2-10 作戦
ギルとロロが逃亡しているその頃、ある教員二人は廊下付近にいた。
タクとパールだ。
タクが罠を張り、パールがそれを魔法で隠す。
しかしこの時期にこんなイベントをするということは実力テストだろうから、ある程度の痕跡は残す。
注意深く見るものが見れば、見破れなくはない・・・・・・・・・とこの二人は思っているが、そんなわけがない。
冒険者になってもいないヒヨコが間違っても見破れるものではないことに二人は気付いていなかった。
熟練の冒険者が経験と勘をフルに活用してやっと回避できるくらいの罠。
つまりこの二人は今、計らずとも全力で新入生を排除していた。
「よし、これで女の子がひっかかったらべとべと液爆弾で絶景に・・・・・・ぐへへ」
「やめてください・・・・・・はぁ」
だらしない笑いを浮かべるタクに作ってしまったその罠に隠蔽を施すパール。
「だってさー、面白くないんだもん」
「だもんって子供ですか、貴方は。いいから早く次のポイントに向かいますよ」
「ぶーぶー」
「・・・・・・・・・」
ぶち殺されたいですか?その言葉を飲み込んで拳を振るわせるパール。
この男、態度こそふざけているがちゃんと仕事をしているのだ。
もし機嫌を損ねるとそのまま教員寮に帰って寝るとか言いかねない。
しかし急にタクの表情が固まり、叫んだ。
「っ!?パール!避けろ!」
「!?」
タクの声に従って身を低くして前方に身を投げ出す。
その直後、ちょうど首があった場所に何かが通っていくのを感じた。
着地して振り返ってみるとそこには例の少年、ファルが何かを考えるように立っていた。
「今のを避けた・・・・・・ということはやはり、標的には協力者がいたんだね」
ファルの呟きにパ-ルは内心舌打ちをしつつタクに指示を出そうとしたが
「な、なぁお嬢ちゃん・・・・・・?そんな物騒なものは置いてさ、ほら」
タクのほうから焦った声が聞こえたので見てみると、パールは絶句してしまった。
「汚物を消毒できたなら、しまいますが」
「・・・・・・・・・汚物って僕のこと?」
「他に誰がいますか?」
自分の存在意義についてを少し考えてたタクがジーナに向けられている武器、それはライフルだった。
これでもかというほどライフルだ。
「ちょっと待て許可証持ってるの!?」
「幼少の頃に試験はパスしました。淑女のたしなみです」
それ絶対違う。
そんな淑女、いてたまるか。
「この距離なら避けられませんよね?なに、大丈夫です。ゴム弾ですから・・・・・・・死ぬ程痛いですけど」
「次こそ、当てるよ」
構えなおすファルとジーナに、大いに冷や汗を流しながらタクとパールは退路を探した。
「逃げ切ったか?」
「わからないわ。あの人なら、地獄に逃げても追ってきそうで・・・・・・」
とある部屋の一室、謎の魔法陣が床に書かれている部屋でギルは呼吸を整えていた。
担がれていたロロが言うにはガルマー先生は天井から降ってきた猫をキャッチしていたらしい。
おそらくこれも校舎に仕掛けられたトラップの一つだろうが・・・・・・いったい何のトラップなのだろう。
「しかしガルマー先生・・・・・・先生でいいんだよな、あの人?」
「・・・・・・・・・いいんじゃない?」
投げやりなロロだが、どうやら部屋が気に入らないようで、落ち着きなくソワソワしている。
「何よ古代魔法研究会って・・・・・・」
「胡散臭いよな・・・・・・っと、それで本題だけど、ガルマー先生が罠にひっかかってたってことは作ったのはあの人じゃない。
誰か協力者がいるってことだと思う」
「確かにそうね。となれば攻めるにしても最低相手が一人増えても大丈夫くらいのは考えたほうがよさそうね」
そうだな、と言ってからどうやってあの難攻不落を落とすか考える。
50k以上の重りをつけてようやく自分と同じくらいの身体能力。
そもそもギルもロロを担いでいたのだが、相手は手足に重し装着しており、程度が違うのだ。
普通に戦えばまず勝てるわけがない。
「こういうのはファルが得意なんだけどなぁ」
「仕方ないじゃない。はぐれたんだから」
「まったくよ、あの二人はいつも一緒だよな・・・・・・俺達を置いて」
「同感ね。自重して欲しいわ」
真実は二人が突っ走ってそれを二人が置いていかれるという構図なのだが、気付いてもすぐにそれを二人が忘れるのだ。
現に今も二人は置き去りにしたことを忘れて二人を攻めている。
「せめてロロがいれば戦略に幅が出るんだけど・・・・・・あの子もいないわね」
「ああ・・・・・・ってちょっと待て」
「何よ?」
「俺達ってさ、今まで気付かなかったけど・・・・・・・・・役立たず?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
沈黙。
「ま、まぁ誰にでも得意不得意はあるよな!」
「そうね!きっとそうよ!だから私達が役立たずなんてことはたぶん、おそらくないわ!」
精一杯の虚勢を張る二人だが、言葉とは裏腹に心に傷がついていく。
言ってて虚しいのだ。
「・・・・・・それで、どうするよあれ」
「というか私達が罠にかからないでガルマー先生から逃げ切れたのは奇跡よね・・・・・・・・」
逃げている時は考えてなかったが、全力疾走で廊下を走り回っていたのだ。
不可視の罠にいつかかってもおかしくない状況だった。
なんで罠にかからなかったかは謎だが、とにかく幸運だった。
「・・・・・・・・・うん?罠・・・・・・か」
「どうしたのギル?」
「あれが使えるか・・・・・・・・・?幸い材料もここにありそうだし・・・・・・・でもファルがいないと発動すら・・・・・・」
「聞きなさいよ!」
「やぁやぁ、今日もニコニコ、タヌキことバルセンと!」
「うっさいですよ屑。貴方と話すと耳が穢れるので早めにこのコーナーをやめてください。
というか死んだほうが二酸化炭素の削減に貢献できますよ?屑人間よりは幾分かマシになりますね」
「・・・・・・・・・ひでぇ」
「何を言いますか。夜中に拉致をしてこんな謎空間に呼び出した時点で、屑人間であることは確定です。
常識を知らないんですか?」
「いや、確かに悪いとは思ってるけどそこまで言わなくても・・・・・・と、待て」
「なんですか」
「この調子だとまた長引くかもしれん。いい加減本題に入ろう」
「・・・・・・・・・仕方ありませんね。そして今回は質問来たんですか?」
「・・・・・・・・・」
「なるほど。もう打ち切ったほうがいいんじゃないですか?」
「いや・・・・・・そんな・・・・・・でもさ・・・・・・」
「そうやってズルズルと引き摺って書き続けて、何がしたいんですか?」
「うーん・・・・・・自己満足?」
「言い切りましたね・・・・・・」
「ま、とにかく質問がないのでお題は溜まり場で軽く話したあなたの技術と職業の関連性について話します」
「なるほど。私のことなら、少しは興味がわきますね」
「まず質問ですが、ジーナが改造水鉄砲やら今回はゴム弾とはいえライフルを持って出てきましたね。
もはや貴方、ガンスリですか?ってくらいです」
「いえ、私は銃を極めたいわけじゃないんですが」
「ですよねー。まず最初に区別して起きたいのがブラックスミスはあくまで鍛冶師です。
武器は基本的にこの人たちが作ります。
もちろんブランド物の無名品もありますが、大きいギルドになれば専用の鍛冶師を雇います」
「鍛冶師なんて無骨な仕事、嫌ですよ?」
「とまぁ、基本的に女性にはなるのを嫌われている職業ですね。
魔法機械関連は主にセージの担当です。彼らは魔法が最も効率よく作動する機械を作れます。
杖なども作れますので、鍛冶師は剣や槍等の物理的な武器、セージは杖や魔法補助具等の作成を担当しています」
「ちなみに銃は古代文明の遺物で、複製するのに平均一つ1年はかかりますね」
「その辺がネックになってるんだよね。高級品だし、弾も決して安くないから使ってる人も少ないんだよ」
「ですね」
「だけど前の後書きでも書いた通り、その辺の職業の違いは曖昧なので、ウィザードでも魔法機械は作れます」
「魔法機械は技術ですからね。作れる人は作れますよ?私の父も趣味と実益を兼ねて作ってますから」
「そんなこんなで皆さんわかってくれたかな?それでわここらへんで、さよならー」
「ふぅ、やっと帰れますね・・・・・・」
「・・・・・・少しは愛想を振りまこうと思わないの?」
「愛想を振りまいて私の待遇がよくなるならいくらでも振りまきますが」
「・・・・・・考慮しようか」
「そうですか。でわ・・・・・ごほん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、また読みに来てくださいね?♪
もしも来てくれなかったら・・・・・・ジーナ、寂しくて死んじゃいますから・・・・・・」
「いったい何の層を狙ってるんだ!?」
タクとパールだ。
タクが罠を張り、パールがそれを魔法で隠す。
しかしこの時期にこんなイベントをするということは実力テストだろうから、ある程度の痕跡は残す。
注意深く見るものが見れば、見破れなくはない・・・・・・・・・とこの二人は思っているが、そんなわけがない。
冒険者になってもいないヒヨコが間違っても見破れるものではないことに二人は気付いていなかった。
熟練の冒険者が経験と勘をフルに活用してやっと回避できるくらいの罠。
つまりこの二人は今、計らずとも全力で新入生を排除していた。
「よし、これで女の子がひっかかったらべとべと液爆弾で絶景に・・・・・・ぐへへ」
「やめてください・・・・・・はぁ」
だらしない笑いを浮かべるタクに作ってしまったその罠に隠蔽を施すパール。
「だってさー、面白くないんだもん」
「だもんって子供ですか、貴方は。いいから早く次のポイントに向かいますよ」
「ぶーぶー」
「・・・・・・・・・」
ぶち殺されたいですか?その言葉を飲み込んで拳を振るわせるパール。
この男、態度こそふざけているがちゃんと仕事をしているのだ。
もし機嫌を損ねるとそのまま教員寮に帰って寝るとか言いかねない。
しかし急にタクの表情が固まり、叫んだ。
「っ!?パール!避けろ!」
「!?」
タクの声に従って身を低くして前方に身を投げ出す。
その直後、ちょうど首があった場所に何かが通っていくのを感じた。
着地して振り返ってみるとそこには例の少年、ファルが何かを考えるように立っていた。
「今のを避けた・・・・・・ということはやはり、標的には協力者がいたんだね」
ファルの呟きにパ-ルは内心舌打ちをしつつタクに指示を出そうとしたが
「な、なぁお嬢ちゃん・・・・・・?そんな物騒なものは置いてさ、ほら」
タクのほうから焦った声が聞こえたので見てみると、パールは絶句してしまった。
「汚物を消毒できたなら、しまいますが」
「・・・・・・・・・汚物って僕のこと?」
「他に誰がいますか?」
自分の存在意義についてを少し考えてたタクがジーナに向けられている武器、それはライフルだった。
これでもかというほどライフルだ。
「ちょっと待て許可証持ってるの!?」
「幼少の頃に試験はパスしました。淑女のたしなみです」
それ絶対違う。
そんな淑女、いてたまるか。
「この距離なら避けられませんよね?なに、大丈夫です。ゴム弾ですから・・・・・・・死ぬ程痛いですけど」
「次こそ、当てるよ」
構えなおすファルとジーナに、大いに冷や汗を流しながらタクとパールは退路を探した。
「逃げ切ったか?」
「わからないわ。あの人なら、地獄に逃げても追ってきそうで・・・・・・」
とある部屋の一室、謎の魔法陣が床に書かれている部屋でギルは呼吸を整えていた。
担がれていたロロが言うにはガルマー先生は天井から降ってきた猫をキャッチしていたらしい。
おそらくこれも校舎に仕掛けられたトラップの一つだろうが・・・・・・いったい何のトラップなのだろう。
「しかしガルマー先生・・・・・・先生でいいんだよな、あの人?」
「・・・・・・・・・いいんじゃない?」
投げやりなロロだが、どうやら部屋が気に入らないようで、落ち着きなくソワソワしている。
「何よ古代魔法研究会って・・・・・・」
「胡散臭いよな・・・・・・っと、それで本題だけど、ガルマー先生が罠にひっかかってたってことは作ったのはあの人じゃない。
誰か協力者がいるってことだと思う」
「確かにそうね。となれば攻めるにしても最低相手が一人増えても大丈夫くらいのは考えたほうがよさそうね」
そうだな、と言ってからどうやってあの難攻不落を落とすか考える。
50k以上の重りをつけてようやく自分と同じくらいの身体能力。
そもそもギルもロロを担いでいたのだが、相手は手足に重し装着しており、程度が違うのだ。
普通に戦えばまず勝てるわけがない。
「こういうのはファルが得意なんだけどなぁ」
「仕方ないじゃない。はぐれたんだから」
「まったくよ、あの二人はいつも一緒だよな・・・・・・俺達を置いて」
「同感ね。自重して欲しいわ」
真実は二人が突っ走ってそれを二人が置いていかれるという構図なのだが、気付いてもすぐにそれを二人が忘れるのだ。
現に今も二人は置き去りにしたことを忘れて二人を攻めている。
「せめてロロがいれば戦略に幅が出るんだけど・・・・・・あの子もいないわね」
「ああ・・・・・・ってちょっと待て」
「何よ?」
「俺達ってさ、今まで気付かなかったけど・・・・・・・・・役立たず?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
沈黙。
「ま、まぁ誰にでも得意不得意はあるよな!」
「そうね!きっとそうよ!だから私達が役立たずなんてことはたぶん、おそらくないわ!」
精一杯の虚勢を張る二人だが、言葉とは裏腹に心に傷がついていく。
言ってて虚しいのだ。
「・・・・・・それで、どうするよあれ」
「というか私達が罠にかからないでガルマー先生から逃げ切れたのは奇跡よね・・・・・・・・」
逃げている時は考えてなかったが、全力疾走で廊下を走り回っていたのだ。
不可視の罠にいつかかってもおかしくない状況だった。
なんで罠にかからなかったかは謎だが、とにかく幸運だった。
「・・・・・・・・・うん?罠・・・・・・か」
「どうしたのギル?」
「あれが使えるか・・・・・・・・・?幸い材料もここにありそうだし・・・・・・・でもファルがいないと発動すら・・・・・・」
「聞きなさいよ!」
「やぁやぁ、今日もニコニコ、タヌキことバルセンと!」
「うっさいですよ屑。貴方と話すと耳が穢れるので早めにこのコーナーをやめてください。
というか死んだほうが二酸化炭素の削減に貢献できますよ?屑人間よりは幾分かマシになりますね」
「・・・・・・・・・ひでぇ」
「何を言いますか。夜中に拉致をしてこんな謎空間に呼び出した時点で、屑人間であることは確定です。
常識を知らないんですか?」
「いや、確かに悪いとは思ってるけどそこまで言わなくても・・・・・・と、待て」
「なんですか」
「この調子だとまた長引くかもしれん。いい加減本題に入ろう」
「・・・・・・・・・仕方ありませんね。そして今回は質問来たんですか?」
「・・・・・・・・・」
「なるほど。もう打ち切ったほうがいいんじゃないですか?」
「いや・・・・・・そんな・・・・・・でもさ・・・・・・」
「そうやってズルズルと引き摺って書き続けて、何がしたいんですか?」
「うーん・・・・・・自己満足?」
「言い切りましたね・・・・・・」
「ま、とにかく質問がないのでお題は溜まり場で軽く話したあなたの技術と職業の関連性について話します」
「なるほど。私のことなら、少しは興味がわきますね」
「まず質問ですが、ジーナが改造水鉄砲やら今回はゴム弾とはいえライフルを持って出てきましたね。
もはや貴方、ガンスリですか?ってくらいです」
「いえ、私は銃を極めたいわけじゃないんですが」
「ですよねー。まず最初に区別して起きたいのがブラックスミスはあくまで鍛冶師です。
武器は基本的にこの人たちが作ります。
もちろんブランド物の無名品もありますが、大きいギルドになれば専用の鍛冶師を雇います」
「鍛冶師なんて無骨な仕事、嫌ですよ?」
「とまぁ、基本的に女性にはなるのを嫌われている職業ですね。
魔法機械関連は主にセージの担当です。彼らは魔法が最も効率よく作動する機械を作れます。
杖なども作れますので、鍛冶師は剣や槍等の物理的な武器、セージは杖や魔法補助具等の作成を担当しています」
「ちなみに銃は古代文明の遺物で、複製するのに平均一つ1年はかかりますね」
「その辺がネックになってるんだよね。高級品だし、弾も決して安くないから使ってる人も少ないんだよ」
「ですね」
「だけど前の後書きでも書いた通り、その辺の職業の違いは曖昧なので、ウィザードでも魔法機械は作れます」
「魔法機械は技術ですからね。作れる人は作れますよ?私の父も趣味と実益を兼ねて作ってますから」
「そんなこんなで皆さんわかってくれたかな?それでわここらへんで、さよならー」
「ふぅ、やっと帰れますね・・・・・・」
「・・・・・・少しは愛想を振りまこうと思わないの?」
「愛想を振りまいて私の待遇がよくなるならいくらでも振りまきますが」
「・・・・・・考慮しようか」
「そうですか。でわ・・・・・ごほん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、また読みに来てくださいね?♪
もしも来てくれなかったら・・・・・・ジーナ、寂しくて死んじゃいますから・・・・・・」
「いったい何の層を狙ってるんだ!?」
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