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20101203 雨のちはれ

9:00、起床しつつ外を見てすごい雨だなぁ、と他人事のように思う
11:00、大学に行く。到着するが、午前中は大雨につき休講らしい。仕方ないので家に帰る。
13:00、午後の講義をうけるために再び大学へ。到着するが、大雨で交通機関がどうとかで終日休講。クタバレコノヤロウ

大学のHPを調べればこんなことはまず起きないのですが、うちは基本的に調べる前に特攻します。
いや、だってさ・・・・・・・・・うちの住んでるところ──大学の近辺──は10時には既に雨が止んで、めっさ晴れてたんだぜ?
まさか午後も休講になってるなんて思わないだろう・・・・・・・・・。
さてそろそろROまじでやばいほどINしてない・・・・・・。
以前は毎日INしてたんだがなぁ。
気分やなので仕方ない!


さてARの話、いるかどうか知りませんが。
ついに中ボス?を出しました。
そして我らが主人公のまさかの敵前逃亡。
いや冷静に考えてギルさんって主人公補正とかあるものの基本的に新米冒険者なんだよね。
書き溜めているARはあと2話のみ。
一応ちまちま書いてまふ。
座談会は気が向いたらorお便りがあれば書きます。
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2-43 偽りの救世主

「誰だお前は!?」

ギルが大聖堂の中心に立っている男に向かって叫んだ。
司祭服を身に纏い、嫌悪感を抱かせる嫌らしい笑みを浮かべた男に、ロロは一歩下がる。

「ほう、これでもプロンテラではそこそこ有名なつもりなのだが・・・・・・・・・私もまだまだ、ということか」

芝居かかった動きでやれやれ、と肩を下げる男。
そこに一歩踏み出し、ナノは言った。

「・・・・・・・・・アカシア」

「さすがに君は知っているか、神の御使いよ」

「ナノちゃん、知ってるの?」

ロロが司祭服の男、アカシアから目を離さずにナノに問いかける。
一呼吸挟み、ナノは語り始めた。

アカシア、つい1年くらい前からプロンテラに現れた謎の司祭。
彼はプロンテラで謎の人型生命体を操り、人々を襲っていた。
襲われた人々は目が虚ろになり、半年目覚めない。
彼は使役するその生命体をグールと呼んでいる。
その目的は不明。
グールは動きが少し鈍く、攻撃力もモンスターに比べればあまり高くないので脅威には見えないのだが、
何よりも恐ろしいのは謎の防御と生命力だ。
冒険者が放った剣戟は謎のフィールドで逸らされ、魔法は当たる前に四散する。
このことを重く見たプロンテラ現王は司祭アカシアを特級犯罪者と認定している。

「つまり、かなりやばいってことか」

「そうね。さすがに特級犯罪者なんて私達には荷が重いわ」

ナノが説明している最中、何故か攻撃をしてこないアカシアを睨みつけながら大聖堂の出口を見る。

「しかし余裕だな」

「何がだね?」

「話が終わるまで待ってるなんてな。いつでも俺達のことを倒せるってか?」

何を言っているのかわからない、といった顔をしたアカシアは少しして手を叩き言った。

「ふむ、お約束ではないのかね?こういう時に口を挟まないのは」

「ってそんな理由かよ!?」

先程まで流れていた緊張感が一瞬で流れ去った。

「別に君達が逃げようか、私には関係ないのでな。私に必要なのは・・・・・・・・・神の御使い、ただ一人」

「神の御使い?ナノちゃんのことかしら?」

先程からアカシアはナノのことをさして神の御使いと言っているがその意図がつかめない。
だいたいにして人々を襲っているのにギルとロロを逃がすというのは納得がいかない。
ひょっとすればアカシアが人々を襲うのにも何か法則性があるのかもしれない。
・・・・・・・・・ギルがそこまで考え、ふと感じた殺気に武器を掴む。
見ればロロも同様に手甲をつけており、臨戦態勢だ。
その殺気の発生源は・・・・・・・・・

「・・・・・・・・・」

すぐ傍にいる、ナノだった。

「そう、彼女こそが神の御使い。かつて滅びたとある神の置き土産だ。
 不思議に思わないのか?アイドルなんてものを、どうして彼女がしてい・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・黙れ」

明確な敵意。
それを示すためにナノは腕輪からその剣を取り出した。

「ほう・・・・・・・・・草薙か。少々前、我が眷属が消滅したのは神の御使いによってか。
 確かに太陽の加護を得たその剣ならば、我らに攻撃することはたやすいだろう」

「・・・・・・・・・」

大聖堂に殺気が充満する。
アイドルとして人気を集めるナノの姿はなく、そこには特級冒険者としてのナノ・・・・・・・・・<紅蓮の妖精>がいた。

「・・・・・・・・・イグニッション」

その言葉と同時にナノの服が炎に変わる。
まるで炎の化身のようになった彼女は、草薙剣を水平に傾けると言い放った。

「・・・・・・・・・スピード」

瞬間、紅蓮の精霊は加速した。







「ギル!早く逃げるわよ!」

ギルが目の当たりにしたその戦闘は、初めて見る特級と言われる人物達の戦闘だった。
姿こそ目で追えないものの紅蓮の軌跡を残しながら複雑な動きを見せるナノ。
それに対してゆっくりとした動きではあるが完璧かつスムーズな魔力運用によって魔法障壁で神速の一撃を防ぎきっているアカシア。
無意識のうちに握った拳に力が篭る。
これが自分の父がいた領域。
ここ数年の鍛錬で少しは近づいたかと思っていたが、全然そんなことはなかった。
まだ背中すら見えていない。
そこには冒険者としての格の違いが存在していた。

「聞いてるの!?ギル!」

「・・・・・・・・・っ」

ナノはギルにとって大切な人だ。
確かに一ファンではあるものの、知り合いとなった今では大切な友人でもある。
そんな彼女が戦っているというのに俺は何をしているんだ?
英雄の息子?
そんなもの、何の役にもたたないじゃないか。
いくら父さんが強かったとしても・・・・・・・・・俺は、こんなにも無力だ。
足手纏い?
そうだろう。
例え俺が剣を構えてアカシアに攻撃しても意味はない。
逆にナノの足を引っ張るのが精々だろう。

「ギル!」

「わかってるさ!・・・・・・・・・っ!」

間違いなく逃げるという選択肢が今この場で出来るナノへの最大の援護。
ギルは拳を強く握り、ナノがいるその領域を確かに目に写して大聖堂を後にした。






一方、ナノは少しいらついていた。
アカシアという男に先程から手加減なしの斬撃を放っているのだが魔法障壁によって小さい傷すら負わせられない。
冒険者になってから様々な敵と戦ってきたがここまで身体能力ではなく純粋に魔法障壁だけで凌ぐ敵は初めてだ。

「・・・・・・・・・らちがあかない」

忌々しげに呟き、草薙剣をまた一度振りかぶる。

「神の御使いよ。貴方はこの世界の真実を正確に把握している」

「・・・・・・・・・だから?」

だからどうした。
そう言いたげに剣戟の速度をさらに増す。
相手が体術ではなく魔力運用で防ぐというのならこっちはその速度を上回って叩けばいい。
ならば───

「・・・・・・・・・速」

先程から行っていた草薙剣を媒介にした身体強化の術。
それを行うならばスピードではなく速と唱えたほうが強い言霊を持つのは当然。
ならばさらに強い身体強化を引き起こし、彼女の身体は音速にまで近づく。
しかし

「速い速い。神の御使いよ、この世界に義理立てする必要はあるまい?
 私と一緒に来て、別の世界を管理しないかね?」

「・・・・・・・・・ナノは、そんなこと、望まない」

「貴方一人の力じゃ世界は管理できない。歯車は一つでは役立たずのように、貴方の存在もまた無力だ。
 ならば早々に見捨てるほうが建設的ではないかね?」

「・・・・・・・・・」

切りつける手を止め、少し距離をとるナノ。
それを迷いと見たアカシアは一気に畳み込むべく言葉を紡ぐ。

「私とくればこの世界じゃない世界で渡り神として生きていける。滅びの運命を避けることができる。どうだね?私と来ないか?」

手をゆっくりとナノに差し伸べる。
ナノは顔を俯かせ

「・・・・・・・・・・・・・・・い」

「・・・・・・・・・?何か言ったかね?」

そして今度ははっきりと言った。

「・・・・・・・・・くだらない。ナノにはロズだけ。ロズだけが、ナノのご主人様──マスター」

「・・・・・・・・・。まさか神の御使いが恋人ごっことは・・・・・・・・・呆れたものだ。それこそくだらない」

「・・・・・・・・・くだらないかはナノが決める。さようなら、アカシア・・・・・・・・・闇討ちし太陽の剣草薙剣

草薙剣の圧倒的存在感が開放され、鈍く輝きはじめる。

「な!?」

「・・・・・・・・・神剣、草薙剣!」

紅蓮の軌跡にアカシアはとっさに黒い防御魔法を展開するが、ナノにとってそんなことは関係ない。
その力は神剣、たかが魔法障壁など紙のように切り裂く!

「ちっ!」

2-42 明かされる霧

カツカツカツ、と3人の足音が誰もいない裏路地に響く。
エリアE・・・・・・・・・かつてテロで廃墟とかした、世界で一番の発展を見せるプロンテラの負の側面。
今はもう、誰も訪れないはずの場所。
そんな場所をナノは迷うことなく道を進んでいた。
ロロは若干不安気に辺りを見回しつつ歩いており、ギルも無意識のうちに背中に背負っているバスターソードに手が伸びていた。

「・・・・・・・・・」

「ナノちゃん?えっと・・・・・・・・・どこにいくのかな?」

重い空気に耐えられなくなったのか、ロロがとうとう聞いてしまう。
ギルも聞きたいが、聞きたくないという葛藤があったのだが・・・・・・・・・こうなると聞きたくないという気持ちのほうが大きい。
二人はあれからナノに案内されたどこかの空き家で説明をしたのだが、それを聞いたナノがここにつれてきて、今に至る。

「・・・・・・・・・エリアE」

「え?」

「・・・・・・・・・かつてテロ、そして廃墟に。公式ではそうなっている」

「公式では?」

深くエリアEのことを知らないギルはナノに聞き返すが、彼女は一度ギルに視線を投げかけてやがて見えてきた聖堂に目を向ける。
その聖堂はかつてプロンテラ大聖堂と呼ばれ、聖職者が必ず訪れる場所、だった。
今では別の場所に移されているが、ここはエリアE防衛の際に被害を最小限に留めた、英雄達が眠る。
避難勧告がでた時にまず一般人の救助を行い、命を賭けて・・・・・・・・・いや、落としてモンスターの殲滅をした聖職者達。
確かにエリアEは常人は訪れない場所なのだが、月に一度だけ現プロンテラ大聖堂から大人数でここに掃除に来るのだ。

「・・・・・・・・・これ、知っている?」

大聖堂に向かって歩く中、ナノは腕輪から一本の枝を取り出した。
一見普通の枝と何の違いがあるか分からない。
しかしそれが微量の魔力を帯びているのが分かる。

「なにかしら?」

「・・・・・・・・・古木の、枝」

「・・・・・・・・・!?ちょっと!?」

ロロが大声で非難の声をあげた。
ナノが取り出した古木の枝を使用はもちろん、持っているだけでも処罰されるものだった。
この枝を折るとどこからかモンスターを召喚される。
故に町の中に持ち込もうものなら牢獄に入れられても文句が言えない代物だ。

「・・・・・・・・・公式では、これが使われたことになっている」

古木の枝によるテロ。
当時そこまでこの枝が危険視されていなかったのはその特性にあった。
この古木の枝は折ったら即発動。
しかも召喚されるのは自分の目の前。
さらに言えばモンスターが真っ先に攻撃するのは目の前の人物。
自殺用としか思えない程のアイテムだった。
たまに上級冒険者が面白半分で折って半殺しにされたりするが、それでも被害は大きくなかったので危険視はされていなかった。
しかしエリアEにおいてその見通しは甘かったといわざるを得なくなる。
そう、テロはテロでも自殺テロが起こったのだ。
詳細は知らされていないがとある集団が同時に枝を折り、自殺テロを起こしたらしい。
この事態が収束した時、重く見た前国王は古木の枝を一級危険物とし、以前の5倍の値段で買い取っている。
集められた古木の枝は召喚されないように処置をし、処分するらしい。
そこまでゆっくりとナノは話、大聖堂の敷地内に入った。

「・・・・・・・・・だけど、それは表向きの事件」

「表向き?私達冒険者にすら隠蔽される?」

「・・・・・・・・・そう。事実は・・・・・・・・・ミストオブアインヘリヤル」

「ミス・・・・・・・・・?すまん。もう一回言ってくれ」

「・・・・・・・・・ミストオブアインヘリヤル」

「ミストオブアインヘリャル」

「・・・・・・・・・」

ギルは蔑むようなロロの視線と色のないナノの視線にザクザクと何かが刺さるような幻痛を感じた。

「・・・・・・・・・ミストオブ」

「いや、ナノちゃんもういいわ。バカは放っておきましょう」

「ひでぇ・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・ミストオブアインヘリヤル、それは貴方達が見た霧と同じ」

「ちょっと待てよ!つまりここがこうなったのはあの霧のせいだって言うのか!?」

無言で頷き、ナノは大聖堂の扉を開いた。
独特の音をたてつつ見えた大聖堂の中は、ステンドグラスから伸びる光で照らされ、幻想的だった。

「・・・・・・・・・あれはヴァルハラ・・・・・・・・・アインヘリヤルから無差別に戦士を召喚する」

「ヴァルハラって勇敢な戦死者を集めて来るべきラグナロクに備えるオーディンの私兵のことよね?」

「・・・・・・・・・そう。それの暴走」

「いやいやいや。というかまじでヴァルハラってあるのか?」

「何言ってんのよ。あるに決まってるじゃない」

いやロロ。
お前が聖職者でオーディン崇拝してるのは知っているが、少し黙っててくれ。

「・・・・・・・・・ヴァルハラが存在するかしないか、は問題じゃ、ない。
 ・・・・・・・・・要点はそれが起こるか起こらないか」

「確かにそうだけどよ」

実際問題としてミストオブアインヘリヤルが・・・・・・・・・霧が発生し、冒険者が襲ってくるという事態になったのだ。
・・・・・・・・・あれ?

「なぁ、なんでそんなことを隠す必要があるんだ?別に問題ないんじゃ・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

ついにナノは歩みを止め、大聖堂に飾られているオーディン像の前で止まった。
それを見た時、ナノの目に一瞬だけ感情が映ったが二人がそれに気付くことはなかった。

「・・・・・・・・・二人は、気付いた?」

「へ?」

「何がよ?」

「・・・・・・・・・ミストオブアインヘリヤル、その冒険者が死者だってことに」

思い出してみる。
確かにモンスターに襲われないというところはあったものの、その姿は冒険者そのものだ。
今だって話を聞くまであれが死者だなんて夢にも思わなかった。

「いや」

「・・・・・・・・・そう、17年前のエリアEは誰も気付かなかった。・・・・・・・・・ならば襲われた人たちはどう思う?」

「そりゃあ、冒険者が襲ってきた・・・・・・・・・ってまさか!?」

「・・・・・・・・・誰も気付かなかった。誰もが、何かが起こっていると気付きつつ、何も気付かなかった」

オーディン像を見上げていたナノは一呼吸を挟み、言い放った。

「・・・・・・・・・そして始まった。疑心暗鬼にかられた殺し合いが」

それこそがエリアE壊滅の真相。
誰もが隣の冒険者を怪しみ、僅かな容疑で殺し合いに発展する最悪の空気がエリアEには充満していた。

「・・・・・・・・・これが貴方達の知りたがっていた全て。貴方達の感じていた違和感は、あれが生者ではないということ。
 ・・・・・・・・・そして、これが世界の秘密の一端であるということ」

「世界の、秘密?」

「・・・・・・・・・」

世界の秘密。
間違いなくナノは何かを知っている。
それを問おうとして───

「ふふふ・・・・・・・・・やぁ諸君。迷える子羊と、哀れなる神の御使いよ」

いつのまにか大聖堂の中心に立っていた、司祭に遮られた。
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