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2-16 しょうもない喧嘩

広間でギルは暇を持て余していた。
逆にロロは広間に設置されているテレビ番組に夢中になっており、それがギルの暇をさらに増大させている。
ふとテレビを見てみると今、モンスター避けの魔法機械のニュースをしているところだった。
なんでもモンスターが嫌がる特定の波長を周囲に流すことによって街を安全にしようという実験らしいのだが、
弱いモンスターにしか効果がなく、むしろ強いモンスターを引き寄せてしまう可能性もあるらしい。

「って、どうでもいいか」

自分が魔法機械を作ったり語ったりする為には知識が圧倒的に足りない。
こういうのはファルやジーナに語らせておけばいい。

「そういえばまた二人でいなくなったな」

先程ファルの部屋に行ってみたが誰もいないようで、ロロの話によるとジーナもいないらしい。
ダブルダブルに誘おうと思ったのだが・・・・・・。

「あ、いたいた!おーい!」

静かな広間で他の学生がいるにも関わらず大声をあげて手を振っているのはティアマト。
その手には黒い煙を吐いているアレスが引き摺られている。

「・・・・・・・・・どうしたんだ?」

「うん?ああ、これね。いやぁ・・・・・・ちょっとあたいの作った薬の実験台に」

ギルの視線に気付いたティアマトがさらりととんでもないことを言い放った。
チラリとロロを見てみるが相変わらずテレビに夢中である。
昔一度食べたロロの料理は、口に入れた瞬間気絶してしまうようなとんでもな代物だった。
見た目は真っ赤で・・・・・・・・・起きたら綺麗になくなっていたが、誰が食べたんだ?
そういえばあの頃からロロは彼女に懐いたんだっけ。
・・・・・・・・・彼女?

「はぁ」

「どしたの?」

「いや、少しな」

「ふぅん?ところでファルファルとジーナはんがいないね」

「別に四六時中一緒なわけじゃないさ。むしろ俺とロロ、ファルとジーナで別れてる時のほうが多い」

本当にあの二人は何処で何をやっているのか検討もつかない。
一度気になって二人を尾行したことがあるのだが、その時に行った場所が深夜のスーパーだった。

「ねぇねぇ、あの二人って付き合ってるの?」

と、つい二年前まで初対面の方がいつも聞いてきたそれを再び聞かされた。

「ファルはやめとけ。あいつを落とすのは難しいぞ」

今まで何回橋渡しを頼まれ、何度理不尽な怒りがこちらへ向いたか数え切れないほどだ。

「へ?何の話?」

「ファルが好きになったからその周囲の状況を教えてくれ、って話じゃないのか?」

と、思ったのだが、どうやら違うらしくティアマトは豪快に笑いながら座った。

「いやさ、どうも気になるんだよねあの二人。好きあっている素振りはないのにオーラが夫婦って感じで」

「分かる!俺も昔気になって聞いたみたんだけどよ」

その時の回答はいまだに自分の頭を悩ませている。

「なんでも、近いようで遠いってよく分からん答えだった」

「はぁ?それって答えになってないんじゃないの?」

「俺に言われてもな・・・・・・」

別に自分が言ったわけではないのに問われても、ギルには分からない。

「ふーん?ところでさ、それならあんた達はどうなの?」

興味が薄れたのかティアマトはつまらなさそうな顔をし、何を思いついたのか一気に小悪魔顔へと変化した。
・・・・・・・・・なんでだろう、急にこの場から去りたくなった。

「何が?」

「ほれほれ、そこの二人。ギルっちにロロっち!二人、付き合ってんの?」

「「ぶっ!?」」

思わずロロを見てみると、そこにはテレビを見ていたにも関わらず顔を真っ赤にしてこちらを見ていた。
顔が熱くなるのを感じ「おやおや?お二人さん、顔が真っ赤だよ?」と
爆笑しているティアマトを殴り飛ばしたい衝動に駆られる。

「なななな、そんなことあるわけないでしょ!私の理想はもっと知的な人で、野蛮人なんかじゃないわよ!」

「や・・・・・・野蛮人?」

「そうよ!それで強くてカッコいいんだから!」

プッツン、と何かが切れる音が聞こえ、口が勝手に開いた。

「・・・・・・・・・そうかいそうかい。じゃあ俺の理想も言わせてもらおうか」

「な、何よ?」

「まず暴力振るわない。殴るとか蹴るとか、論外だな。そんでもっておしとやか。
 間違っても人のことを野蛮人なんて言わない人が理想だな」

「っー!?もう寝るわ!」

ロロがさらに顔を真っ赤にさせて広間を出て行くと同時にテレビから流れてくる高い声。

『まじかるえんじぇる!ネール!』

「ぶっ・・・・・・・・あっはっはっはっ!ひぃーっ・・・・・死ぬ!笑い死ぬ!!
 なんてタイミングで・・・・・・ひっひ・・・・・・・・ぷっ・・・・最高!」

「お前な!」

ギルが本気でティアマトを睨みつけると、周囲の視線がこちらへ集中していることに気付く。

「いやぁ、青春だねぇ?」

それでも微妙に顔が引き攣って笑いを堪えているティアマトの言葉に言った。

「何が」

「別にまだ付き合ってすらいないのに痴話喧嘩って青すぎ・・・・・・ぶっ」

「へいへい。そのまま笑い死んでろ」

その言葉の何が可笑しかったのか、今度は地面で笑い転がるティアマト。
このアマ・・・・・・・・・男子便所に裸で縛り付けてやろうか。







ズーン、と屋上で落ち込んでいる人物がいた。
丁寧にも体育座りでブツブツと呪詛は吐いている。

「・・・・・・・・・何があったのこれ?」

「けっ」

最初にファルが屋上の人物、ロロに気付き様子が変なのでギルに聞いてみたところ、今に至る。
屋上の入り口で合流したジーナは笑顔だが、どこか怖い。

「ふふふ、ギールさん?お姉さまに何かをしましたね?」

「何もしてねぇよ・・・・・・って何だその注射!?」

「安心してください。素直になれる薬です。・・・・・・・・・・・・薬学は苦手ですが」

「待て!今不穏な言葉が聞こえたぞ!安心できる要素ねぇじゃねぇか!」

「・・・・・・・・・ギル、馬鹿だね?」

「へ?」

ファルの静かな罵倒に間抜けな声をあげた。
そしてジーナから視線を逸らしてみるとそこには拳にハートのおっさんのマークが浮かんでいるロロ。

「死になさい!爆熱、ゴッドフィ○ガー!」

「ちょっ!?それいいのかって、まじでやめてください私が悪うございましただからその手を止め・・・・・・・って、
 話聞けよ!ファ・・・・・・ファルシールド!」

ファルを盾にしようと手を伸ばすが、その手は空を切る。

「残念それは残像だよ」

見ると離れたところでジーナと一緒に避難していた。

「あべしっ!?」

駆け巡る衝動。
錐揉み回転をしてギルは地面を転がり、階段から落ちてようやく止まった。
見るに右腕を折っていて重傷のようだが、保健室に行けばすぐに完治するだろう。
便利な世の中だな、そう思い見上げた空に、星が輝いていた。





『かゆ・・・・・・うま』
「・・・・・・・・・どうしたんですか?」
『忘れていたこの感触・・・・・・・・・久々に感じるあいつの存在』
「頭でも打ちましたか?」
『風邪なんだよ実は』
「はぁ」
『それで今日、大学をさぼってパソコンしてる』
「パソコンするぐらいなら大学行っても変わりないのではありませんか?」
『いやぁ、今日はセルフスタディーでも大丈夫な講義なので。とりあえず今回も話に進展なし!
 というより2章自体そういう章です。たまにアウターサイド書いてますが、あれはギルに関与しません。
 ・・・・・・・・・お腹すいた』
「いきなり小説の後書きに何を仰いますか」
『ご飯食べてくる』
「ちょっ、これ後書きですよね!?日記と化してませんか!?」
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