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勇者代理で来ました

グツグツグツ・・・・・・

丑三つ時を過ぎた深夜、ふと目が覚めて階段を下りると台所にお姉ちゃんがいた。
何を煮ているのか、鍋のかき回しつつ砂時計を眺めている。

「ふふ・・・・・・・・・ふふふふ」

うん、関わっちゃいけないよね。
私はそれを見なかったことにして階段を上が・・・・・・・・・ろうとした。

「あら花乃音。どうしたの?」

外国のお母様、お父様、変態に声をかけられました。

「・・・・・・・・・今度は何作ってるの?」

「あらあらあら。聞きたいかしら?」

「・・・・・・・・・」

どうしよう本当に。
聞いておけば今後何かが起こった時に対策をたてられるかもしれない。
しかしそれを聞くことによってSAN(正気)値がガリガリと削られる可能性も否定できない。
あとお姉ちゃん、その鍋から漂う湯気が紫色なのは気のせいだよね?

「んー・・・・・・・・・花乃音。ちょっとこっち来なさい」

「やだ」

「いいから」

「絶対にやだっ!」

今までの経験から分かるこのパターンは、非常に危険だ。
私が厄介ごとに巻き込まれる確立が非常に高い。
なので断固拒否する。
私は平和な日常を謳歌したいのだ。

「来い」

「はいお姉さま!」

が、平和とは時に脆く崩れ去るものだ。

「これ飲みなさい。大丈夫、別に死なないわ。・・・・・・・・・たぶん」

しまった、これは死亡フラグだ。
お姉ちゃんが最後に何かぼそっと付け足したけど、聞き返さなくても分かる。

「はいこれ」

謎の液体Xを小皿に入れて渡すお姉ちゃん。
・・・・・・・・・暗くて中身が見えないのは幸いと見るべきか、不幸と見るべきか。
お姉ちゃんを見ると目をキラキラさせながらこちらを見ている。
これは逃げられそうにない。

「ええいっ!」

勢いよく、というか味わう気皆無な勢いでそれを胃の中に流し込む。

「・・・・・・・・・?」

特に何も変化は・・・・・・・・・っ!?

────ジジジ

え、何この音。
まるでショートした回路のような音を奏でつつそれはだんだんと大きくなる。
ふと気が付くとお姉ちゃんの背後に、黒い孔があった。
そして気付く。
あの孔がこの世のものでないことに。

「お姉ちゃん後ろ!」

私は大声でお姉ちゃんに注意をした。

「大丈夫よ花乃音。あれはただの召喚の為のものよ」

「え?」

お姉ちゃんが静かに孔の正体を言う。
この世界では明らかに異物であるそれを知るお姉ちゃんは、特別な存在だった。
私がまだ小学校に通っていた頃に1年間行方不明になったお姉ちゃん。
1年後に帰って来たお姉ちゃんは、御伽噺の中で存在する『魔法使い』になっていた。
なんでも異世界に勇者として召喚されて、帰って来たらしい。
まだ子供だった私はお姉ちゃんを信じ、異世界の旅の話を目を輝かせながら聞いたものだ。

「お姉ちゃん、また行くの?」

昔、お姉ちゃんが行方不明になった時、私は泣きに泣いたものだ。
もしかして今度は帰ってこないんじゃないだろうか、そんな不安から出た言葉だが、私は後になって思う。

「大丈夫よ、花乃音」

「・・・・・・・・・お姉ちゃん?」
     ・・・
「行くのはあなただから」

一般人にすぎない私が孔なんて非常識な代物を見た時、全速力で部屋に戻るべきだったと。








視界が反転、勢いのまま石畳の上を転がった。

「いったあああぁぁぁぁっ!?」

後頭部を押さえながら痛さのあまりに叫ぶ。

「あの、リムル様?」

「何!?」

って、今声をかけたのは誰だろう。
恐る恐る顔をあげて周囲を確認するとそこには目を丸くしている見物客と赤いマントをした金髪碧眼の青年。
・・・・・・・・・あの、私見世物じゃないというか、何かしました?
というかお姉ちゃんの名前知ってるあんた誰?

「いや、私は花乃・・・・・・・・・」

「リムル様!お待ちしておりました!ようやく・・・・・・ようやく帰ってきて下さったのですね!」

いや話聞いてよ。
だから私お姉ちゃんじゃないんだって。

「リムル様、これを」

そして金髪は恭しく膝をついて鞘に入った剣を差し出した。
柄の中央に赤い宝石がはまっており、ファンタジックな代物である。
しかし金髪君。
これを、とか渡されてもこんなもの持ってたら銃刀法違反で捕まるんだけど。

「何これ?」

「何これ、とはご冗談を。聖剣に決まってるじゃありませんか」

「・・・・・・・・・えっと、私が誰か分かる?」

「当然じゃないですか!」

まるで私が・・・・・・・・・というか私を通してみている誰かを誇りに思い、金髪君は堂々と言い放った。

「我が世界を救った勇者、リムル様じゃないですか!リムル様、魔王がよみがえりました。再び我らと共に戦いましょう!」

・・・・・・・・・

「いやああああああぁぁぁぁぁ!?」
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