2-12 ラブコメってる二人
「いてて・・・・・・・・・ロロの奴、本気で蹴り飛ばしやがったな」
頭をさすりながら、ヒリヒリする擦り傷だらけの顔面に触ったり撫でたりを繰り返す。
ただの気休めだが顔に違和感があり、気になることこの上ないのだ。
「結局色紙、どうなったんだ?」
ふと思い出すのは奪われた景品だ。
広間に向かいつつも考えるが、何も思いつかない。
考えているうちに広間についたギルは、そこにソファーで暇そうに錆びた鍵を弄っているファルを見つけた。
隣ではジーナが紅茶を飲んでおり、その対面に座っているロロは何故か傍目から見て分かるほどソワソワしている。
「おう、ファルとジーナは昼間、何してたんだ?というかロロ、お前よくも蹴り飛ばしてくれたな」
疑問を言うと同時にギルはロロに文句を飛ばした。
「ギ、ギルが失敗するから悪いんでしょ!」
「だからって俺を蹴り飛ばしていいってことにはならないぞ」
「え、えと。ほら、ギルの頭がちょうど良い位置にあったから?」
「なんで疑問系なんだよ・・・・・・はぁ」
ギルの深い溜息に泣きそうな表情になったのをファルはさりげなく確認したが、
特に干渉する気はないようで腕輪から細い糸を取り出して綾取りを始めた。
ファルがいきなり綾取りを始めたので、なぜとギルは疑問に思い聞こうとするとロロが呟くような声でいった。
「・・・・・・・・・ごめんなさい」
「へ?」
「っ!?もう知らない!」
ファルに意識が逸れていたのでロロが何を言ったのかよく聞こえず、間抜けな声をあげたギルだが、
やっちゃダメなことをやったようだ。
ロロは怒って広間から出て行き、後には唖然としたギルが残された。
「なんだよいったい・・・・・・・・・」
聞き返しただけなのにロロはいきなり怒って去っていった。
それがギルの認識で、ふと感じた視線に振り返るとジーナが自身を睨んでいた。
「・・・・・・・・・なんだよ」
「別になんでもありませんよ?ただ青いな、と思いまして」
「はぁ!?」
「ギル」
「なんだよ!?」
ファルの声にギルは怒鳴る勢いで叫び、数名の寮生達がいた広間は一瞬にして静まりかえった。
そこで我に返ったのか、ギルはばつが悪そうに俯いた。
「・・・・・・わりぃ」
「別に構わないよ。それより、追いかけなくていいのかな?ロロ、泣いてたよ」
「え?あいつが?・・・・・・・・・行ってくる」
ファルから聞いたそれに胸に痛みを感じつ、ギルは急いでロロを探しに行った。
広間にいた寮生達は首を傾げるがすぐに興味が失せたのか各々の会話に戻る。
「やれやれ」
「本当にやれやれです。もうあのクソ野郎、本当に馬鹿じゃないですか?」
「言ってもしょうがないと思うよ?ギルだし」
「そうですね。ギルですし。あ。そこの糸はこっちに通したほうが・・・・・」
酷いことを言い合いつつ二人で綾取りを始めた。
「ここもいないか」
息を切らしながらも動く足は止めず、慣れていない寮を探し回る。
見つけられるのかは分からないが、探さないと後悔する。
そんな確信もあり、またギル自身、泣いている奴を放っておけるほど冷血漢ではない。
「まったくどこにいったんだよ」
この寮の構造に詳しくないのはロロとて同じのはずだ。
ならば適等に探せば見付かると思っていたのだが、多少甘かったようだ。
もちろんロロの部屋も探したが、既にいないのは確認済みである。
時間を見てないので分からないが、少なくとも1時間は探しているはずである。
そういえば昔カクレンボをした時、いつも最後まで隠れていたのはロロだった。
そして夕方になっても見付からないロロを見つけるのはいつも・・・・・・・・・
「えっと?」
んー・・・・・・・・・?
思い出すのはまず女性ということ。
あれ、あの人は誰だろう?
ピロリロリン
「うん?」
腕輪に埋め込まれた宝石が点滅しながら軽快な音を鳴らした。
腕を胸前に持っていくと腕輪の上に映像が出る。
冒険者の持つ腕輪の機能の一つで、一般的な通信機能だ。
「ファル?今忙しい・・・・・・」
『ロロの場所が分かったよ』
「本当か!?」
でもいったいどうやって、そこまで考えるがそんなのはどうでもいい。
今はロロに会いに行くのが先決だ。
「それで場所は?」
『うん、屋上にいるみたいだね。ただ屋上のどこかまでは分からないから、そこは自分で頑張ってね』
「おう、恩にきるぜ」
腕を下ろすと同時に通信を切り、見つけた階段を上がっていく。
確か屋上は関係者以外立ち入り禁止と書かれていたはずだ。
もしロロが本当に屋上へ行っているなら、ギルに見つけられないのは当然だった。
立ち入り禁止の札を無視してさらに階段を上がり、ドアを開ける。
「・・・・・・・・・」
声が出なかった。
月明かりで照らされたそこで、彼女は歌っていた。
一瞬だけ分からなかったが、彼女はロロだ。
今はどこか幻想的な雰囲気を漂わせているロロは、知らない歌を歌っている。
「ロロ?」
「へ?ギギギギギ、ギル!?」
「あ、ああ」
幻想的な雰囲気はどこに投げ捨てたのか、今ロロは真っ赤になった顔を月明かりで照らされている。
相当恥ずかしいのか、手を所在なさげに動かしながらもチラチラとギルを見る。
「!?」
その様子に心臓が高鳴り、顔が熱くなるのを感じる。
え、なんだこれ。
ちょっと待て、なんなんだこれ。
内心そのように慌てつつ、真っ赤になったロロから目が離せない。
自身が凝視されているのに気付いたロロはちょっとでも視線を遮ろうと手を前に突き出すが、全然隠せていない。
「え、えっとだな」
「な、何よ・・・・・・」
「そのだな・・・・・・・・・・えっと・・・・・・・・・」
謝って終わり、それだけのはずだった。
だが今はそんなことすら頭から飛び、出てくるのは意味のない言葉ばかり。
「・・・・・・・・・・ギル?」
心配そうにこちらに一歩近づいたロロを見て、ギルはさらに顔が赤くなるのを感じる。
もはやここに留まっているのは無理だと瞬時に判断して
「さっきはごめんな!それじゃ、また明日!」
「あ、ちょっとギル!?」
「ごめん!」
ギルは最後にそう叫ぶと階段を駆け下りていった。
走って自分の部屋に駆け込んだギルがベッドで枕を顔に当て、
ゴロゴロしている姿が部屋に入ってきたファル見られたのは、言うまでもなく恥ずかしかった。
『光の使者キュアブラ○ク!』
『光の使者キュアホワ○ト!』
『ふたりはプリ・・・・・・・』
『いつまでやるんですかこの芝居。というかあなた、男ですよね』
『まぁまぁ。ラブコメやってテンションがおかしいんだよ。きっと』
『はいはい。ところで今回もお題なしですね?』
『・・・・・・・・・。ま、製作裏話でもするかなぁ』
『まともですね』
『今回のお話を作る前に、実はもう一つ話を作ったんだよね』
『ならなんで公開しないのですか?』
『ネタバレすぎて公開したらダメかなぁと』
『相変わらず無計画ですね』
『いや、一応全体の流れみたいなのは考えてあるんだよ。ただ細かいところがまったくなだけで』
『なるほどです。ところでなんで今日は私なんです?』
『うん?』
『ほら、順番的に言えば今度はファルの番じゃないですか』
『・・・・・・・・・君のことが大好きだからさ!』
『はいはい、素直に使いやすいって言えばいいじゃないですか。ま、もうそろそろ幕引きといきますか』
『って仕切られてる!?』
頭をさすりながら、ヒリヒリする擦り傷だらけの顔面に触ったり撫でたりを繰り返す。
ただの気休めだが顔に違和感があり、気になることこの上ないのだ。
「結局色紙、どうなったんだ?」
ふと思い出すのは奪われた景品だ。
広間に向かいつつも考えるが、何も思いつかない。
考えているうちに広間についたギルは、そこにソファーで暇そうに錆びた鍵を弄っているファルを見つけた。
隣ではジーナが紅茶を飲んでおり、その対面に座っているロロは何故か傍目から見て分かるほどソワソワしている。
「おう、ファルとジーナは昼間、何してたんだ?というかロロ、お前よくも蹴り飛ばしてくれたな」
疑問を言うと同時にギルはロロに文句を飛ばした。
「ギ、ギルが失敗するから悪いんでしょ!」
「だからって俺を蹴り飛ばしていいってことにはならないぞ」
「え、えと。ほら、ギルの頭がちょうど良い位置にあったから?」
「なんで疑問系なんだよ・・・・・・はぁ」
ギルの深い溜息に泣きそうな表情になったのをファルはさりげなく確認したが、
特に干渉する気はないようで腕輪から細い糸を取り出して綾取りを始めた。
ファルがいきなり綾取りを始めたので、なぜとギルは疑問に思い聞こうとするとロロが呟くような声でいった。
「・・・・・・・・・ごめんなさい」
「へ?」
「っ!?もう知らない!」
ファルに意識が逸れていたのでロロが何を言ったのかよく聞こえず、間抜けな声をあげたギルだが、
やっちゃダメなことをやったようだ。
ロロは怒って広間から出て行き、後には唖然としたギルが残された。
「なんだよいったい・・・・・・・・・」
聞き返しただけなのにロロはいきなり怒って去っていった。
それがギルの認識で、ふと感じた視線に振り返るとジーナが自身を睨んでいた。
「・・・・・・・・・なんだよ」
「別になんでもありませんよ?ただ青いな、と思いまして」
「はぁ!?」
「ギル」
「なんだよ!?」
ファルの声にギルは怒鳴る勢いで叫び、数名の寮生達がいた広間は一瞬にして静まりかえった。
そこで我に返ったのか、ギルはばつが悪そうに俯いた。
「・・・・・・わりぃ」
「別に構わないよ。それより、追いかけなくていいのかな?ロロ、泣いてたよ」
「え?あいつが?・・・・・・・・・行ってくる」
ファルから聞いたそれに胸に痛みを感じつ、ギルは急いでロロを探しに行った。
広間にいた寮生達は首を傾げるがすぐに興味が失せたのか各々の会話に戻る。
「やれやれ」
「本当にやれやれです。もうあのクソ野郎、本当に馬鹿じゃないですか?」
「言ってもしょうがないと思うよ?ギルだし」
「そうですね。ギルですし。あ。そこの糸はこっちに通したほうが・・・・・」
酷いことを言い合いつつ二人で綾取りを始めた。
「ここもいないか」
息を切らしながらも動く足は止めず、慣れていない寮を探し回る。
見つけられるのかは分からないが、探さないと後悔する。
そんな確信もあり、またギル自身、泣いている奴を放っておけるほど冷血漢ではない。
「まったくどこにいったんだよ」
この寮の構造に詳しくないのはロロとて同じのはずだ。
ならば適等に探せば見付かると思っていたのだが、多少甘かったようだ。
もちろんロロの部屋も探したが、既にいないのは確認済みである。
時間を見てないので分からないが、少なくとも1時間は探しているはずである。
そういえば昔カクレンボをした時、いつも最後まで隠れていたのはロロだった。
そして夕方になっても見付からないロロを見つけるのはいつも・・・・・・・・・
「えっと?」
んー・・・・・・・・・?
思い出すのはまず女性ということ。
あれ、あの人は誰だろう?
ピロリロリン
「うん?」
腕輪に埋め込まれた宝石が点滅しながら軽快な音を鳴らした。
腕を胸前に持っていくと腕輪の上に映像が出る。
冒険者の持つ腕輪の機能の一つで、一般的な通信機能だ。
「ファル?今忙しい・・・・・・」
『ロロの場所が分かったよ』
「本当か!?」
でもいったいどうやって、そこまで考えるがそんなのはどうでもいい。
今はロロに会いに行くのが先決だ。
「それで場所は?」
『うん、屋上にいるみたいだね。ただ屋上のどこかまでは分からないから、そこは自分で頑張ってね』
「おう、恩にきるぜ」
腕を下ろすと同時に通信を切り、見つけた階段を上がっていく。
確か屋上は関係者以外立ち入り禁止と書かれていたはずだ。
もしロロが本当に屋上へ行っているなら、ギルに見つけられないのは当然だった。
立ち入り禁止の札を無視してさらに階段を上がり、ドアを開ける。
「・・・・・・・・・」
声が出なかった。
月明かりで照らされたそこで、彼女は歌っていた。
一瞬だけ分からなかったが、彼女はロロだ。
今はどこか幻想的な雰囲気を漂わせているロロは、知らない歌を歌っている。
「ロロ?」
「へ?ギギギギギ、ギル!?」
「あ、ああ」
幻想的な雰囲気はどこに投げ捨てたのか、今ロロは真っ赤になった顔を月明かりで照らされている。
相当恥ずかしいのか、手を所在なさげに動かしながらもチラチラとギルを見る。
「!?」
その様子に心臓が高鳴り、顔が熱くなるのを感じる。
え、なんだこれ。
ちょっと待て、なんなんだこれ。
内心そのように慌てつつ、真っ赤になったロロから目が離せない。
自身が凝視されているのに気付いたロロはちょっとでも視線を遮ろうと手を前に突き出すが、全然隠せていない。
「え、えっとだな」
「な、何よ・・・・・・」
「そのだな・・・・・・・・・・えっと・・・・・・・・・」
謝って終わり、それだけのはずだった。
だが今はそんなことすら頭から飛び、出てくるのは意味のない言葉ばかり。
「・・・・・・・・・・ギル?」
心配そうにこちらに一歩近づいたロロを見て、ギルはさらに顔が赤くなるのを感じる。
もはやここに留まっているのは無理だと瞬時に判断して
「さっきはごめんな!それじゃ、また明日!」
「あ、ちょっとギル!?」
「ごめん!」
ギルは最後にそう叫ぶと階段を駆け下りていった。
走って自分の部屋に駆け込んだギルがベッドで枕を顔に当て、
ゴロゴロしている姿が部屋に入ってきたファル見られたのは、言うまでもなく恥ずかしかった。
『光の使者キュアブラ○ク!』
『光の使者キュアホワ○ト!』
『ふたりはプリ・・・・・・・』
『いつまでやるんですかこの芝居。というかあなた、男ですよね』
『まぁまぁ。ラブコメやってテンションがおかしいんだよ。きっと』
『はいはい。ところで今回もお題なしですね?』
『・・・・・・・・・。ま、製作裏話でもするかなぁ』
『まともですね』
『今回のお話を作る前に、実はもう一つ話を作ったんだよね』
『ならなんで公開しないのですか?』
『ネタバレすぎて公開したらダメかなぁと』
『相変わらず無計画ですね』
『いや、一応全体の流れみたいなのは考えてあるんだよ。ただ細かいところがまったくなだけで』
『なるほどです。ところでなんで今日は私なんです?』
『うん?』
『ほら、順番的に言えば今度はファルの番じゃないですか』
『・・・・・・・・・君のことが大好きだからさ!』
『はいはい、素直に使いやすいって言えばいいじゃないですか。ま、もうそろそろ幕引きといきますか』
『って仕切られてる!?』
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