妻である赤井里枝さん。
大地、どうやって射止めたんだって問い詰めたいほど美人である。
数日前に聞いてみると昔テロリストの凶弾から身を呈して守ったのだとか。
奇跡的に急所は外れていたらしく、しばらく病院暮らしであった大地のお見舞いをしているうちに恋人になったらしい。
・・・・・・・・・どこの主人公補正だよ。
「いいや!真君絶対言っちゃ駄目だよ!駄目だからね!」
「はいはい」
まぁ惚れている人に自らの汚点をわざわざ話したいとは思わないよな。
そう納得して、席に座る。
「いただきますっと」
食事をしながら今日何があったかをお互い話し合う。
朝霧家の食事は基本一人だったので、これはこれで斬新なものだ。
・・・・・・・・・いや、そもそも朝霧家で食べたことすら数少ないのだが。
「それで父さんは並居る不良を無双モードでな・・・・・・・・・」
「お父さんすごい!」
「大地さん。少しオーバーな気がするわ」
しかし今日に限って考えるのは夕菜のこと。
ゲームを提案したはいいが、きっと望みは薄いだろう。
そもそも自分の願いと夕菜の願いは決定的にズレが生じている。
それを夕菜自身が気付かない限り、自分はこの町を去るしかないだろう。
「・・・・・・・・・んくん?真君?」
「へ?ああ、なんですか?」
「ボーっとしてどうしたんだい?」
随分長いあいだ会話に参加していなかったのか、食卓を見れば自分の食事だけやたら余っていた。
赤井家はもう殆ど食べ終えており、手を止めて俯いている真の様子をおかしく感じたのだろう。
「いや、なんでもないよ。久々の学校だったから疲れが溜まってるんだと思う」
そう言って、思い出したかのように手を動かした。
「なぁ真。そういやお前、最近何してんだ?」
ゲーム開始の次の日、明が訝しげに真に質問していた。
といっても質問の内容が曖昧すぎて本人にはさっぱりであるが。
「何してるって・・・・・・・・・どういうこと?」
「いやさ、妙に俺の家の近辺でお前のこと見かけるし・・・・・・・・・」
明の家と真の実家は学校を挟んだ向こう側にある。
つまり正反対である明の家の近辺に真が現れるのは何か用事があってのことのはずだ。
「アルバイトをね」
「は?だってお前の家って・・・・・・・・・そういや家出中なんだっけか」
朝霧家の財産を真は勝手に、しかも際限なく使えたのだが今その手段はとることが出来ない。
そもそも家から追い出されたのに勝手にお金を使えばそれはもはや窃盗である。
真とて高校生で前科がつくのは勘弁してほしい。
「学費はまぁ、学園長と掛け合って免除にしてもらったんだけど・・・・・・・・・さすがにその他の費用がね」
「ふぅん。で、何のバイトなんだ?」
明が何の気兼ねなく問いかける。
ちなみにその時教室の空気は完全に緊迫していた。
もちろんそれに真と明は気付いているが既に慣れたのか内容を隠そうともしない。
「ま、お前なら選びたい放題だろうけどな」
「まぁね。こういう時だけは朝霧家の教育も役に立つよ」
といっても朝霧家の人間であることは不便の代名詞みたいなもんだ、と真は付け加えた。
「今は探偵の助手やってる。探偵って言っても便利屋扱いなんだけどね」
「へぇ。便利屋ってのは、ある意味似合ってんじゃないか?」
「そうなんだけど・・・・・・・・・この前なんてホテルのコックやらされた」
「ちょっと待て。それは探偵の仕事じゃないだろ。いや探偵の仕事を実際知ってるわけじゃないけど絶対に何か違う」
だよね、と真は同意して溜息を吐いた。
しかし疲れた表情を見せた次の瞬間、何を感じ取ったのか周囲を探るように見渡し、ズルズルと壁ににじり寄る。
「・・・・・・・・・?どした?」
「やばい。何かよく分からんけど、やばい」
「厨二病か?」
「違うに決まってるでしょ。だいたい明こそ・・・・・・・・・っ!?」
言葉を言い切る前に本能に従って思い切り身を前に投げ出す。
それに遅れるように背後に鳴り響く破壊音に目もくれずに教室の外へと走り出した。
やばい、これはやばい。
というかなんで・・・・・・・・・夕菜が俺のこと襲ってくるんだよ!?
えっと、だから、えーと・・・・・・・・・なんだっけ?
そうそう、真ちゃんに私のことを認めさせればいいんだっけ。
延々と寝ずに考え続けて何も思い浮かばず、とうとう朝を迎えてしまった。
小鳥さんおはよう。でも寝てないからこんにちわでいいよね。
「こんにちわ、小鳥さん」
・・・・・・・・・そういえば真ちゃん、私が朝の挨拶を小鳥さんにした時凄い微妙そうな顔してたっけ。
あれなんなんだろ?
「・・・・・・・・・って違うよ!いけないいけない」
そう、今はどうやって真ちゃんに認めてもらうかだ。
・・・・・・・・・えっと、だから・・・・・・・・・そう、当主として認めてもらえるか?
ってじゃあ簡単じゃん。
私はあらゆる武術において最強と名高い東雲家の人間。
ならばその当主に何が求められるか決まっている。
そう、ならば・・・・・・・・・戦争だ。
「ふ・・・・・・・・・ふふふ。ふふふふふふふふふふ」
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