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2-13 必需品

違う。
これは夢だ。
現実じゃない。
理解できない。
だってこんなことは・・・・・・




「ギル」

「ん・・・・・・うん?」

「早く起きるんだね。今日はクラスメイトとの顔合わせだよ?第一印象が大事ってね」

聞こえてきた幼馴染の声にゆっくりと意識が覚醒するのを感じ、身体を起こす。
何か凄く嫌な夢を見ていた気がするが・・・・・・微塵も覚えていない。
いつも通り起こしにきたのはファル。
窓を開けるファルを見つつ二度寝をしようとする衝動を抑えつつ時計を見る。
まだ余裕ではあるが日課の鍛錬をするならばそろそろ起きないと不味い時間帯だ。

「ん、んー。ロロはどうしたんだ?」

「どうせ起きないでしょ。まだまだ余裕だからね」

いつもギルとロロを起こしているファルには二人の睡眠癖がよく分かっていた。
二人とも必要があればすぐ起きるのだが、必要がなければどこまでも睡眠には貪欲だ。

「はぁ・・・・・・・・・さてと」

今日も型の稽古をしますか、と呟いて掛けてあるバスターソードを手に取り首を傾げる。

「どうしたの?」

「なぁファル?俺さ、この剣どこで手に入れたんだっけ?」

ふと沸いた疑問。
なんでこんな疑問が沸くのかは分からない。

「・・・・・・・・・。確か君のお父さんの物だったはずだけど?」

「父さんの?」

「というか君の物なんだから僕に聞くって考えはおかしいでしょ」

「それもそうだな」

つい癖でファルに疑問をぶつけてしまうが、彼にだって知らないものは当然ながらある。

「ところでさ」

「うん?」

「今日はちゃんと着替えてよね?」

「当たり前だ!」







「やれやれ」

「あなたは母親ですか?」

「・・・・・・・・・」

部屋に戻ると置いていかれたジーナがいかにも私不満ですと言わんばかりにファルの私物を弄っていた。

「一昨日の実力テストといい・・・・・・もうギルと結婚してはどうですか?」

「あのねぇ」

「ふん」

ジーナはわりとすぐにヘソを曲げる。
もちろんジーナの機嫌を直す方法をファルは心得ているが気が進まない。

「はぁ」

僕、最近溜息ばっかり吐いてる気がする。
そう思いながらとりあえず朝ご飯を作るファル。

「あ、そうそう。お兄様から久々の依頼がきてますよ」

「・・・・・・・・・我にか?」

「他に誰がいるんですか。というか素に戻る程気が進まないんですね」

「・・・・・・・・・」

「ちなみに今夜に魔力紋が届くらしいので」

「うあぁ」

呻き声をあげるファルは心底嫌そうな顔をしながらフライパンに卵を落とす。
朝の定番、ベーコンエッグだ。
程よい油の香りが朝を爽やかにするが、料理している本人の表情は暗い。
そして焼きあがったそれを順番に皿に盛ってから順次腕輪に入れていく。

「しかし便利ですよね。それ」

「空間限定での時間操作か・・・・・・便利になったもんだよね」

腕輪の中に入れた物は基本的に時間の流れが遅い。
しかも空気や光、湿度なんてものはいっさいないので保存食を入れたら100年単位でもつらしい。
間違っても生物は入らないらしいが・・・・・・。

「でも作った料理を入れるのはあんまりよくないんだけどね」

短時間ならいいが、長時間入れるとなると他の収容しているものに匂いが移ったり、妙な液体がついていたりするのだ。

「ま、とりあえずこれをもっていくから先に食べといてくれる?」

「いえ、待ってますよ」

「そう?じゃあ行ってくる」







『バルセンと!』
「ジーナです」
『・・・・・・・・・ノリ悪いね』
「私にそういうの求めるほうがおかしいと、なんで気付かないんですか?馬鹿ですか?」
『ま、それは置いといて』
「すぐに話題逸らしますね」
『とりあえずリクエストきたよ!』
「へぇ。この前のですか?奇特な人もいるもんですね」
『リクエストの人物はずばり、我らがロリ校長ことトナ校長!』
「わー」
『そこ!もっと盛り上げる!』
「えー」
『・・・・・・・・・ま、まぁリクエストがきたのは喜ばしいことだよね。
 ただこれは長期の募集を想定してるので、リクがきてすぐに書くわけにはいかないんだ』
「そして離れていく読者ですね」
『嫌なこというなよ・・・・・・』
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