2-11 結末
ギルは静かに深呼吸をした。
これからすることは、あまりにも無謀であることは自覚している。
勝算なんてあって10%程だろう。
しかしまぁ、ないよりはマシだ。
そう思わせる程あの男、ガルマー先生は異常だった。
まるで素手で特級モンスターに立ち向かうような気分だが、少なくとも勝算はある。
問題はファルが来てくれるかどうかだが・・・・・・おそらく大丈夫だ。
そんな気がする。
「美味しいところを見逃すような奴じゃないってね」
あとはどうやってガルマー先生を問題の場所まで呼び寄せるかだが・・・・・・・・・。
「まじでどうしよう」
なんとかガルマー先生を見つけたのだが、本当にどうしようかと思う。
今、ガルマー先生とギルは結構距離が開いているのだがこれ以上近づけば間違いなく気が付くだろう。
実際先程、ギルの傍を気付かずに通っていった生徒が一人哀れにも廊下で寝ている。
「ふむ」
その寝ている生徒に顔を向け、何かを思案するかのように顎に手をあてるガルマー先生。
いったいどうしたのだろう、とギルが思うと急にこちらに視線を向けた。
背筋が凍りつくような感触に捕らわれ、本能の赴くままに全力で走り出す。
「何を企んでいるのかと思ったが、このままでは埒が開かぬようでな。こちらから仕掛けさせてもらった」
「なーっ!?」
あの距離で、それこそ人がかろうじて人だと分かるような距離で気付いていたというのか。
「隠れる時は気配を絶つことだ。出来れば息もだ」
「死ぬに決まってんだろそれ!というか気配消してたぞ!?」
「ふむ。未熟者なのだろう」
いや、あんたがオカシイだけです。
そう言おうとしたがそんな馬鹿なやり取りをしているうちにガルマー先生との距離が徐除に縮まっているのが分かった。
目標の場所は古代魔法研究会の部屋。
あそこは密室だが隠れる場所が多いので、なんとかな・・・・・・・
「あ」
よく考えたらあの距離から気配を読まれたのだ。
密室で隠れられるとは思えない。
「・・・・・・・・・!?」
風きり音が聞こえると同時に大きくサイドステップ。
するとやはりというか、何か黒いものが横をありえない速度で飛来していった。
「・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・ロロ、俺はここで死ぬかもしれ
「のうっ!?ガルマーなんでここに!?」
「ふむ?今生徒を排除しようとしているのだが」
「いえ、まず先に彼らをお願いします。ほら、来ましたよ」
「で、でたー!?」
後ろで行われるやり取りに走りながら目を向けるとそこには信じられない光景が。
「・・・・・・・・・ほわっつ?」
そこにはライフルを構えたジーナと外したとび蹴りが壁に当たり、コンクリートを粉砕しているファルだ。
ガルマーは足を止めてファルに対峙し、同時にタクとパールを追いかけていたファルとロロも足を止める。
しかし何故か二人は構えをとらず、不思議そうな表情でお互いの顔を見ている。
ジーナはどこか面白くなさそうにライフルを下ろしていた。
「ふむ・・・・・・キリアか?久しいな」
「・・・・・・・・・あれ?ガルマー?じゃあひょっとしてそっちのはタクとパール?」
驚きの声を上げたのはファルで、同時にギルもその会話が聞きたかったが今はとにかく逃げたい。
ファル、出来ればその化け物を倒しておいてくれと願いつつ、ギルはそのまま逃亡した。
「この間抜け!役立たず!」
「ひ、ひどくねぇか?」
「うっさいこの馬鹿!あんたなんて死ねばいいのよ!」
ガルマー先生を連れてくることなく部屋に帰還したギルを待っていたのは、ロロの溢れんばかりの罵倒であった。
「・・・・・・・・・・はぁ。どうするのよ?本当に」
一通り罵倒したロロであったが、落ち着いたのか現状把握に努めようとするが、表情はいたって不服。
ギルも自分のせいであることを自覚しているのだが、もう手はない・・・・・・と思う。
「せめてファルがいればどうにか・・・・・・ってファルが何かガルマー先生と知り合いらしいぜ?」
「ファルの顔の広さに驚いてても仕方ないわよ。本当に」
それもそうだな、と返して地面に書かれている魔法陣を見つめる。
おそらく術式はこれで合っていると思うのだが・・・・・・かなり不安だ。
「ねぇ、これって何の式よ?こんなの見たこともないわよ?」
「ファルが昔、俺をお仕置きする時に使ったやつなんだけど・・・・・・これを使われると頭がクラクラする」
「よく覚えてるわね・・・・・・・あれ?ファルが私達と会ったのって5年前よね?ギルが引っ越してきた時で。
なら私も知ってるはずよね。いったい何時の話よ?」
「・・・・・・・・・うん?・・・・・・・・・忘れた」
思い出そうと頭を捻ってみてもギルには何も思い出せない。
そもそもギルがファルに色々と悪戯をしたこともあったし、お仕置きも何度もされたので多すぎて覚えてられなかった。
その中の一つに
「ねぇギル?蟲毒って知ってる?知ってるよね?
壷の中に蟲を100匹入れて生き残った強い1匹を育てるっていうあれ・・・・・・さて問─い──ギル。
この──量のム──が─った人が───らいの大きい壷を、これ─ら──どう─────う?」
・・・・・・・・・思い出せないな。
だが何か酷い目に合ったのは確かに覚えてる。
蟲毒の知識はあったので前半は思い出せたのだが後半が思い出せない。
となれば一番古い5年前くらいの記憶なのだろう。
「だけど頭がくらくらする魔法か・・・・・・精神作用系の魔法かしら?」
「さぁ?ただ何度も使われたから覚えてるんだが」
「そんなわけの分からない魔法使わないでよ」
もっともな話だが、これくらいしないとあのガルマー先生には勝てないだろう。
と、思った瞬間ドアが何者かによって蹴破られた。
3人いる・・・・・・しかも先頭にいるのは噂をすれば何とやらの人であった。
「ここにいたのか。君達で最後なのでな。ここで終わらせてもらう」
「・・・・・・・・パール、パール。僕達空気だよね」
「言わないで下さい」
後ろの二人はやる気がないのかげんなりとした顔でガルマー先生に付き従っている。
しかしこれは考えようによってはチャンスだ。
ギルはすぐさま置いてあったポーションを手に取り
「ちょっ・・・・・・待ちなさいギ───」
魔法陣にこれでもかというくらいかけた。
「成功か!?」
ギルが驚きの声をあげ、魔法陣は脈動するかのように地面から浮き上がって緑色の光を放つ。
もともとこれはファルの役目で、ついでに魔法陣がちゃんとかけているかも聞きたかったのだが仕方ない。
「ぬぅ!?」
これにはさすがにガルマー先生も危険を感じたのか、後退しようとして
「・・・・・・・・・あれ?」
プシューとタイヤの空気が抜けるが如く魔法陣は跡形もなく消えた。
「・・・・・・・・・・・・・・・間違っちゃった。てへッペルバ!?」
ギルは後頭部をロロに蹴り飛ばされて床にキスをした。
オヤジにも奪われたことないのに!と、意味の分からない幻聴を聞きつつギルの意識はゆっくりと沈んでいった。
「オヤジにも奪われたことないのに!」
「奪われずに育った一人前になったやつがどこにいる!」
「・・・・・・・・・はい、バルセンです」
「ギルだ。思わずのってしまったな。というかオヤジにキスを奪われて一人前になる男子なんて、やばいだろ」
「言うな。例によって手が暴走しただけだ」
「それにしてもよ、後書きったって書いてるのお前だろ?自虐するってMかよ?」
「失礼な。俺は基本的に脳内キャラを作り出すことが出来るんだ!」
「・・・・・・・・・」
「え、なんで離れるの」
「いや、電波がいるな、と」
「別に脳内人物が頭に住んでるわけじゃないよ!」
「えー」
「なんでそこで残念そうな顔をするんだよ!?」
「ま、今回は特に話題もないようだから適当に終わらすか」
「お前が仕切るな・・・・・・・とまぁ、さすがにレポート書かずに小説書いてるとやばいなって思うな」
「・・・・・・・書けよ」
これからすることは、あまりにも無謀であることは自覚している。
勝算なんてあって10%程だろう。
しかしまぁ、ないよりはマシだ。
そう思わせる程あの男、ガルマー先生は異常だった。
まるで素手で特級モンスターに立ち向かうような気分だが、少なくとも勝算はある。
問題はファルが来てくれるかどうかだが・・・・・・おそらく大丈夫だ。
そんな気がする。
「美味しいところを見逃すような奴じゃないってね」
あとはどうやってガルマー先生を問題の場所まで呼び寄せるかだが・・・・・・・・・。
「まじでどうしよう」
なんとかガルマー先生を見つけたのだが、本当にどうしようかと思う。
今、ガルマー先生とギルは結構距離が開いているのだがこれ以上近づけば間違いなく気が付くだろう。
実際先程、ギルの傍を気付かずに通っていった生徒が一人哀れにも廊下で寝ている。
「ふむ」
その寝ている生徒に顔を向け、何かを思案するかのように顎に手をあてるガルマー先生。
いったいどうしたのだろう、とギルが思うと急にこちらに視線を向けた。
背筋が凍りつくような感触に捕らわれ、本能の赴くままに全力で走り出す。
「何を企んでいるのかと思ったが、このままでは埒が開かぬようでな。こちらから仕掛けさせてもらった」
「なーっ!?」
あの距離で、それこそ人がかろうじて人だと分かるような距離で気付いていたというのか。
「隠れる時は気配を絶つことだ。出来れば息もだ」
「死ぬに決まってんだろそれ!というか気配消してたぞ!?」
「ふむ。未熟者なのだろう」
いや、あんたがオカシイだけです。
そう言おうとしたがそんな馬鹿なやり取りをしているうちにガルマー先生との距離が徐除に縮まっているのが分かった。
目標の場所は古代魔法研究会の部屋。
あそこは密室だが隠れる場所が多いので、なんとかな・・・・・・・
「あ」
よく考えたらあの距離から気配を読まれたのだ。
密室で隠れられるとは思えない。
「・・・・・・・・・!?」
風きり音が聞こえると同時に大きくサイドステップ。
するとやはりというか、何か黒いものが横をありえない速度で飛来していった。
「・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・ロロ、俺はここで死ぬかもしれ
「のうっ!?ガルマーなんでここに!?」
「ふむ?今生徒を排除しようとしているのだが」
「いえ、まず先に彼らをお願いします。ほら、来ましたよ」
「で、でたー!?」
後ろで行われるやり取りに走りながら目を向けるとそこには信じられない光景が。
「・・・・・・・・・ほわっつ?」
そこにはライフルを構えたジーナと外したとび蹴りが壁に当たり、コンクリートを粉砕しているファルだ。
ガルマーは足を止めてファルに対峙し、同時にタクとパールを追いかけていたファルとロロも足を止める。
しかし何故か二人は構えをとらず、不思議そうな表情でお互いの顔を見ている。
ジーナはどこか面白くなさそうにライフルを下ろしていた。
「ふむ・・・・・・キリアか?久しいな」
「・・・・・・・・・あれ?ガルマー?じゃあひょっとしてそっちのはタクとパール?」
驚きの声を上げたのはファルで、同時にギルもその会話が聞きたかったが今はとにかく逃げたい。
ファル、出来ればその化け物を倒しておいてくれと願いつつ、ギルはそのまま逃亡した。
「この間抜け!役立たず!」
「ひ、ひどくねぇか?」
「うっさいこの馬鹿!あんたなんて死ねばいいのよ!」
ガルマー先生を連れてくることなく部屋に帰還したギルを待っていたのは、ロロの溢れんばかりの罵倒であった。
「・・・・・・・・・・はぁ。どうするのよ?本当に」
一通り罵倒したロロであったが、落ち着いたのか現状把握に努めようとするが、表情はいたって不服。
ギルも自分のせいであることを自覚しているのだが、もう手はない・・・・・・と思う。
「せめてファルがいればどうにか・・・・・・ってファルが何かガルマー先生と知り合いらしいぜ?」
「ファルの顔の広さに驚いてても仕方ないわよ。本当に」
それもそうだな、と返して地面に書かれている魔法陣を見つめる。
おそらく術式はこれで合っていると思うのだが・・・・・・かなり不安だ。
「ねぇ、これって何の式よ?こんなの見たこともないわよ?」
「ファルが昔、俺をお仕置きする時に使ったやつなんだけど・・・・・・これを使われると頭がクラクラする」
「よく覚えてるわね・・・・・・・あれ?ファルが私達と会ったのって5年前よね?ギルが引っ越してきた時で。
なら私も知ってるはずよね。いったい何時の話よ?」
「・・・・・・・・・うん?・・・・・・・・・忘れた」
思い出そうと頭を捻ってみてもギルには何も思い出せない。
そもそもギルがファルに色々と悪戯をしたこともあったし、お仕置きも何度もされたので多すぎて覚えてられなかった。
その中の一つに
「ねぇギル?蟲毒って知ってる?知ってるよね?
壷の中に蟲を100匹入れて生き残った強い1匹を育てるっていうあれ・・・・・・さて問─い──ギル。
この──量のム──が─った人が───らいの大きい壷を、これ─ら──どう─────う?」
・・・・・・・・・思い出せないな。
だが何か酷い目に合ったのは確かに覚えてる。
蟲毒の知識はあったので前半は思い出せたのだが後半が思い出せない。
となれば一番古い5年前くらいの記憶なのだろう。
「だけど頭がくらくらする魔法か・・・・・・精神作用系の魔法かしら?」
「さぁ?ただ何度も使われたから覚えてるんだが」
「そんなわけの分からない魔法使わないでよ」
もっともな話だが、これくらいしないとあのガルマー先生には勝てないだろう。
と、思った瞬間ドアが何者かによって蹴破られた。
3人いる・・・・・・しかも先頭にいるのは噂をすれば何とやらの人であった。
「ここにいたのか。君達で最後なのでな。ここで終わらせてもらう」
「・・・・・・・・パール、パール。僕達空気だよね」
「言わないで下さい」
後ろの二人はやる気がないのかげんなりとした顔でガルマー先生に付き従っている。
しかしこれは考えようによってはチャンスだ。
ギルはすぐさま置いてあったポーションを手に取り
「ちょっ・・・・・・待ちなさいギ───」
魔法陣にこれでもかというくらいかけた。
「成功か!?」
ギルが驚きの声をあげ、魔法陣は脈動するかのように地面から浮き上がって緑色の光を放つ。
もともとこれはファルの役目で、ついでに魔法陣がちゃんとかけているかも聞きたかったのだが仕方ない。
「ぬぅ!?」
これにはさすがにガルマー先生も危険を感じたのか、後退しようとして
「・・・・・・・・・あれ?」
プシューとタイヤの空気が抜けるが如く魔法陣は跡形もなく消えた。
「・・・・・・・・・・・・・・・間違っちゃった。てへッペルバ!?」
ギルは後頭部をロロに蹴り飛ばされて床にキスをした。
オヤジにも奪われたことないのに!と、意味の分からない幻聴を聞きつつギルの意識はゆっくりと沈んでいった。
「オヤジにも奪われたことないのに!」
「奪われずに育った一人前になったやつがどこにいる!」
「・・・・・・・・・はい、バルセンです」
「ギルだ。思わずのってしまったな。というかオヤジにキスを奪われて一人前になる男子なんて、やばいだろ」
「言うな。例によって手が暴走しただけだ」
「それにしてもよ、後書きったって書いてるのお前だろ?自虐するってMかよ?」
「失礼な。俺は基本的に脳内キャラを作り出すことが出来るんだ!」
「・・・・・・・・・」
「え、なんで離れるの」
「いや、電波がいるな、と」
「別に脳内人物が頭に住んでるわけじゃないよ!」
「えー」
「なんでそこで残念そうな顔をするんだよ!?」
「ま、今回は特に話題もないようだから適当に終わらすか」
「お前が仕切るな・・・・・・・とまぁ、さすがにレポート書かずに小説書いてるとやばいなって思うな」
「・・・・・・・書けよ」
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