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2-49 暗躍する者

ギル達は僕がファルだと思っているようだけど、我はファルじゃない。
確かに僕はファルなのだが正確に言うならばファルが我だと言ったほうが正しいだろう。
もちろんこれは時が来るまで教える気はないし、その機会は既に決まっている。
ならば僕からギルに話すことは何もない。
ただ・・・・・・・・・ただ僕は忠告だけはしてしまった。

「絶対にロロだけは好きになっちゃだめだよ」

その時のギルの顔に「何言ってんの?」と書いてあったが彼が意図を理解するのは一生なくていい。
本来僕は鑑賞することはあっても干渉だけはしてはいけない。
それも彼の運命を変えてしまうような干渉だけは絶対に。
いや、干渉しても意味がないといってもいい。
だというのに彼にその忠告をしてしまったのは何故だろうか。
こんなことをすれば主様が悲しむかもしれないことは分かっていたというのに。
・・・・・・・・・いや、このままギルがロロを好きになってしまってもそれは同じことだ。
ただギルに忠告をすれば僕は主様から嫌われてしまうかもしれないというデメリットがあるだけだ。
主様に嫌われる、そう思うだけで身体は震えが止まらなくなり、動悸が激しくなる。
きっと主様は許さない。
世界を愛していた主様は僕を怒る。
そう決まっている。
何かを引き止めるように、縋るように胸元の古ぼけた鍵を握り、考える。
僕が何故そんなリスクを冒してまでギルに肩入れをしたのか。
・・・・・・・・・友情だとでも言うのか?
僕が?
この僕がか?
ギルに友情を感じている?
馬鹿な。
そんなことがあるわけがない。
僕はギルを信用していない。
それどころか誰も信用していない。
あるのはただかつて主様が願った夢を叶える為においている周囲の人間だけ。
だから僕は・・・・・・・・・僕は・・・・・・・・・

「どうかしましたか?」

「・・・・・・・・・」

長い間、思考に入り込んでいたらしい。
気付けばジーナが心配そうに顔を覗き込んでいる。

「何でもない」

冷たく言い放ち、兵士達が囲う絨毯、その中央を堂々と歩く。
彼女のことは嫌いなわけではない。
僕のために努力しているのを否定する気はない。
だがそれと僕が彼女に好感を抱けるかという話は別問題だ。
何か言いたげに口を開いたジーナだが、それが言葉となることはなかった。

「久しぶりだね。今はファルと呼んだほうがいいかい?」

「構わない。それで」

兵士達がファルの一挙一動に警戒心を抱いているのを感じつつも不敵な態度を崩さず彼、クロウに言い放った。

「これで精鋭なの?僕なら一分・・・・・・・・・いや、40秒で全員片付けられる」

戦いに疎い一般人でも分かるほど濃厚な殺気がファルに突き刺さるが本人は何も感じてないかのように続けた。

「このままでは近い将来起こる聖戦に間に合わない」

「やれやれ・・・・・・・・・これでも軍事はだいぶ強化したんだよ?」

これ以上そっちに予算を回すと色々な方面から苦情が来る。
そうクロウが付け加えるがファルはしかめっ面で言った。

「前話した通り君が訓練教官をしてくれれば問題ないんだけどな」

「僕は予言の通りにする為にもギルに降り注ぐ災いに注意を向けなければならない。
 その為なら何だってしてるさ。この前だってアインヘリヤルを殺したはずだよ?」

「まったく君は・・・・・・・・・予言を回避するってことは考えないのかい?そもそも詳しい内よ・・・・・・・・・」

「それは言えない」

「・・・・・・・・・」

「ただこれが僕にとって最善の未来だ、と言っておく」

「なら君の言葉を信じるしかないね」

「僕は君を信じていない」

「違うね。君は誰も信じていない」

先程まで考えていたことをあっさりと言い放たれたファルは眉を顰めるも「間違ってはいないね」と言った。
だがさらに、とクロウは言葉を追加する。

「君自身さえも信じていない。ファルが信じているのは敬愛する主だけだね?」

「・・・・・・・・・そろそろ本題に入ろう」

「ちょっと旗色悪くなるとすぐ会話逸らすんだから・・・・・・・・・まぁいいよ。それで話というのは───氷が見付かった」





氷が見付かった。
つまりそれは保険が完成したということ。
話を聞いてみると、とある冒険者が聞いたこともないような世界の果てで見つけてきたらしい。
道理で私兵で探索させても見付からなかったわけだ。
まぁ見付かったのは喜ばしいことではある・・・・・・・・・が、問題は見つけたきた冒険者の名前だ。
ナガレ=ノクトン、僕にとってこの世界で最も厄介といえる冒険者だ。
出来るなら会いたくない。

「ということで僕はこれから身を隠すから」

「え?ファルさん?」

ナガレが帰ってきている。
その事はファルが数少ない恐怖を感じる相手が今、身近にいる。
なんとしても逃げなければ。
となると急いでジュノー行きの飛行船・・・・・・・・・いや、あそこ(・・・)に行くほうが確実だろう。
何かを言いたげなジーナを無視して頭の中で逃走ルートをいくつも思い描く。
と、考えていると肩に手を置かれる。
なんだ、ジーナも行くの?
そう聞こうとして振り向くとそこには

「ほう。このナガレ様から逃げようなんて・・・・・・・・・調教が足りなかったか?」

不敵に笑う男、ナガレ=ノクトンの姿が。

「ぎゃああああ!?肩がっ!?肩がとけてるっ!」

「HAHAHAHA」

ナガレが乗せていたファルの肩から光の粒子のようなものが飛び、どんどん削られていっている。
とっさに持っていた剣の柄でその手を払い、距離をとる。

「あうあうあうあうあうあう」

「ふ、ファルさん?大丈夫ですか?というかこの方はいったい?」

「おや、ジーナちゃんか」

「はい?」

呼び止められたその声にジーナは過去の記憶を検索するが、このような人物に心当たりはない。
というかこのファルの怯えようはなんなんだろうか。

「久しぶりだな。といってもこんなに小さかった頃だからな。覚えてないだろ」

親指と人差し指の隙間で表現するナガレ。
そんな小さい人物はいません、と言いたいが先程のファルの反応から迂闊なことはいえなかった。

「ま、覚えなくてもいいが一応自己紹介をしておこうか」

ナガレはどこか彼に似た笑み浮かべながら

「ナガレ=ノクトン。世界を旅する渡り神の一柱だ。あ、こいつとは昔馴染みだ」

「ひぅっ!?」

踏まれながらこいつ、と言われているのは廊下の隅で可哀相なほど震えているファルだった。
助けたかったが、こういったファルも新鮮だったので結局助けなかったジーナ。
とりあえず、次は助けるから許してくださいと自己弁護しておいた。







ナガレがそう自己紹介をし、王城から去っていくとファルは立ち上がった。

「あの?」

「・・・・・・・・・あれは覚えなくていい」

「踏まれてたことですか?それともナガレさんのことですか?」

「どっちもだよ。だいたいもう会うことはないだろうし」

「いったいどなたなんですか?それにノクトンって・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・ナガレはギルとロロの先祖だよ」

「はい?」

「もう人間やめちゃってるから数百年は生きてるけどね・・・・・・・・・前に会ったのは10年前くらいだっけ」

「はぁ」

「あの装備を見る限り、そろそろ別の世界に行くみたいだからたぶんもう会わないだろうね」
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