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はちがつさんじゅういちにち。はれ

今日も実家でぐうぐうぐう、と怠けつつROにINしようかぁ、と接続してみてビックリ!
・・・・・・・・・え、期限切れてるじゃん(´・ω・`)
ということでINできなかった狸です。

実はBALSEN、ROでは狐よりタヌキ、現実ではタヌキより狐派な似非狸なんですが、この前東京に住むタヌキの番組を見て思ったのですよ。

・・・・・・・・・タヌキも悪くない

うん、悪くないですよね。


今回も同じく移転作業ー。
え?RO日記なのにROの話ないって?
小説で我慢!
ちなみに18話だかなんだかが飛んでいるのは没ネタになったので17話の最後にちょこっと18話の冒頭がのっています。
18話の内容がないのは後で修正することで修正したいと思います。
保険医のマッドさが違和感ありすぎて没キャラになったなんていえない・・・





>某ぎるどますたー・・・・・・ぽけもんますたー、みたいな?
ククク・・・よろしい、ならばクリーク(戦争)だっ!
と、まぁ失言なんてのせてもうちは気にしないですよ。
というかある意味美味し・・・・・・じゃなくて、まぁネタになりますからねっ!
ROにINは最近もう使われなくなりつつあるギルドBBS、もしくは日記にコメントして誘ってくれれば例え火の中水の中・・・・・・・は嫌ですが、可能な限り接続しますよー
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2-19 仮想訓練

ギルとロロが戦っている時、ファルは移動しつつ罠を張っていた。
子供騙しのあまり上等ではない類のものだが、ロロとティアマト相手になら十分通じるだろう。

「………ワイヤーが足らないね」

自前のものを持ち出してきたのだが、もうあまり残っていない。

「ああもう。ケイト使いすぎだよ………」

前回ワイヤーを貸し出した人物に悪態をつくが、ないものは仕方がない、
このままだと良くて二人くらいしか引っかからないが………

「発見だよ発見だよ!」

「!?」

どうしようかと考えているところに聞こえた声に迷わず近くの扉をけり破って入ると、
やはりというべきか白い物体が通り過ぎていった。

「奇襲で大声を上げてどうするんですか。それで、どこへ?」

「え?うーんとね………どこだろ?あ、ちょっと待った!今当ててみせるからさ!」

罠を作っている途中だったので誘い込むために袋小路にいたのだが………それが裏目に出たようだ。
あの二人を突破しなければ逃げられそうにない。

「………『一の顎、十の扉、百の世界、忌むべき魔女の雹』」

「お?おお?」

次の瞬間閉じた扉越しに聞こえてくる破壊音の数々。
置かれていた品物ごと罠を破壊しているようだ。
これは不味いなー、そう考えて打開の策を考えてみる。
まずここにロロがいない理由。
肉弾戦で最も戦闘能力が高い彼女は単独行動をとったのだろう。
………突っ走ったロロが孤立したとも考えられるが。
そしておそらくだがロロは今、ギルかアレスのどちらかと対峙しているだろう。
強さの関係で前者だと思うが、それでも事態はまったく好転していない。
あの二人が戦うとおそらくだが





打ち込んでくる拳を寄せ付けないように全力で後ろに下がりつつ、自分の得意な距離を保つ。
拳が届かずこちらの剣が届く範囲を保つことで一方的に攻撃をすることができる………はずなんだが。

「はぁ!」

「ちょっ!?何それ!?」

問題はロロが使っている滅茶苦茶な魔力の使い方だ。
詠唱?何それ?美味しいの?な彼女は魔力を固定する気もなく、爆発として扱っていた。
しかもそれを初期速度として変換し、絶えずこちらの距離を詰め、容赦のない攻撃をしてくる。
剣というのは懐に潜りこまれるとこれ以上ない程不利な武器である。
いや、懐に潜りこんだ拳闘士が非常に有利なのだ。

「はな、れろ!」

力任せに木剣を横に薙ぐがそれに対しロロは空中へ飛んだ。
へ?とマヌケな声が出たその直後、顔面に対して鈍い感触。
地面に何回かバウンドしつつ壁に激突し、止まった身体に激痛を感じつつもロロを見据える。
もはや首を動かすだけでも身体が痛んでしまう。

「避けながら空中で回転しつつ回し蹴りってねぇよ……」

そのおかげでロロの脚力ではありえないくらい強い力で蹴り飛ばされてしまった。
首の骨、折れてねぇよな?確かめたいが手は既に殆ど動かない。
というかさっきから意識が飛びそうだ。

「降参しなさい」

お前が犯人だと言わんばかりにこちらに指を突き出し、敗北を促すロロ。

「はっ、誰がロロなんか………に!」

痛む体に鞭打って剣を振りかぶる。
だが

「へぇ?」

素人が振ったってもう少しマシと思えるほど鈍い剣筋にあっさりと木剣とつかまれる。
するとメシメシと木剣から嫌な音が聞こえ

バキィ!

………へし折りやがった

「降参、するわね?」

先程の命令と違いもはや確認のその言葉にギルは振るえながら頷くしかなかった。







「まぁ負けてるよね」

冷静に戦況を判断するが、そうなると次にこの破壊音がなっているここへロロは来ることとなる。
1対3でしかも罠はもう破壊されてるだろう。
なんかもう勝ち目がない気がしてきた。
あ、破壊音収まった。

「あら、生きてるね」

「そうですね。ファルさんはしぶといですから」

「………」

ゆっくりと隠れていた室内に入るジーナとティアマトを見据えつつ逃げ道を探すが、簡単には見つからない。
家というより屋敷というほうが正しいこの戦闘フィールドは、廊下だと少数、部屋だと多人数相手の戦いに向いている。
しかし殆どの部屋は袋小路なわけで、ファルは追い込まれていた。
手元の木剣を構え、唯一の出口を見るが二人、というよりジーナの攻撃をかいくぐって通るのは難しい。

「覚悟ぉ!」

「ですね。よからぬことを考えられても面倒なので」

ティアマトが牽制と言わんばかりにメイスを振るう。

「って、ちょっ………!?顔狙いって何なの!?」

間違いなく殺す気が満々の攻撃だったが、大振りだったので隙が大きい。
軽く屈んで避け、そのまま木剣をティアマトに打とうとしたところで影にいる人物に気付く。
このまま打ったならば間違いなくジーナの攻撃に当たる。
なので打たずにティアマトは素早く蹴りを入れて飛ばし、ジーナの剣筋のみを見極めた。
剣の軌跡をずらしながら再度こちらに突進してくるティアマトを見て、舌打ちをする。
打ち込まれる度に良い音を鳴らす木剣であるが、メイスなんかと打ち合うと間違いなく折れる。
というかこいつら

「初心者ってレベルじゃないよ………ね!」

「そうですか?『伝説を紡ぐ者、驕れる外道を打ち倒す気高き者』」

………!?
この詠唱は………あたったらまずい!
剣を交えながらなので詠唱速度こそ遅いがこのままでは確実にやられる。
そう判断したファルは一気にジーナを倒そうと集中的に攻撃するが重いメイスの攻撃に木剣は届かない。

「ちっ、そこ!」

一瞬の隙を見つけては打ち込むが

キィン!

「甘い!練乳にさらに砂糖を投入するかのように甘甘だよ!」

「それ甘いってレベルじゃ・・・・・・・・・っ!?」

「『命を紡ぐ者、輝ける命を生み出す優しき者。死を紡ぐ者、死すべき生者を刈る虚無の者!』」

遂に詠唱が完成してしまった。
だがしかし、逃げるには十分な時間がある。
ファルはそう判断して唯一の武器の木剣を邪魔をしてくるティアマトに投げつけ、堂々と出口から逃走をはかった。
これで負けは確実だがあの魔法を受けるよりマシであ………

「ジーナたん行けぇ!」

「変な名前で呼ばないで下さい!」

ふと後ろを見るとティアマトの振るったメイスに足をかけてこちらに吹き飛んでくるジーナの図。
あ、これはやばい。
ジーナの手がファルの上着についた時、彼女は叫んだ。

「覚悟です!『地獄への扉!』」

「ぎゃあああああああああ!?」









「新年早々に飛ばしますね」
『そう?マトモな戦闘はこれが始めてかもねぇ』
「………戦闘というにはあまりにもお粗末ですね」
『攻めないで!俺の執筆力を攻めないで!』
「そんな鼻水たらしながら土下座されても気持ち悪いんですが」
『きも……ちわるいだと!?』
「はい。英語で言えばブサイクです」
『英語じゃない!?というかさらに酷い!?』

2-18 死刑囚な男性陣

屋上から突き落とされたその翌日、ギル達はトナ校長を待っていた。
ティアマトはギル達が入った時には既におり、綾取りをしていたがこちらに気付くとすぐにそれを腕輪にしまった。
しばらくしてやってきたアレスは腕輪から本を取り出してはニヤニヤしていた。
もちろん近寄りたくないので誰も話しかけない。
いつもの4人にプラスしてティアマトとで世間話をしていたらギルが時計を見て呟いた。

「それにしても遅いなトナ校長」

「そうね。何かあったのかしら?」

隣の教室からは時折爆音と悲鳴がセットで聞こえてくるが、ここは王立学園。
誰も気にしない。
冒険者になる人物なんて大抵普通とはかけ離れているし、トナ校長がその良い例だろう。

「む、ニ、ニノたんがライブやて!?」

そしてこのアレスもある意味その典型的な例だ。
元から変人とみなされているアレスなので、例え彼が唐突に奇声をあげても誰も気にしない。
しかしその奇声に凄く反応した人物がいた。

「ニノさんだと!?俺にも見せろ!」

「・・・・・・・あーあ」

素早い身のこなしでアレスの座っている場所まで文字通り跳んで行くギルに呆れた声をあげるロロ。
いつものころです、と言わんばかりにジーナは静かに紅茶を・・・・・・

「って待ちなさいよ」

「はい?何ですかお姉さま?」

「なんで紅茶飲んでるのよ。というかどうやって淹れたのよ?」

もっともな疑問であるがジーナはそれこそ意味が分からないと言いたげに首を傾げた。

「・・・・・・・・・?」

「いやだからなんで紅茶を・・・・・」

「ロロ。腕輪の効果を忘れたの?」

「・・・・・・・・・ああ、そうね」

そういえばこの腕輪の中だと時間は遅くなる。
かつ温度も湿度も存在しないので一日程度なら紅茶の温度を下げないで完璧に保存する程度、可能なのだ。
まだ冒険者になって日が浅いため深く考えていなかったがこの腕輪は便利である。

ピロリロリン

そんな着信音を聞いたファルはすぐに腕輪を目の前に持ち上げ、ちょちょいと宝石を指で弄る。

『はろう諸君なの!今日も元気にいってみ』

ピッ

映ったトナ校長の背後にやたらぬいぐるみが置いてあったのを確認してファルは通話をきった。
その瞬間再びなる着信音。
珍しく困惑したジーナが「いいのですか?」と表情で語っていたがファルは静かに首を横に振った。

「・・・・・・・・・重要な連絡事項かもしれないから一応聞いたほうがいいんじゃない?」

ティアマトの一言に仕方ないなといった様子で再び回線を繋げるとモニターを放置してトナ校長がわめいてた。

『ぐすっ・・・・・・二日にして早くも学級崩壊なの。ふ、不良さんなの・・・・・。
 どうせ私は生徒に嫌われている教師なの・・・・・・』

「うぜぇですからとっとと立ち直ってください」

『なの!?』

繋がっていたことに気付いてなかったトナ校長は慌てて手を振り回し、もちろんカメラが上下に触れた。
そして映る私物の品々。

「・・・・・・・・・まさかと思いますが、まだ私室というわけじゃありませんよね?」

『どうして分かったの!?超能力なのー・・・・・・』

「うん、いいから黙ってください。むしろ黙れ」

『な、なの!?反抗期なの!』

「あー、はいはい。反抗期ですよ」

『何その投げやりな態度なの!そんな子に育てた覚えはないの!』

「貴様が我を育てた・・・・・?はっ」

『あー人を鼻で笑っちゃいけないの!』

だんだん涙目になりつつあるトナ校長に若干気持ちよさを感じるファルだが、そろそろ本題に入らないと話が進まない。

「それで今日は何をすればいいんですか?」

『なの?・・・・・・・・・今日は男子対女子で模擬戦闘をして欲しいの。・・・・・・・君達特殊すぎてデータが信用ならないの』

「何かいいました?」

『なんでもないの。それでルールは・・・・・・』





簡単に言えば特殊戦闘用の家を使った屋内のチーム戦だった。
屋敷での戦闘をイメージしているのか移動可能範囲は十分に広い。
降参か気絶で退場、最終的にどちらかが全員敗北するか3時間過ぎるまで続き、
後者の場合は残ってる人数で勝敗が決まる。
もし人数が同じ場合は生き残っている中から代表者を決めて一騎打ち。

「ようするにこの前の奴のより実践的にやつってことか」

「そうみたいだね。警戒するべきはロロとジーナ・・・・・・・未知数というべきではティアマトさんもかな」

「それって全部ちゃう?」

殺る気満々で準備体操をしている女子とは反対に男子達はコソコソと部屋の隅で作戦会議をしていた。

「・・・・・・・なぁファル」

「うん?」

「ぶっちゃけ、勝てるのかあれ?」

チラリとティアマトのほうを見てみるとそこには鈍器を軽々と振り回すティアマト。
基本的には木で作られた刃がついていない武器を使うこととなっているのだが
メイスを使っているティアマトには関係のない話だった。
トナ校長も鈍器なら問題ないだろうということで許可しているが・・・・・・
木と鉄が打ち合った時、どちらが不利かなんて火を見るより明らかだった。

「はっ!」

対して気合の声をあげて備え付けのカカシを突きまくっているのはジーナ。
動きからしてレイピアを想定しているのだろうが・・・・・・たまにその腕が見えなくなる。
接近したら最も危ないのが彼女、と思いたいところだが接近戦で一番不味いのは彼女、ロロだった。
先程から何かに打ち込むような動作で殴る蹴るを繰り返しているが、
殴られているであろうシャドウが可哀相になるほどの非道っぷりだ。
よく見るとたまに空中コンボなんて離れ業をしている。
・・・・・・・・・接触したらまずアウトだろう。

「どうするんあれ?ぶっちゃけワイ、あんまり武器得意でないんやけど」

「・・・・・・・・・・・・何とかなる・・・・・・・・・なればいいよな」






怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
頭の中にその文字が延々と刻み付けられ、震える体をしっかりと抱きしめる。
結論、なんとかなりませんでした。

「どーこーよー?」

「ひっモガ!?」

「・・・・・・・・・ふふふ、そこね・・・・・・・」

聞こえてきた呪詛に短く悲鳴をあげた馬鹿な奴の口を塞ぐが、足音は確実にこっちへと近づいていた。
手に持っている木剣を最初は頼もしく思ったが、今では役立たずと罵るしかない。
隣にいる男も木剣を持っているが構えからしてだめだったのを覚えている。
あとは唯一の頼りのファルだが・・・・・・試合開始直後に早々とギルとアレスを置いてどこかへ行った。
もちろんファルのことなので何かをしていると思うのだが・・・・・・・・・
彼がその何かを準備し終えるまではたして生き残れるか謎だ。

「出てきなさい。せめて楽にしてあげるわよ?」

「・・・・・・・・・」

もはや潜んでいる場所はばれている。
ならばこれ以上潜んでいても仲間を呼ばれて不利になるとしか思えない。
しかし相手はこれ以上ないほど会いたくなかった・・・・・・ロロだった。
覚悟を決めてギルはアレスにアイコンタクトを送った。
戸惑ったような表情を浮かべてからアレスは頷く。
そして

「はぁ!」

「!?ちっ!」

クローゼットを蹴りあけてそのままロロに切りかかるギル。
木剣は振るわれたその拳に大きく軌跡を変化させ、空振りをしたギルに大きな隙を生み出す。
しかしそれを想定していたギルは身体を捻り、勢いに任せてニ連撃を放つ。
想定範囲内なのか軽いバックステップでそれを回避して構えをとるロロ。
やはり、強い。

「後は頼んだでー!」

「ってちょっと待て!なんで逃げる!?」

「え?あれはワイだけでも逃げろって視線じゃないん?」

シリアスな雰囲気を破ったのは背中を向けて堂々と逃げていくアレス。
もちろんそんな隙をロロが見逃すはずもなく。

「死に、なさい!」

「あぷろば!?」

「指弾の真似事だけど・・・・・・まぁなんとかなるものね」

ロロが指から打ち出したのは・・・・・・ボールペンだった。

「ってちょっと待て。形状から考えてそれ指弾じゃないだろそれ。むしろ暗器だろ」

「だから言ったじゃない。真似事ってね。次はギル、貴方よ」

「はっ!上等!」

ギルは木剣を下に構え、走り来るロロを迎え撃った。







「またこの展開ですか」
『といってもまだモンスター出すような時期じゃないからねぇ。魔法の理論を延々と書いてもつまんないし』
「確かにそうですね」
『今日は後書きはたいして書くことないので、あでゅー!』

2-16 しょうもない喧嘩

広間でギルは暇を持て余していた。
逆にロロは広間に設置されているテレビ番組に夢中になっており、それがギルの暇をさらに増大させている。
ふとテレビを見てみると今、モンスター避けの魔法機械のニュースをしているところだった。
なんでもモンスターが嫌がる特定の波長を周囲に流すことによって街を安全にしようという実験らしいのだが、
弱いモンスターにしか効果がなく、むしろ強いモンスターを引き寄せてしまう可能性もあるらしい。

「って、どうでもいいか」

自分が魔法機械を作ったり語ったりする為には知識が圧倒的に足りない。
こういうのはファルやジーナに語らせておけばいい。

「そういえばまた二人でいなくなったな」

先程ファルの部屋に行ってみたが誰もいないようで、ロロの話によるとジーナもいないらしい。
ダブルダブルに誘おうと思ったのだが・・・・・・。

「あ、いたいた!おーい!」

静かな広間で他の学生がいるにも関わらず大声をあげて手を振っているのはティアマト。
その手には黒い煙を吐いているアレスが引き摺られている。

「・・・・・・・・・どうしたんだ?」

「うん?ああ、これね。いやぁ・・・・・・ちょっとあたいの作った薬の実験台に」

ギルの視線に気付いたティアマトがさらりととんでもないことを言い放った。
チラリとロロを見てみるが相変わらずテレビに夢中である。
昔一度食べたロロの料理は、口に入れた瞬間気絶してしまうようなとんでもな代物だった。
見た目は真っ赤で・・・・・・・・・起きたら綺麗になくなっていたが、誰が食べたんだ?
そういえばあの頃からロロは彼女に懐いたんだっけ。
・・・・・・・・・彼女?

「はぁ」

「どしたの?」

「いや、少しな」

「ふぅん?ところでファルファルとジーナはんがいないね」

「別に四六時中一緒なわけじゃないさ。むしろ俺とロロ、ファルとジーナで別れてる時のほうが多い」

本当にあの二人は何処で何をやっているのか検討もつかない。
一度気になって二人を尾行したことがあるのだが、その時に行った場所が深夜のスーパーだった。

「ねぇねぇ、あの二人って付き合ってるの?」

と、つい二年前まで初対面の方がいつも聞いてきたそれを再び聞かされた。

「ファルはやめとけ。あいつを落とすのは難しいぞ」

今まで何回橋渡しを頼まれ、何度理不尽な怒りがこちらへ向いたか数え切れないほどだ。

「へ?何の話?」

「ファルが好きになったからその周囲の状況を教えてくれ、って話じゃないのか?」

と、思ったのだが、どうやら違うらしくティアマトは豪快に笑いながら座った。

「いやさ、どうも気になるんだよねあの二人。好きあっている素振りはないのにオーラが夫婦って感じで」

「分かる!俺も昔気になって聞いたみたんだけどよ」

その時の回答はいまだに自分の頭を悩ませている。

「なんでも、近いようで遠いってよく分からん答えだった」

「はぁ?それって答えになってないんじゃないの?」

「俺に言われてもな・・・・・・」

別に自分が言ったわけではないのに問われても、ギルには分からない。

「ふーん?ところでさ、それならあんた達はどうなの?」

興味が薄れたのかティアマトはつまらなさそうな顔をし、何を思いついたのか一気に小悪魔顔へと変化した。
・・・・・・・・・なんでだろう、急にこの場から去りたくなった。

「何が?」

「ほれほれ、そこの二人。ギルっちにロロっち!二人、付き合ってんの?」

「「ぶっ!?」」

思わずロロを見てみると、そこにはテレビを見ていたにも関わらず顔を真っ赤にしてこちらを見ていた。
顔が熱くなるのを感じ「おやおや?お二人さん、顔が真っ赤だよ?」と
爆笑しているティアマトを殴り飛ばしたい衝動に駆られる。

「なななな、そんなことあるわけないでしょ!私の理想はもっと知的な人で、野蛮人なんかじゃないわよ!」

「や・・・・・・野蛮人?」

「そうよ!それで強くてカッコいいんだから!」

プッツン、と何かが切れる音が聞こえ、口が勝手に開いた。

「・・・・・・・・・そうかいそうかい。じゃあ俺の理想も言わせてもらおうか」

「な、何よ?」

「まず暴力振るわない。殴るとか蹴るとか、論外だな。そんでもっておしとやか。
 間違っても人のことを野蛮人なんて言わない人が理想だな」

「っー!?もう寝るわ!」

ロロがさらに顔を真っ赤にさせて広間を出て行くと同時にテレビから流れてくる高い声。

『まじかるえんじぇる!ネール!』

「ぶっ・・・・・・・・あっはっはっはっ!ひぃーっ・・・・・死ぬ!笑い死ぬ!!
 なんてタイミングで・・・・・・ひっひ・・・・・・・・ぷっ・・・・最高!」

「お前な!」

ギルが本気でティアマトを睨みつけると、周囲の視線がこちらへ集中していることに気付く。

「いやぁ、青春だねぇ?」

それでも微妙に顔が引き攣って笑いを堪えているティアマトの言葉に言った。

「何が」

「別にまだ付き合ってすらいないのに痴話喧嘩って青すぎ・・・・・・ぶっ」

「へいへい。そのまま笑い死んでろ」

その言葉の何が可笑しかったのか、今度は地面で笑い転がるティアマト。
このアマ・・・・・・・・・男子便所に裸で縛り付けてやろうか。







ズーン、と屋上で落ち込んでいる人物がいた。
丁寧にも体育座りでブツブツと呪詛は吐いている。

「・・・・・・・・・何があったのこれ?」

「けっ」

最初にファルが屋上の人物、ロロに気付き様子が変なのでギルに聞いてみたところ、今に至る。
屋上の入り口で合流したジーナは笑顔だが、どこか怖い。

「ふふふ、ギールさん?お姉さまに何かをしましたね?」

「何もしてねぇよ・・・・・・って何だその注射!?」

「安心してください。素直になれる薬です。・・・・・・・・・・・・薬学は苦手ですが」

「待て!今不穏な言葉が聞こえたぞ!安心できる要素ねぇじゃねぇか!」

「・・・・・・・・・ギル、馬鹿だね?」

「へ?」

ファルの静かな罵倒に間抜けな声をあげた。
そしてジーナから視線を逸らしてみるとそこには拳にハートのおっさんのマークが浮かんでいるロロ。

「死になさい!爆熱、ゴッドフィ○ガー!」

「ちょっ!?それいいのかって、まじでやめてください私が悪うございましただからその手を止め・・・・・・・って、
 話聞けよ!ファ・・・・・・ファルシールド!」

ファルを盾にしようと手を伸ばすが、その手は空を切る。

「残念それは残像だよ」

見ると離れたところでジーナと一緒に避難していた。

「あべしっ!?」

駆け巡る衝動。
錐揉み回転をしてギルは地面を転がり、階段から落ちてようやく止まった。
見るに右腕を折っていて重傷のようだが、保健室に行けばすぐに完治するだろう。
便利な世の中だな、そう思い見上げた空に、星が輝いていた。





『かゆ・・・・・・うま』
「・・・・・・・・・どうしたんですか?」
『忘れていたこの感触・・・・・・・・・久々に感じるあいつの存在』
「頭でも打ちましたか?」
『風邪なんだよ実は』
「はぁ」
『それで今日、大学をさぼってパソコンしてる』
「パソコンするぐらいなら大学行っても変わりないのではありませんか?」
『いやぁ、今日はセルフスタディーでも大丈夫な講義なので。とりあえず今回も話に進展なし!
 というより2章自体そういう章です。たまにアウターサイド書いてますが、あれはギルに関与しません。
 ・・・・・・・・・お腹すいた』
「いきなり小説の後書きに何を仰いますか」
『ご飯食べてくる』
「ちょっ、これ後書きですよね!?日記と化してませんか!?」

おひっさっ

おひっさむ!
と、わけわからん挨拶をしたところで謝罪。
ぶっちゃけ実家に帰っていて、更新する気起こらなかったんだ・・・。

そんなわけで久しぶりのARの移転作業。
もうおぼえてねぇよな方、お前も書いてねぇだろ、な方。
ええ、ぶっちゃけ書く速度は鈍足となり・・・・・・ぶっちゃけ飽きt

長編書いてるとよくあることだよね!
一応書いてはいるんだよ?
ただ主従クライマックス(仮)のほうを書いちゃってるからさらに遅いだけで!

どうしてもARのほうは冒険者ものだから成長過程をはぶくこと出来ないんだよねぇ・・・・・・。

さて小説の話はおいといて最近ETにだけROにINしてます。
SSは先週ヒバムおじさんから指輪をもらったくらいで・・・・・・あ、別にいかがわしい意味じゃないよ!
まぁとったSSといえばうちが所属している某ギルドマスターの失言とかしかないからなぁ。
こういうSSは脅・・・・・・・・じゃなくて説得のためにとっておくものだよNE☆

ROにINはまぁ、そのうちー。
使いなれてないノートPCだから影葱でしか狩りできそうにないんだぜ。

あ、取材はー………少なくとも実家にいる間は更新しないと思います

2-15 属性

「よしきた!亡霊三色ポリンを召喚!」

「なっ!?まさかあの時、掃除機ポポリンを見殺しにしたのはその布石だったのか!」

「はっ、まさか。ただ忘れてただけだよ」

「おのれやるなティアマ・・・・・・・・・って忘れてただけかよ!?」

白熱するギルとティアマト、それを興味深く見ているファルにジーナ。
そして一人仲間外れ感があるが、微塵も仲間に加わりたいとは思わないロロ。

「もうやだこの教室・・・・・帰りたいわ・・・・・・」

切実な願いを口にして哀愁を漂わせているロロは精神をすり減らしていた。
2年前、ジーナはダブルダブルをやっていなかったはずなのだが・・・・・・かくも時間というものは非情である。
こうなったら私もダブルダブルをやろうかしら、そう思うがすぐに首を横にふる。
そうなったら負けな気がしたのだ。

「ぐっもーにん!なの!」

そんな時、教室に勢いよく右手を上げてちびっこが入ってきた。
我らが王立学園の校長、トナ校長だった。

「ぐっもーにん、って・・・・・・もう昼すぎてますが?」

「ファル君は硬いの。タメでいいの」

「いえ、こういうことは」

「タメでいいの」

「・・・・・・・・・」

「いいの」

有無を言わさぬトナ校長のオーラに若干押されたファルだが少し考えるように「ふむ」と考えこんだあと、言った。

「馬鹿なんだね?」

「な、なんでなの!?」

「朝と昼の区別もつかないなんて可哀相だね」

「違うの!というか校長に向かってなんたる侮辱なの!これは死刑なのー!
 ってそんな痛い子を見るような目で見ないでなの!」

にゃー!と叫んで自らの顔を手で覆い隠すトナ校長だが、それでもファルの視線は絶対零度を下回っていた。

「トナ校長。なんで遅れたんだ?」

このままでは会話が進まないと感じ取ったギルはファルの代わりに聞いてみたが、
トナ校長はその質問にタラリと冷や汗を流し、口笛を吹きながらあさっての方向を向いた。

「今日は良い天気なの。こんな日は外で思いっきり殺しあ・・・・・・・じゃなくて模擬戦なの。
 ほら、そこの・・・・・・・・・・・・誰だっけなの?」

「トナ校長?なんで遅れたんですか?」

ジーナはゴゴゴゴゴゴとバックに流れそうな雰囲気を持ったトナ校長に指を指されていた。

「なの!?」

「ねぇこのお子ちゃまは何で遅れたんですかね?耳、もぎますよ?」

「痛い!痛いの!答える前にもごうとしないでほしいの!」

「はいはい。話が進まないからあたいが変わるよ。それでトナ校長、今日する事はなぶっ」

ティアマトが話そうと前に出た瞬間、何に足をとられたのか急に転んだ。
顔面から落ちた彼女は痛そうに床を転がっている。

「・・・・・・・・・トナ校長。それで今日する事はなんですか?」

「だからタメでもいいの!ロロちゃん・・・・・・・・・なの?」

小さく首を傾げるその校長の姿は見た目通りだと大変可愛らしいのだがなにぶん、痛い子なのだ。

「今日は簡単な検査だけなの。この魔石で得意な属性を調べて終わりなの」

ゴトリと重そうな音をたてて黒い球状の石が机に置かれる。。

「三色の石とはまた別のものなのか?それ」

ギルが言った三色の石、とは魔法の触媒でよく使われる青い石と赤い石、黄色い石だ。
一般的によく知られている魔石はこれらを指し、一般的であるギルはこれ以外のことを知らなかった。

「なの?ああ、これはちょっと特殊な魔石だから三色の石とはまた別のものなの。
 触れば反応があるから一人ずつお願いなの」

へぇ、と机におかれたその黒い石をギルが警戒心もなしに触るが、まるで粘土かのように指は陥没していった。。

「おおう?や、柔らかいな」

「それは火と相性がいいってことなの。・・・・・・・・・単純である証明なの」

「え?トナ校長今何か言わなかった?」

「気のせいなのさぁ次なの」

そうかなぁ、と呟くギルから魔石を取り上げてロロに渡す。
その瞬間、魔石はもとの球状に戻る。
先程のトナ校長の呟きをしっかりと聞いていたロロは当たってるなぁ、と苦笑しつつ受け取る。
が、その時表情がピシリと固まった。
受け取ったはずの魔石はこれ以上ないほどの柔らかさで手にフィットした。

「火属性なの。はい次なの」

「ちょっ・・・・・・もう一回お願いよ!」

「・・・・・・・・お願いされてるのに命令口調なの。まぁいいの。どうせ変わらないの」

もう一度ポンと渡すが、結果は変わらず手に柔らかい感触を伝えてくる。

「あ、ちなみに一説によるとこれはおっぱいと同じくらいの柔らかさらしいの」

「そんなの知らないわよ!」

というか何だその無駄知識。
どこかやるせない虚脱感を感じつつもトナ校長に魔石を返すロロ。

「・・・・・・・・あれ?なの」

「うん?どうかしたの?」

ファルに渡す直前で何かを思い出したかのように首を傾げ、キョロキョロとあたりを見回す。

「まぁ問題ないの」

「そう?」

ファルが受け取った魔石は表面に波打つように模様が刻まれ、それが動いては融合し、
小さな模様の集まりになりと忙しなく動いている。

「この反応、属性は風なの」

「ふぅん?」

しばらくその魔石を眺めたあと、それを隣にいるジーナに手渡すファル。
すると魔石は受け取ろうとしたジーナは、手に異常な感触が伝わると同時に身を引いた。
バシャア、と大量の水が落ちた音がしたのは魔石からだった。
完全に液状になっている。
しかし地面で広がったその黒い水は落ちた場所に徐除に集まり、やがて黒い石へと戻った。

「えらく早く避けたの・・・・・・とりあえずこの反応は水なの」

「そうですか」

つまらなさそうに返答をしてから椅子に座るジーナ。

「さてと、最後にティアマトちゃんなの」

「あたいの好きな神の名にかけて!」

「・・・・・・・・・なの」

胸をどんと叩いて無意味に自信ありげに佇むティアマト。
その際大きく揺れた胸に羨望を視線を送っているのが女子が一名いるが、とにかくティアマトはその魔石を受け取った。

「へぇ。珍しいの」

「うん?何かな何かな?」

わくわくと玩具をねだるように瞳を輝かせているティアマトに言いづらさを感じつつトナ校長はいった。

「闇なの」

「や・・・・・・・み?え?」

「だから、この棒状になる反応は闇なの」

闇属性。
全世界探しても数人しかいない珍しい属性。
モンスターには結構な数がいるのだが、人間で闇属性と相性がいい者は珍しかった。

「や」

「なの?」

「やったああああああああ!ロキ!やったよ!あたい、闇属性だったんだよ!」

「邪神崇拝かよ!?」

ギルが突っ込みを入れ、ロロが半歩下がる。
オーディン崇拝のロロとしては凄く複雑なものを感じる相手だ。

「え?別にー・・・・・・・崇拝してるわけじゃないけど」

「じゃあロキとお友達感覚?」

「そう!ファルファルは良いこと言うなぁ」

「ファ・・・・・・ファルファル?」

ファルはその捻りのひの字もないあだ名に面食らった。

「そうだよ?他にもファファとか、フルフルとかルフルフとか」

「ま、まぁそれは置いとこうか。トナ校長、今日はもう帰っていいんだよね?」

「なの。本当はあと一人いるはずなんだけど・・・・・・・まぁいいの。じゃあ今日はかいさ──」

「まったああああああああああ」

黒い石を自身の腕輪に収納したトナ校長は机をパンパンと叩いたが、突然の叫び声に固まった。

「・・・・・・・・・あ、アレスなの」

「わいを忘れようったってそうはいきまふゅぇい!?」

「あんたのその特徴的な喋り方、忘れてないよ!」

アレスと呼ばれた独特な話し方をするその人物は教室に姿を見せた瞬間、ティアマトに殴り飛ばされていた。
どうやら実力テスト二日目で二次災害を被ったというティアマトの話の原因はアレスにあったらしい。

「・・・・・・・・・とにかく属性テストなの」

いそいそと腕輪から再び魔石を取り出すトナ校長だが、出した瞬間ティアマトに奪われた。

「な、何するんや!」

「うっさい!これでも食らえ!」

そして棒状化したそれをアレスに向かって投擲、見事に眉間に僅かに刺さった。

「ぎゃあああああああああああああああ!」

そして眉間から発せられる白い光。

「な、なんやこれは!?ま、まさか自爆装置・・・・・・!?」

「・・・・・・・・・・・・珍しいの。聖属性なの」

「え?」

闇属性同様珍しい聖属性であるが、一般人の先入観では聖属性はもっと清らかなイメージがあるのだ。
それをこの頭に角──ちなみに棒だったものは円錐になっており、完全に角になっている──をつけている変な男が聖属性。

「ぶべら!?お、赤いお嬢ちゃん!なんでわいを殴るんや!?」

「うるさいうるさい!あんたなんて死になさい!」

「え、会って早速殺害宣言!?わい、そんな悪いことしたんか?」

「私なんて・・・・・・私なんて・・・・・・どうせ単純馬鹿よ!」

「ええ!?いったい何の話なんや!?」

それから行き場のない怒りを向けられているアレスが完全に沈黙するまで、騒ぎは収まらなかった。








『やほー』
「・・・・・・・・・」
『今回も長かったなぁ・・・・・・・・・やっぱりコメディパートだと書きたいこと沢山だからつい、長くなるな』
「・・・・・・・・・」
『とりあえずレギュラーはこれで一段落。しばらくはこのメンバーが主軸になるね』
「・・・・・・・・・」
『ね、ねぇ?紅茶飲んでないで会話に参加してくれないかな?お兄さん、とても寂しいなー』
「・・・・・・・・・」
『な、泣かないんだから!うわああああん!』

2-14 新キャラはなんか濃くて

既にフィールドは混沌と化していた。
泥沼、といっても過言ではない。
互いが互いを潰しあい、だがお互いの司令官へのダメージは皆無。
片や司令官は炎のように、片や司令官は風のように攻める。

「いやさ、なんでそこに無敵要塞ドロセラ置くんだよ。明らか意味ねぇだろ」

「別に何をしても僕の勝手でしょ?あとここにカードを一枚伏せて終わりかな」

「・・・・・・・・・あんたら緊張感ないわね」

「あ、ファルさん。くそ野郎が嬉しそうな顔してますね。たぶん良いカードです」

「ってジーナも何混ざってんのよ!?」

ギルとファルがやっているのはダブルダブル。
わりと人気のカードゲームで、モンスター達を使って相手を倒す戦略シミュレーションだ。
このゲームにレアカードという概念はなく、ただ強いカードは使う制限が酷いだけだった。
それなら製造元が儲からないんじゃ、と思うがそれは素人考えである。
なんとこのダブルダブル、フィールドにカードを置いたら魔法で立体化するのだ。
一部から魔法の無駄遣いとの言葉があったが、そこはそれ、面白ければいいのだ。
とにかくこのカードにかけられている魔法は続いて200回が限度。
それ以上使うとカードが破れる利益優先主義丸出しのゲームだ。
もちろんそんなことをすればカードの補充等で問題が出るがカード屋でカードを有料で交換してもらえるのだ。
なので予備も合わせてデッキを組めばまず破れることはない。

「パサナ(虚弱体質)を進軍させて直接攻撃だ!」

「スキッドトラップ発動。まさか本当につっこんでくるとは・・・・・」

「のうっ!?俺のパサナ(虚弱体質)が無敵要塞ドロセラに成す術なくやられてる!?」

「触手に攻められる虚弱男子ですか・・・・・・・いいですね」

「・・・・・・・・・はぁ」

この面子、とある教室でカードゲームをしているが時刻は既に10時。

「ねぇ」

「はい?何ですかお姉さま」

「クラスってここで合ってるわよね?」

「と、思いますが。あと集合時刻も既に2時間過ぎてますね」

腕輪に送られてきたクラス表を見て来た4人だが、集合時間の8時から長い時間が過ぎていた。
4人が同じクラスということにファルはどことなく作為的なものを感じ取り、しばらくソワソワしていた。
だが自分達以外来る気配のない状況に痺れを切らしたギルがダブルダブルを出してから今に至る。

「誰も来ないな」

「そうだね。でも呟きながらカードを伏せたら見逃してもらえると思ったら大違いだよ?」

「くっ・・・・・・!」

場は膠着状態。
だがどう見てもファルの優勢だった。
というよりギルは遊ばれていることが明白だ。

コト・・・・・・・

「うん?」

ロロが物音に反応して振り返るとそこには机と椅子だけで誰もいない。

「・・・・・・・・・?」

気のせいか、そう思いギルとファルのゲームを見ようと思って向き直ると、再び物音。
いったい何なのか、そう思いつつ後ろを振り向くと

「ひっ!?」

ミカン箱があった。
いったいいつ、誰が、何のために。

「なっ!?」

「うん?・・・・・・・・・あれ何なんだろうね。もういいや、チェックメイト」

「ちょっ!何そのモンスターハウス!?」

ギルをいたぶるのに飽きたファルがギルに速攻を決め始めるのを尻目にジーナはそのミカン箱をじっくりと見た。
心なしがたまに動いている気がするし、何か小さな穴が空いている。

「まったく何よこのダンボール。中に何が入ってるのよ?」

渋々とそのダンボールに空けられている穴を覗き込むロロ。
そして光が入らないそのダンボールの中から見えたのは・・・・・・・・・一対の目。

「ひゃあああああああああああああああああ!」

「な、何ですかお姉さま!?」

「目!目がっ!こっ、こっち見て・・・・・・!」

しかも先程より明確に動いている。
どうやってかは知らないが、少しずつこちらに確実に動いてきている。

「勝ちっと。それで何なのそれ?」

「ファルさん。あれ、生き物が入っているようですが・・・・・・」

「まぁ人間くらいは入れそうだよな」

ガタガタガタとどんどん震えが大きくなり、いよいよ何かが起きる、そんな緊張感が場を支配した。
ギルはいざという時にダンボールを蹴り飛ばす準備をし、ファルは退路をチェック。
さらにジーナはさりげなく見えないように裾の中でハンドガンを持ち、ロロは絶叫寸前だ。

「・・・・・・・・・!・・・・・・・・・・!?・・・・・・・・・っぷはぁ!」

いったい何が出てくるのかと思えば、中からはおんにゃのこが出てきた。

「なぁんだ、ただの女の子か」

「何納得してんのよ!」

「いやさ、爆弾入ってるよりマシだろ?」

「何よ理屈は!?」

後ろでギャーギャー言い争っている二人を呆れ顔で見て、その出てきた子を観察するファル。
緑のショートヘアのその子は何やら空に向かって拝んでいた。
正直、係わり合いになりたくない部類であった。

「ふ・・・・・・・・・ふふふ。ようやく・・・・・ようやく出られた!感謝だよだよ!」

クルリと振り向いて妖しげな笑みを浮かべる緑子。
その狂気すら帯びた笑みに全力で教室を出て行きたい衝動に駆られつつもファルは聞いた。

「えっと、君は?」

「あたいの名前?やーん!ナンパ?ナンパなの?」

「・・・・・・・・・いやだから名前は?」

「でもダメ!あたいはあたいの信じる神に身を捧げるって決めてるの!」

ダメだこいつ、話が通じねぇ。
ギルに助けを求める視線を投げかけるファルだが、その顔は罵倒してくるロロに向けられており、
微塵もこちらを気にしている様子はない。
最後の希望のジーナは面白そうに自体を静観している。

「それで、名前は何かな?」

「うん?あ、そうだね。あたいはティアマト=ルイド。よろしくね!それであんたの名前は?」

「・・・・・・・・・よろしくティアマト」

微妙に視線を逸らしつつ挨拶をするファル。
名前を言えば何かされるわけではないが、何か教えたらまずい気がする。
ぶっちゃけただの被害妄想だが、ダンボールから出てきた彼女、ティアマトはそれほど奇抜すぎた。

「何自己紹介飛ばしてよろしくしてるんですか。あ、これはファルさんです。私はジーナ。
 あっちで言い争っているのはく・・・・・・じゃなくてギルとロロさんです。よろしくお願いします」

「うんうん。よろしくねファルにジーナ・・・・・・・あ、えい!」

何度も頷くティアマトだが、何を思ったのか手元のダンボールを投げつけた。
射線上にいるのは・・・・・・ギル。

「だからさ、例えばあれがミルクだとするめ!?」

「貴方!昨日あたいのこと助けてくんなかったでしょ!名前覚えてるんだからね!」

「な・・・・・・・・・・・・・・な?・・・・・・・・・何のこと?」

身に覚えのないギルとしては首を傾げるばかりだが、ティアマトはその様子にさらにご立腹なのか床を何度も踏みつけていた。
その時ギルは気付いた。
こいつ、胸でけぇ。
しかし次の瞬間、そんなことは頭から消し飛ぶこととなる。

「昨日あたいが廊下にいたらいきなり水鉄砲で攻撃してきたでしょ!?
 かすった頬から血が出たんだから!というかあれ水なの本当に!?」

「・・・・・・・・・はい?」

「まっ、とぼけちゃって!私誰かが貴方の名前叫んだの覚えてるんだから!ギル、って!」

「待て。何のことだ?」

ギルが本気で困惑しているのを尻目にファルとジーナ、さらにロロは置かれているダンボールを見つめた。
そういえば昨日、こんなダンボールが廊下においてあったような気がする。
さらに言えば水鉄砲で弾が貫通していたような気もする。
3人は無言で顔を合わせ、頷いた。

(((黙っておこう)))

真実は時として残酷だ。
本当の事を言ったところでティアマトの標的がこちらに向かうだけで、言う必要性が3人には感じられなかった。

「それでティアマトでいいかな?何でダンボールを被ってたの?」

「あ、ちょっとファル聞いてくれる?実はさ、これ一昨日くらいの話なんだけど」






「ふん、ふん、ふふーん」

気分よく鼻歌を歌いながら裏庭の花壇で雑草を抜いていくティアマト。
長年放置されていたのか花壇には雑草に類するものしか生えていなく、彼女としては腕が鳴った。
これからあらゆる花を育てるのだ。
なに、時間は卒業するまである。
未来に夢を馳せるティアマトは気付かなかった

「あ、手が滑った」

小さな呟きと共に落ちてきたそのダンボールに。
まるで謀ったタイミングかのようにそれはティアマトに覆いかぶさった。






「何か突っ込みどころ満載なんだけど」

ロロの呟きに「ですね・・・・・・」とジーナは同意するがファルは何かを考え込むように顎に手をあてていた。

「第一よ、外せばいいだけだろ?」

「ふん、それは素人考えだよギル!何とこのダンボール、入ったら何故か出れない!」

「・・・・・・・・え、なんで?」

「いやさ、あたいもその辺よく分かんないんだけど。おかげで昼食を二回も逃しちゃったんだよね。
 一回は出られたんだけど・・・・・・・・・」

一回出られたならなんでまた呪われているみたいなダンボールに入るんだ。
そんな視線に気付いたのかティアマトは話し始めた。






子供が何やら景品がどうのとか言っていた。
よく分からないけど何かのイベントらしい。
ほらさ、「やでー!」とか叫んでいる人が廊下を走っていくし。
あたいもついテンションが上がってその後に続いたのよ。
そうしたらいきなり衝撃が走って気付いたらダンボールの中・・・・・・・・何その微妙な顔?





「・・・・・・・・一度出た方法で出られなかったの?」

「それがね、最初は人に助けてもらったから無理だった」

「なんで再びダンボールに?」

「いやぁ、さすがに忌々しかったからってその辺に捨てるのはよくないねぇ。あっはっはっはっ」

ようするに二度目は自業自得らしい。
そんな中ファルはさりげなくダンボールを腕輪に回収していた。
彼はよくよく思い返してみれば窓からダンボールを落としていた。
窓から見下ろしてみてもダンボールしかないので誰もいないと思い、
後で回収に行けばいいと思っていたが行って見ると誰もいない。
なので今の今まで忘れていたのだが・・・・・・これは言うべきではないだろう。

「ひょっとして不幸体質ってやつか?」

「うん?その辺はわかんないけど、確かちょっと前に港で涼んでたら上から嘔吐物が・・・・・・」

「・・・・・・・・・・ちょっと待て。ひょっとしてそれも一昨日の話か?」

それならばギルには心当たりがある。
お願いだから肯定しないでくれ、そんなことを願いつつ聞いてみるが

「よくわかったね」

「・・・・・・・・・」

ロロは「どうすんのよあんた」と問いかけるがギルは少し考えた後、ギルと同じ選択をした。
すなわち、黙秘権の行使。
ジーナもジーナでダンボールごとティアマトを水鉄砲で貫いていたかもしれないので、ただ笑みを浮かべるだけだ。
まったくうちの幼馴染達は・・・・・・ロロはそう言いかけて口が止まった。

「そういえば昨日は屋上に行こうとしたら誰かに階段から突き落とされたね」

「・・・・・・・・・」

思い返してみるが、そんな記憶は微塵もない。
しかし屋上は普段立ち入り禁止なわけで、そう何人も一日に入るとは思えない。
あの時は周囲の状況なんて見る暇もなかった。
そういえば屋上に出た時、ドアの軋むような音と共に何かが落ちるような音がしたような気がしないでもない。
結論

「私達にできることがあったら何でも言ってね?」

笑顔でなかったことにした。







『めちゃくちゃ長くなったな・・・・・・』
「今日はえらく書きましたね。病気ですか?」
『なんでだよ!?』
「いえ、とうとう黄色い救急車を呼ばなければ、と思いまして」
『いや呼ぶ必要は・・・・・・ってなにその顔!?何うずうずしてんの!?ひょっとして呼びたいだけかこんちくしょう!』
「はい」
『あっさり肯定!?』
「それは置いといてですね。新キャラ出てきましたね」
『あー・・・・・・うん。実は見てのとおり、ちょくちょく話に出てるんだけどね』
「今回でレギュラー入りですか」
『不幸少女はもともと考えるキャラに入ってたからね』
「酷い話ですね」
『まったくだ。それにしても嘔吐物落下は溜まり場の人に見抜かれてたんだけどな。お約束だし』
「お約束でそんな扱いを受けるティアマトさん、可哀相ですね。この外道」
『ひでぇなおい。ま、今回は思いのほか長くなりすぎてもう一人のキャラ出せなかったんだけどな』
「いつもの2倍程は書いてますからねぇ・・・」
『なんだよ。まぁカードゲームに関しては今後もちょくちょく出るかもしれない。
 え?ダブルダブルのルール?んなもん細かく考えてねぇよ。というわけでさようなら!』
「さよならです」

2-13 必需品

違う。
これは夢だ。
現実じゃない。
理解できない。
だってこんなことは・・・・・・




「ギル」

「ん・・・・・・うん?」

「早く起きるんだね。今日はクラスメイトとの顔合わせだよ?第一印象が大事ってね」

聞こえてきた幼馴染の声にゆっくりと意識が覚醒するのを感じ、身体を起こす。
何か凄く嫌な夢を見ていた気がするが・・・・・・微塵も覚えていない。
いつも通り起こしにきたのはファル。
窓を開けるファルを見つつ二度寝をしようとする衝動を抑えつつ時計を見る。
まだ余裕ではあるが日課の鍛錬をするならばそろそろ起きないと不味い時間帯だ。

「ん、んー。ロロはどうしたんだ?」

「どうせ起きないでしょ。まだまだ余裕だからね」

いつもギルとロロを起こしているファルには二人の睡眠癖がよく分かっていた。
二人とも必要があればすぐ起きるのだが、必要がなければどこまでも睡眠には貪欲だ。

「はぁ・・・・・・・・・さてと」

今日も型の稽古をしますか、と呟いて掛けてあるバスターソードを手に取り首を傾げる。

「どうしたの?」

「なぁファル?俺さ、この剣どこで手に入れたんだっけ?」

ふと沸いた疑問。
なんでこんな疑問が沸くのかは分からない。

「・・・・・・・・・。確か君のお父さんの物だったはずだけど?」

「父さんの?」

「というか君の物なんだから僕に聞くって考えはおかしいでしょ」

「それもそうだな」

つい癖でファルに疑問をぶつけてしまうが、彼にだって知らないものは当然ながらある。

「ところでさ」

「うん?」

「今日はちゃんと着替えてよね?」

「当たり前だ!」







「やれやれ」

「あなたは母親ですか?」

「・・・・・・・・・」

部屋に戻ると置いていかれたジーナがいかにも私不満ですと言わんばかりにファルの私物を弄っていた。

「一昨日の実力テストといい・・・・・・もうギルと結婚してはどうですか?」

「あのねぇ」

「ふん」

ジーナはわりとすぐにヘソを曲げる。
もちろんジーナの機嫌を直す方法をファルは心得ているが気が進まない。

「はぁ」

僕、最近溜息ばっかり吐いてる気がする。
そう思いながらとりあえず朝ご飯を作るファル。

「あ、そうそう。お兄様から久々の依頼がきてますよ」

「・・・・・・・・・我にか?」

「他に誰がいるんですか。というか素に戻る程気が進まないんですね」

「・・・・・・・・・」

「ちなみに今夜に魔力紋が届くらしいので」

「うあぁ」

呻き声をあげるファルは心底嫌そうな顔をしながらフライパンに卵を落とす。
朝の定番、ベーコンエッグだ。
程よい油の香りが朝を爽やかにするが、料理している本人の表情は暗い。
そして焼きあがったそれを順番に皿に盛ってから順次腕輪に入れていく。

「しかし便利ですよね。それ」

「空間限定での時間操作か・・・・・・便利になったもんだよね」

腕輪の中に入れた物は基本的に時間の流れが遅い。
しかも空気や光、湿度なんてものはいっさいないので保存食を入れたら100年単位でもつらしい。
間違っても生物は入らないらしいが・・・・・・。

「でも作った料理を入れるのはあんまりよくないんだけどね」

短時間ならいいが、長時間入れるとなると他の収容しているものに匂いが移ったり、妙な液体がついていたりするのだ。

「ま、とりあえずこれをもっていくから先に食べといてくれる?」

「いえ、待ってますよ」

「そう?じゃあ行ってくる」







『バルセンと!』
「ジーナです」
『・・・・・・・・・ノリ悪いね』
「私にそういうの求めるほうがおかしいと、なんで気付かないんですか?馬鹿ですか?」
『ま、それは置いといて』
「すぐに話題逸らしますね」
『とりあえずリクエストきたよ!』
「へぇ。この前のですか?奇特な人もいるもんですね」
『リクエストの人物はずばり、我らがロリ校長ことトナ校長!』
「わー」
『そこ!もっと盛り上げる!』
「えー」
『・・・・・・・・・ま、まぁリクエストがきたのは喜ばしいことだよね。
 ただこれは長期の募集を想定してるので、リクがきてすぐに書くわけにはいかないんだ』
「そして離れていく読者ですね」
『嫌なこというなよ・・・・・・』
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