1-1 始まり
青い空がどこまでも続いている。
小さい頃から見てきたその景色は今も変わらず、ただ青いだけ。
代わり映えのないつまらない景色だと言う人もいるけど、僕はこの景色が好きだった。
別に雲の形が毎日違うとか、空の機嫌がわかるだとかメルヘンな理由ではないが。
「こらファル!今日は王立学園に行く日でしょ!さっさと来なさい!」
僕の名前、ファル=ブリューナクを呼ぶこいつの名前はロロ=ノクトン。
騒がしい幼馴染といったところだろうか。
「・・・・・・・・・」
感傷に浸っているわけではないがどうも毎日邪魔をされている。
ファルはお気に入りの場所をとられて怒る子供じゃない・・・・・・・そう、違うのだが毎日邪魔をされるとなると
「ギル。ちゃんとロロの手綱くらい握ってろ。可愛い従兄妹でしょ?」
文句も言いたくなるものだ。
そしてもう一人の幼馴染であるギル=ノクトン。
ロロとは従兄妹の関係であり、二人とも幼い頃からよく遊んでいる。
「無理言うな!俺の言う事をロロが聞いたことがあるか!?
さらに言えばロロに可愛いところなんてあるか!?いや、ない!」
「何だよその反語は・・・・・・・・・」
断言するギルに呆れるファルだが、口元は微かに笑っているのが分かる。
それに大きく反比例するかのようにロロの顔は般若と化しているが。
「なんですって!?」
「ちょ、落ち着け!」
「うるさい!」
「どっぷべらっ!?」
奇声をあげながら吹っ飛んでいくいつもの光景にファルは苦笑しつつゆっくりと立ち上がった。
今日でこの景色もしばらく見納めと考えると少し感慨深いものもあるが、それは後にしよう。
「プロンテラね・・・・・・・・・」
数々の冒険者が戦う技術を学び、巣立っていく場所。
ミッドガッツの首都であり、ミッドガッツ最後の防衛線。
そんなこの国で最も安全な場所に命の危険がある職の訓練を受けに行くのだというのだから、不思議な話である。
「あのぅ・・・・・・・・・もうそろそろいいですか?」
そこには気弱そうなウィザードの男が一人。
つけているバッジを見るにそれなりに高位のウィザードのようだが・・・・・・。
「どなたですか?」
「・・・・・・・・・私、数日前に一度自己紹介しましたよね?」
・・・・・・・・・・・・そうだっけ。
「ああ、思い出した。ペン太さんですね」
「何ですかそのペン太さんって!?私はそんな愉快な名前じゃありません!」
・・・・・・・・・・・・。
「よし、行きましょうか」
どこにかはまったく分からんが。
といってもジュノーからプロンテラへ安全に行く手段なんて飛行船以外ないのだが。
「今放棄しましたね!?考える事を放棄しましたよね!?」
気弱な性格の上、弄られやすそうな反応である。
これが天性の素質というものだろうか。
「・・・・・・・・・が最後なのかしら?」
「・・・・・・・・・じゃないさ。また来れる、きっと」
途切れ途切れに聞こえる声に振り向いてみると、ファルが先程まで座っていた場所でギルとロロが空を見つめていた。
この二人はいつも喧嘩したかと思うと夫婦かと思うような行動をしているのだ。
付き合いの長いファルであってもその関係を言葉で表現するのは難しい。
だけどファルにとっては少し複雑で・・・・・・・・・
「ちょっと話を聞いてくださいよ!無視ですか!?」
「・・・・・・・・・」
うぜぇ、とファルは心で呟きながら腕についているそれを見る。
銀で出来た腕輪・・・・・・・・・冒険者の証だ。
同じくギルとロロの利き腕を見ると銀の腕輪がついている。
それは王立学園に入る事が決定した時に付けられた腕輪。
二人はまだこの意味に気付いていないのだが・・・・・・・・・それはいつか自分で気付く時が来るだろう。
「はぁ」
この青い空の中、ジュノーで弱い僕達は強くなる為にプロンテラへと向かう。
その道中でもしかしたら僕達は・・・・・・・・・
「いや、特に関係ないか」
ファルはそう呟いて首からかけてある古い鍵に触れる。
さび付いたその鍵は日の光を浴び、鈍く輝いた。
小さい頃から見てきたその景色は今も変わらず、ただ青いだけ。
代わり映えのないつまらない景色だと言う人もいるけど、僕はこの景色が好きだった。
別に雲の形が毎日違うとか、空の機嫌がわかるだとかメルヘンな理由ではないが。
「こらファル!今日は王立学園に行く日でしょ!さっさと来なさい!」
僕の名前、ファル=ブリューナクを呼ぶこいつの名前はロロ=ノクトン。
騒がしい幼馴染といったところだろうか。
「・・・・・・・・・」
感傷に浸っているわけではないがどうも毎日邪魔をされている。
ファルはお気に入りの場所をとられて怒る子供じゃない・・・・・・・そう、違うのだが毎日邪魔をされるとなると
「ギル。ちゃんとロロの手綱くらい握ってろ。可愛い従兄妹でしょ?」
文句も言いたくなるものだ。
そしてもう一人の幼馴染であるギル=ノクトン。
ロロとは従兄妹の関係であり、二人とも幼い頃からよく遊んでいる。
「無理言うな!俺の言う事をロロが聞いたことがあるか!?
さらに言えばロロに可愛いところなんてあるか!?いや、ない!」
「何だよその反語は・・・・・・・・・」
断言するギルに呆れるファルだが、口元は微かに笑っているのが分かる。
それに大きく反比例するかのようにロロの顔は般若と化しているが。
「なんですって!?」
「ちょ、落ち着け!」
「うるさい!」
「どっぷべらっ!?」
奇声をあげながら吹っ飛んでいくいつもの光景にファルは苦笑しつつゆっくりと立ち上がった。
今日でこの景色もしばらく見納めと考えると少し感慨深いものもあるが、それは後にしよう。
「プロンテラね・・・・・・・・・」
数々の冒険者が戦う技術を学び、巣立っていく場所。
ミッドガッツの首都であり、ミッドガッツ最後の防衛線。
そんなこの国で最も安全な場所に命の危険がある職の訓練を受けに行くのだというのだから、不思議な話である。
「あのぅ・・・・・・・・・もうそろそろいいですか?」
そこには気弱そうなウィザードの男が一人。
つけているバッジを見るにそれなりに高位のウィザードのようだが・・・・・・。
「どなたですか?」
「・・・・・・・・・私、数日前に一度自己紹介しましたよね?」
・・・・・・・・・・・・そうだっけ。
「ああ、思い出した。ペン太さんですね」
「何ですかそのペン太さんって!?私はそんな愉快な名前じゃありません!」
・・・・・・・・・・・・。
「よし、行きましょうか」
どこにかはまったく分からんが。
といってもジュノーからプロンテラへ安全に行く手段なんて飛行船以外ないのだが。
「今放棄しましたね!?考える事を放棄しましたよね!?」
気弱な性格の上、弄られやすそうな反応である。
これが天性の素質というものだろうか。
「・・・・・・・・・が最後なのかしら?」
「・・・・・・・・・じゃないさ。また来れる、きっと」
途切れ途切れに聞こえる声に振り向いてみると、ファルが先程まで座っていた場所でギルとロロが空を見つめていた。
この二人はいつも喧嘩したかと思うと夫婦かと思うような行動をしているのだ。
付き合いの長いファルであってもその関係を言葉で表現するのは難しい。
だけどファルにとっては少し複雑で・・・・・・・・・
「ちょっと話を聞いてくださいよ!無視ですか!?」
「・・・・・・・・・」
うぜぇ、とファルは心で呟きながら腕についているそれを見る。
銀で出来た腕輪・・・・・・・・・冒険者の証だ。
同じくギルとロロの利き腕を見ると銀の腕輪がついている。
それは王立学園に入る事が決定した時に付けられた腕輪。
二人はまだこの意味に気付いていないのだが・・・・・・・・・それはいつか自分で気付く時が来るだろう。
「はぁ」
この青い空の中、ジュノーで弱い僕達は強くなる為にプロンテラへと向かう。
その道中でもしかしたら僕達は・・・・・・・・・
「いや、特に関係ないか」
ファルはそう呟いて首からかけてある古い鍵に触れる。
さび付いたその鍵は日の光を浴び、鈍く輝いた。
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