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1-6 地下

校舎の中は里帰りした者が多いのか人を一人も見かけず、学園というにはあまりにも人が少ない。
先程から爆発音が定期的に響いているが、もちろんギルは近づきたくなかった。
自分の赤い髪が燃えたらどうするんだ。

「でもよ。ここどこだよ?」

ギルはどこかの廊下で一人ポツンとつぶやいた。
一瞬だけ自分が迷子になったのかと思うが、イヤイヤと顔を横に振る。

「まったくファルもロロも世話が焼けるぜ・・・・・・」

迷子になるなんて子供じゃないんだし・・・・・・・・・。
そこまで言ってギルは膝をゆっくりと折った。

「・・・・・・・・・本当にどこだよ、ここ」

いつのも呆れたツッコミと暴虐なとび蹴りが飛んでこないことを確認してから呟く。

「というか何で迷子になってんの俺!?」

自分は間違いなくファルの背中を追いかけていたはずだ。
しかしふと置いてあった理事長の石造らしきものを数秒眺めて調べていると、置いていかれていたのだ。
もちろんその場でファルとロロを呼んで見たが帰ってきたのは虚しい反響音のみ。
・・・・・・・・・この校舎、広すぎじゃないか?
ギルはしばらく辺りを見回して、深く溜息を吐いた。






「もう・・・・・・いったい何なのよここ」

「知らないよ」

一方、ギルとはぐれたファルとロロもまた迷っていた。
もちろんファルは手に地図を持っており、また持っている本人も迷うような人物ではない。
何故か理事長の石造に触れたギルを注意しようとした瞬間、床が抜けたのだ。
いったい何の為にそんなものを作ったのかは謎だが、滑り台と化していたそれを登るのは不可能に近かった。

「ああもう!意味わかんないわよこの学園!」

叫ぶロロと同感のファルであるが、文句を言ったところで謎の地下室から出られるわけではない。

「やっぱり地図に地下室はのってないねぇ」

「そりゃそうよ。周りは蜘蛛の巣だらけだし、年単位で誰も来てないのは明白・・・・・・ああもう!巣が邪魔よ!」

再びうがーと叫ぶロロであるが、やはりストレスが溜まっているらしい。
何かとストレスが溜まりやすい彼女であるが、ここ最近は引越しの忙しさで特に溜まっているはずだ。
ファルは手を発光させながら静かに早くここを脱出することを決心する。
ギルという身代わりがいない今、とび蹴りを食らうのは自分なのだ。

「地下牢って感じじゃないから、分かりやすい位置に階段があると思うけど」

それに蜘蛛の巣が解れた糸のように地面に落ちていく・・・・・・・・・
粘ついてないことからかなりの間、人が立ち入ってないのは確かのようだ。

「なら早く行くわよ!ほら、光出せるのあんただけなんだから!」

一応モンク志望なんだから精霊の光ルアフを出せばいいじゃないかと言いたくなるが、堪える。
この少女が学園に入る前に予習をするなんてこと、しているわけがないのだから。

「はいはい」

そして出たのはいつもの呆れた声。
本当のことを言えばここまで放置された地下室に地上への扉があるとして鍵がかかっている可能性が高いということ。
もしこの面子にピッキングという特殊スキルを持つ人がいたなら・・・・・・・・・いない今、たぶん蹴り壊すことになるだろう。

「・・・・・・・・・はぁ」

新入そうそう、問題児として目をつけられるのは間違いなかった。
そう思うとファルはさらに深い溜息を吐いた。






「・・・・・・・・・ふぅん?」

「彼か。確かによく似ている」

薄暗い部屋で、彼らは無数のモニターを見つめていた。
その先にいるのは、溜息を吐いている少年。
頭の上に止まっている鷹を乗せている白い服を着た青年は言った。。

「似ているのはいいんだけどさ、肝心の腕前のほうはどうなの?あの人の子供ならと思うけど・・・・・・・って爪痛い!」

「その情報は入ってきていません。
 なにせジュノーの秘密主義は今に始まったことじゃありませんからね。
 あなたの目から見て、どう思いますか?」

赤い縁の眼鏡をかけた女性が書類をぱらぱらと捲りながら呟く。
それに対するのは静かな雰囲気を持った強者たる者。

「一応何か剣術の心得はあるようだが・・・・・・・・・まだまだ未熟すぎるな」

「それは僕もガーりんに同感」

「・・・・・・・・・ガーりん言うな」

各々が彼に対してを考え、部屋に沈黙が流れる。

「それで、どうしますか?地下の子は出してあげないと・・・・・・・・・お連れさん可哀相ですし。
 そもそも何であんなところにいるのかも謎ですね。トナ校長が封鎖しましたよね?確か」

「今はそんな話、どうでもいいんじゃない?とりあえずガーりん行ってきて」

「だからガーりん言うなと言っておるだろうに!」

青い服を着た彼が、叫ぶように立って短剣を構える。

『海底に眠りしミドガルズオルムよ、我が呼び声に応え・・・・・・・・・・』

「ちょっ!?こんなところで対軍用のストームガスト唱えないで!死ぬ!普通に死ぬ!」

「・・・・・・・・・」

身体から溢れていた青いオーラを収めるともう用はないと言わんばかりに出て行った。

「仕方ないですね。私が行きますので、あなたはこの趣味の悪い部屋から出てください」

「・・・・・・・・・ぇー」

「いいから早くしなさい。それとも・・・・・・・・・」

彼女が腰に刺してあった剣を抜け、それからオーラが流れ出す。

覗き用の部屋の染みにされたいですか?」

「りょ、了解しました!いますぐ出るであります!」

慌てるように出て行った彼と鷹を見届けてからもう一度だけ画面越しに少年を見る。

「・・・・・・・・・」

今はもう亡き彼の子供・・・・・・・・・この事実を彼が知る時が来るのか。
そう考え、彼女はその部屋の鍵を閉めた。
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