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2-48 似非神父と不幸少女

昨日の敵は今日の友。
そんな昔の言葉を思い浮かべながら、ギルは困惑していた。

「おかわりはいいのかね?成長期なのだから、食べないと大きくなれんぞ」

「・・・・・・・・・はぁ」

そこには似非神父こと、アカシアがいた。
こいつって指名手配じゃなかったっけ?
こんな堂々と居酒屋で食べてて平気なのか?
司祭服きてるって、隠す気あんのかこいつ?
そもそもなんで誰もつっこまないんだ?
つっこみ待ちか?
俺のつっこみ待ちなのか?

「・・・・・・・・・あの」

「なんだね少年?」

「何してんですか?」

「居酒屋にいてすることなど一つしかあるまい?」

アカシアが食べている焼き鳥の傍においてあるのはビール瓶。
神父って飲酒禁止じゃなかたっけ?
先日の戦いはいったいなんだったんだと苦悩する。
今日は日曜日。
王立学園が休日なのでファルがいないので外食を決めたのが間違いだったのかもしれない。
なんであの時寮の食堂を利用しないで中央通りに出かけたのか、1時間前の自分の問い詰めたい。
そしてこんな時に限ってなんで相席なんだ。

「さて、私はそろそろ失礼するかな」

昼時にも関わらず酒を飲んでいたアカシアはいつのまに食べ終えたのか、席を立つアカシア。
生返事を返してギルはすっかり冷めたスープを口に運ぶ。
ああ、普通の料理って素晴らしい。
って

「待てアカシア!」

店から出て行こうとしていたアカシアを呼び止めるギル。
聞きたいことがあったのだ。

「なにかね?」

「ナノちゃんはどうしたんだ?」

そう、彼女の行方はまったくつかめない。
もともと接点が多い彼女ではないが、男として、冒険者として、友人としても見過ごせない。

「天の御使いのことかね?彼女なら無事ははずだ」

「・・・・・・・・・」

「本当さ。あの後魔法少女とやらが来てね。それも鬼畜魔法少女だ」

・・・・・・・・・はい?

「・・・・・・・・・鬼畜魔法少女ですか」

「そうさ。君も気をつけたまえ。魔法少女はこの世の理を破壊する」

そういい残してアカシアは今度こそ居酒屋を出て行った。
色々とつっこみたい衝動にかられたがそこは我慢することにする。
一度敵対・・・・・・・・・というか犯罪者のアカシアだが、中身は案外人間味のある奴なのかもしれない。






どうでもいいイベントが発生し、このまま寮に帰るか露店をまわるかをギルは迷いながらベンチに腰をかけていた。
ふと自身の腕輪のメールシステムを呼び出し、受信メッセージを確かめる。
彼女、ナノへのメールは依然として帰ってこない。
アカシアの話を信じるならばナノは無事はなずだが・・・・・・・・・もしかして嫌われているのだろうか。
いや、それならアカシアと会った日、呼び出しに応じなかったはずだ。
となるとアカシアが嘘をついている可能性だが、これはおそらくだが低い。
あの時アカシアが気に掛けていたのはナノ一人で、自分とロロのことなんて道端の雑草くらいにしか思っていなかっただろう。
実際居酒屋でも相席で座った時、数分くらいしてから気付かれたもんだ。
出来ればそのまま気付かないでいてくれればよかったのに。

「ありゃ?ギルっち?」

声をかけられた、その声に反射的に振り返り見つけたのは黒いロングの髪に黒い目を持つクラスメイトのティアマト。
ラフな私服姿で・・・・・・・・・

「その胸についたアイスはなんだ」

「へ?ああ、さっきアイス食べながら歩いてたらさ、ちょうど柄の悪い人とぶつかっちゃったのよ」

「その真っ黒になった右腕はなんだ」

「家の鍵が焼却炉に入っちゃってさ。火を消してから中につっこんだのよ」

「・・・・・・・・・その頬についたキスマークはなんだ」

「いやぁ、間違ってオカマバーに入っちゃってさ。すぐ帰ろうとしたんだけど異様に気に入られちゃったのよ」

ファーストキスは守り抜いた。
そう誇らしげに胸を張るティアマトに思わず涙をこらえるギル。
相変わらずの不幸ぶりだった。
戦闘訓練や演習の時は不幸が襲い掛からないのに彼女の場合、実生活において不幸になるようだ。
どうにかしてやりたいが、かつてどうにかしようとして自身も不幸に見舞われたのは記憶に真新しい。
一緒に不幸体質を治そうとしたメンバーの中で特に被害を被ったジーナは数日間不登校で部屋に引き篭もったくらいだった。
我がクラスの結論は”そっとしておこう”ということになった。

「ところでさっきからスルーしてたんだが」

「なに?」

「その子・・・・・・・・・なんか黄色くなってるけど、ナノちゃんだよな?」

言うべきか言わざるべきか迷ったのだが、とうとう聞いてしまった。
ジーナの隣に立っているのはティアマトと同じく黒い髪の持ち主、『であった』ナノの姿が。
というか知り合いなのだろうか。
超ロングで立っているにも関わらず地面すれすれにまで届いているかつての艶やかな髪は黄色に変色していた。
いや、黄色くなっているのは髪だけではない。
服も黄色で統一されている。
ツンとにおってくるこの匂い。

「ペンキでもかけられたのか?」

「・・・・・・・・・」

無言で頷くナノ。
相変わらず表情が乏しいがどこか哀愁を漂わせているのは見間違いじゃないだろう。

「いやぁ、ごめんね?お詫びに昼食奢ってあげるからさ。まぁその前に銭湯だけど」

「(フルフル)」

「さてギルっち、そういうわけだから」

「(ウルウル)」

なの の なみだめ!
こうかはばつぐんだ!

「な、なぁティアマト。ほら、お詫びなんていらないんじゃないか?」

「何言ってるのさギルっち。ナノっちには迷惑かけたんだから何かするのは当たり前でしょ?」

「・・・・・・・・・ソウデスネー」

フルフルと振っていた首の速度が2倍程に上がる。
その光景に思わず目をそむけるギル。

「・・・・・・・・・」

ナノは失望したと言わんばかりに目に涙を溜めながらも睨みつけており、ギルは冷や汗を流した。
うん、これでフラグはもう立たないだろうな。
混乱しすぎて妙なことを考えるギルだが、背中はしっかりとティアマトに向け、
足は『ガ○ダム、大地に立つ』とサブタイトルをつけてもいいくらい前へ前へと地面を踏み進んでいる。

──あれ、そういえばナノちゃんって特級冒険者だっけ

・・・・・・・・・恋愛フラグを潰したかわりに死亡フラグがたったんじゃないだろうかこれ。
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