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主従クライマックス!『タイトル未定』

前書き

これはBALSENがちょっとだけマジになって書いてみたただの小説です。
RO小説ではないので、「ああん?RO小説の書かないBALSENなんてただのタヌキだろ」って人には推奨できません。
タイトルは適等で、まぁ続きは書いたとしても投稿するかは別ですが、それでもいいという方は非常に拙い文章ですが、コーラにポップコーンでもつまみながら不真面目にお読み下さい。
真面目に読むと損します。






誰もが言葉を発さずに静かにその場に座っていた。
しかしその誰もがこれから起こることに同じ未来を予想していた。
一言も喋っていけないのは形式上これが重要な儀式だからだ。
対する彼女はガチガチに緊張しまくって忙しなく視線を彷徨わせている。
金髪ポニテの端整な顔立ち、そしてすらっとしたスタイル、さらに文武両断の彼女の名前は東雲夕菜。
対する俺、朝霧真は静かに目を閉じて正座をし、時を待っていた。
そしてその静かな和室に誰かが入ってきた物音を聞くと目を開け、その人物を見た。

「・・・・・・・・・」

障子を開けて入ってきた白ヒゲのその人物は東雲春樹様。
夕菜のお祖父さんにあたり、東雲家の当主でもある。
春樹様は座っている全員を確認すると一番奥に座り、胡坐をかいた。

「ふむ。真」

真は「はっ」と声をあげて静かに立ち上がった。

「夕菜」

「ひゃ・・・・・・・・・ひゃい!」

高い声をあげて勢いよく立ち上がった彼女を皆は微笑ましいものを見るかのような目で見守った。
春樹様は眉を顰めて静かに問うた。

「して真。決めたか?」

「はい」

「!?シ、シンちゃん・・・・・・・・・」

今日は2月26日。
夕菜の17歳になった日であり、免許皆伝になってから初めての誕生日でもある。

「俺は・・・・・・・・・」

一旦言葉を切り、静かに春樹様を見上げる。

「夕菜を主と認めることは出来ません」











始業式、どこの学校でも校長は長話が好きなのかと思いつつ真は欠伸をした。
校長の話を要約するとこうだ。
新入生に神代学園の生徒らしく接しましょう。
今、孫が反抗期に入っているとか話し始めているが要約するとそんな感じだった。
・・・・・・・・・あ、そこからまた最初にループするんだ。

「真・・・・・・・・・真!おい真!」

うとうとしていると横で退屈そうにしていた男友達の後藤明が声をかけてきた。
こいつはオープン変態で、顔は凄く整っているのだが変態すぎて女子にもてていない人物である。
よくクラスの女子にセクハラとか覗きで袋叩きにされている。

「どうしたんだよ夕菜ちゃん?何か元気ないぞ」

明が心配そうに見るその先にはどこか落ち込み気味の夕菜の姿。

「どうせお前が何かしたんだろ?例えば夜這いしたりとか手篭めにしたりとか・・・・・・・・・・・・じゅるり」

そのシーンを妄想しているのか垂れてきた涎をぬぐってだらしない笑みを浮かべる明。
拒絶反応をおこした周囲の生徒が一歩ぶん離れた。

「何もしてないけど」

「そしてそして風呂場に突入して、やん!真ちゃんえっち!」

「・・・・・・・・・・・・」

明は既に話を聞いていないでトリップしていた。
まぁ問い詰められたところで答えることは出来ないし、出来たとしても茶を濁すだろう。
夕菜の一族は代々何たらっていう超剣術を身に着けており、真の一族は主に仕えて影から支援するんだ。
そして夕菜の東雲家に俺の朝霧家は代々仕えており、今回もまた周囲は俺が東雲家の夕菜に仕えると思ったらしい。
だけど気に入らないことがあった真はそれを拒否、朝霧家を追い出されて今に至る。
こんなことを誰に言えようか、いや言えまい。
朝霧家を追い出したのは真の父で、他の人物はそれを止めたらしいがさすがの現当主の力は強かった。
まぁ朝霧家に関わらず東雲家にも出入り禁止を食らったんだが。
しかし東雲家は朝霧家とまったく逆の構成で怒っていた。
当主の春樹様は「そうか」の一言で解散を命じたが他の重役達からは非難の嵐。
本当の意味で出入り禁止を食らったわけではないのだが使用人に見付かると追い出されるのは間違いない。

「そのおかげで完全に自由になったわけだけどね」

この為に夕菜を拒絶したわけではないが、やはり自由というのは心が躍る。
最悪こうなる事を想定してあの主を決める会議の前に住みか、それにバイト先も見つけていた。
これで毎日夕菜相手に投げられたり殴られたり蹴られたりすることはない。
・・・・・・・・・別にそのことが嫌になって主従を拒否したわけではないのだが。
かくいうわけで俺、朝霧真ははれて自由の身になりました。








「ほげー」

「ゆ、夕菜ちゃん?どうしたんですか?変ですよ?」

東雲夕菜は放心していた。
なんでこうなった、何度もそう自身に問いかけるが答えは返ってこない。
家族同然の付き合いをしていた、いつも一緒にいてくれた真ちゃんが初めて私を拒絶した
東雲家と朝霧家の主従関係は絶対に結ばれるというわけではない。
だが代々主従を続けているともう確定となりつつあって、誰もが真は夕菜と共に生きるだろうと思っていた。
しかしその結果の真の破門。
朝霧家の誰に聞いてもその理由は知らないらしく・・・・・・・・・
いや、一人彼の母親だけが何かを言いたげにしていたが、聞きだせるような雰囲気ではなかった。
私、何か真ちゃんに悪いことした?
思い返してみるがそれらしき事はまったくしていない。
本人に聞き出そうにも前もって念入りに準備を進めていたのか家を追い出された後がまったく分からなかった。
どうしよう・・・・・・・・・もう会えないのかな。
涙がじわりと滲み出し、失意のまま真ちゃんがいたほうを見る。
そう、真ちゃんはいつもこんな感じでやる気がなさそうに、それでいて眠そうに話を聞いて・・・・・・・・・

「って、えええええええええええええええええええ!?」









「ななななな、なんで真ちゃん学校来てるの!?」

朝から呆けていた夕菜が慌てて真のクラスに乗り込んできたのはホームルームが終わった時だった。
冬休みが昨日終わり、登校日である今日は始業式と簡単な報告だけの予定だ。
きっとホームルーム中もこっちにきたくて悶々してたに違いない。
ちなみにだが、夕菜はあの後始業式を妨害したとして生活指導の先生に連れて行かれた。

「なんでって・・・・・・・・・ここの生徒だし」

「いやいやいやいや!そういうことじゃなくてだよ!」

言いたいことは分かっていた。
朝霧家からの支援を失った自分が何故こうやって学校に通っていられるのか。
言ってしまえば、学費とかどうしてんだお前、ということだ。

「うっひょう!夕菜ちゃん萌え!」

「ひぇ!?」

突如沸いた明に夕菜が短く悲鳴をあげてあとずさった。

「落ち着け馬鹿」

「馬鹿!?挨拶しただけなのにこの仕打ち!?」

「・・・・・・・・・」

この馬鹿、本当にそれが挨拶と認識しているのだろうか。
夕菜はそんな馬鹿から最大限距離をとりつつ真に話しかけた。

「えっと、真ちゃん?家とかどうしてるの?」

まず最初に聞かれたのがどこに住んでいるのか、というものだ。
これは今や家なき子になった真のことを考えると誰もが聞くことだろう。

「知り合いのところで泊まらせてもらってる」

「じゃ、じゃあ学費とかどうしてるの?お金、大丈夫なの?」

「知り合いの店で働かせてもらってる」

「あぅ・・・・・・・・・ご飯とかちゃんと食べてる?」

「それは夕菜に言われてもなぁ」

「はうっ!?」

実際何とかという武術一筋でやってきた夕菜の家事能力は最悪だ。
一方東雲家に仕える一族であった朝霧家は武術だけでなく、あらゆる能力を要求される。
その中の一つに料理なんてものもあるので、夕菜に栄養面等で心配されるいわれはない。

「なぁ真」

「何だ明?」

「お前、家出したのか?」

あれ、言ってなかったっけ。
そういや、家を追い出されたことを知っているのは東雲家と朝霧家、それにお世話になってる家だけだな。

「ああ。少し前にな」

実際は家出じゃなくて勘当なのだが、その辺はうちと東雲家のことをよく知らない人間に説明しても分からないだろう。
一般人からすればどこの戦国時代よ、と言われること間違いなしである。

「家出じゃないよ!勘当だよ勘当!」

・・・・・・・・・説明するのが面倒だからあえて訂正しなかったというのに、この娘っ子は・・・・・・・・・。

「は?真、お前何したんだ?確かお前の家って結構由緒ある家だったよな?」

「ただ古いだけだよ。俺、古い考えって性に合わないんだよね」

真らしいな、と苦笑いした明を見てやっぱりかと思う。
明は馬鹿の中の馬鹿であるが、やんわりとこちらが話を誤魔化すとそれに気付いて、それでものってくれる。
おそらく空気や雰囲気といったものに敏感なのだろう。
普段の発言にも関わらずクラスの女子にも敬遠はされているが嫌われていないのはその辺のおかげだろう。
もっとも、そんな明を彼氏にしたいという女子がいるかというのとは別問題であるが。

「ねぇ真ちゃん」

「ん?」

少し考え込んだ真を見て、夕菜は顔を伏せながら彼を呼んだ。
夕菜を見た真は「ああ、くるか」と心の中で呟く。

「何で、私じゃダメだったの?」

それは選んでくれなかった真に大しての憤慨ではない。
選ばれなかった自分への、落胆。
これを言うのはきっと彼女を傷つける。
きっと彼女を怒らせる。
だけど、これを言うのはあの日、彼女と本当の意味で出会った時、既に決まってしまっていた。

「夕菜じゃ駄目だってことじゃない。夕菜だから、駄目なんだ」

「・・・・・・・・・!?」

もしも真が夕菜の欠点をあげ、それを理由に断ったことにすれば彼女は全てをなげうってそれを克服するだろう。
だからこそ夕菜には真の言ったことが理解できなかった。
そもそも彼女はその言われるであろう弱点を克服するつもりで聞いたのだ。
しかし返ってきた言葉は能力どころか自分を指して駄目だといわれた。
それならばどうすれば良い。
否、もし彼の言ったことをそのまま受け止めるならば、もうどうしようもないことになる。

「なんで・・・・・・・・・?」

俯いたまま夕菜は尋ねた。
しかしその声は普段の元気溢れたものではなく、消え入りそうな程小さなものだった。
夕菜の頬を伝う水滴が・・・・・・・・・胸がチクチクしますぜコンチクショウ。
静かに泣き声をあげる彼女を慰めたくなる。
本当の事も言いたくなる。

「・・・・・・・・・」

しかしそれには答えるわけにはいかなかった。
その理由は間違いなく朝霧家への・・・・・・・・・いや、東雲家への裏切りだ。
朝霧家を追い出された自分だが、東雲家を裏切るわけにはいかない。
それがあの後、誰も知らない部屋で自身が春樹様と話した時の誓いだ。
しかし春樹様は笑ってあるゲームを提案した。
そのゲームに勝てれば──を許してくれるとのこと。
許すって何だよ、と心内でつっこみながらも少なからず期待はしているかもしれない。

「夕菜」

だから始めよう。

「・・・・・・・・・?」

きっとどこかにある

「ゲームをはじめようか」

ちょっと変わった学生生活を。
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29時間メンテって長すぎるよね・・・

海賊船から帰って数日、奴はきえていた。
そう、ダメ狸こと所長である。
数日は銭湯に行っていたBALSENだが、そろそろ自宅のドザエモンなんとかしないとなと思い、風呂場に入って驚愕。
そう・・・・・・奴がいないのだ。
その後まぁいいかとスルーして風呂に入り、まったりと仕事をこなしていた。
しかし事件はその時起こった。

「手紙?」

あて先はこの事務所、送り主は・・・・・・マスクド所長。
所長、偽名はもうちょっと考えようぜ。
何か色々取材スタッフに対する文句が書いてあったのだが、分かるように抽出するとこうなった。

『バル君の大切なものは預かった。返してほしければ地図に書かれてある現地のエージェントと合流し、イグドラシル中心部に来い』

・・・・・・・・・現地のエージェント。
どうせ所長だろうし、その場で殴り倒せばいいか。
反省してないようだし。
ついでに取材の準備もして取材スタッフは会社を出た。




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眩しい・・・・・・なんだこれ。
これでもかってくらい自己主張してるな。
異世界の駐屯所であるここと我々の住む世界とを繋いでる場所のようだ。
いったいいつこんなの作ったんだろうか。
・・・・・・・・・目が悪くなりそう。



えっと、確かこの辺のはずだけど・・・・・・・・・あ、釘バットを出しておこう。

(゚Д゚ 三 ゚Д゚)キョロキョロ

・・・・・・・・・いないな。
ん?

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そこには一心不乱に動物を見るメイドさんが一人。
・・・・・・・・・。

他には誰もいないようだが、まさか・・・・・・ねぇ?









1時間たっても所長が来ない。
一方メイドさんはまだ動物を観察していた。
まさか所長、貴様のせいで会社に余裕ないのに新しい人間雇ったなんてほざかねぇだろうな。

「あの・・・・・・」

「はい?あ、やっと来たんですね」

・・・・・・・・・反応されちゃったよどうしよう。
なんでも所長に新しく雇われた子らしく、後方支援が仕事らしい。
といっても取材の手伝いは町のみで、ダンジョンには危険だからついていくなと所長が言っていたらしい。
その優しさを俺に少しでも分けてくれるとありがたいな。

「ところで何でその格好?」

「え?これが制服って聞いたんですが」

所長の趣味かよ

いやまぁ、所長が目的地にいるかもしれないじゃないか。
文句を言うのはこの子にじゃなくて所長にだ。
名前はアリス・・・・・・アリ君でいいや。
さて行こうかと駐屯所を出る時、アリ君は何かよくわからないが付いてくると主張。
君、正直zy・・・・・・・・・まぁやる気に水をさすのもよくないだろう。



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どんだけ時間かけてんだよというツッコミが天から聞こえてきそうだが、たどり着いたのは目的地らしいダンジョンの入り口。
・・・・・・・・・入り口なんだけど、入ったら出られそうにない洞穴みたいなんですが。
いやこうしていても仕方ない。
とりあえず入って・・・・・・・・・って何このドラゴン。
可愛くないんだけど・・・・・・・・・。

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こらそこのアリ君!
現実逃避しない!

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何か根のところに淡く光るなにかが飛んでいる。
吸ったら死ぬとかありそうだな。
取材スタッフは木の上を歩・・・・・・・・・歩き辛いです本当に。

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これは・・・・・・・・・さっきのドラゴンもどきの卵だろうか。
あのドラゴンより明らか体積でかいんだが・・・・・・・・・メスが大きいという種族なのか?
目玉焼き何個分だろうか・・・・・・・・・ジュルリ。
アリ君これもてる?
あ、無理?
デスヨネー

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ああー・・・・・・・・・うん、萌えないなこれは。
って痛い痛い!?
ちょっ、何怒って・・・・・・・・・ってウォーターボール痛い!?

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幼女の方も痛いです本当に!

・・・・・・・・・危うく袋にされるところだった。
というかされた。
えっと、他に何か面白そうなものは・・・・・・・・・って何だあれ!?Σ

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明らか取材スタッフの手に負えるような姿かたちじゃないんですが・・・・・・(゚Д゚;)
そのぶっとい剣できっと真っ二つにされるよね!
えっとパンフパンフ・・・・・・・・・うん、とても危険らしい。
しかもあれで人間型・・・・・・・・・にん・・・・・・げん?
いやさ、人間って足4本もないしあんなに首長くないと思うんだ。

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ドゥイネールというぶっちゃけ魔人を避けつつ次に見たのはリス女であった。

「ぶーん!」

・・・・・・・・・楽しそうっすね。

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これはいったい何の結晶体だろう?
というかこれ天然素材だよな?
木から生えてんぞこれ。

あ、地図にはここが目的地のようだけど・・・・・・・・・・あるのはこれだけだな。

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・・・・・・・・・何のメッセージだこれ?
持ってかえってオフィスに飾r・・・・・・・・・いやアリ君そんな半泣きで断らなくても。
え?これこっち見た?
呪い人形じゃないんだから、そんな馬・・・・・・・・・・よし、今すぐここを出よう。

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どうやらここから地上に戻れそうだ。
結局中に所長はいなかった・・・・・・社員雇っといて、どこいったんだあいつ?
まぁ所長減給してアリ君の給料にするか。

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なんだかんだでアリ君はちゃんとついてこれていた。
だがまぁ、危なっかしいのは確かで一人での探索のほうが楽なのも確かだ。
とりあえずアリ君を仕事場に案内して今回の取材内容をまとめ・・・・・・・・あれ?
会社の鍵が開いてる?

狸取材記『とある海賊船』

先日のブラジリス取材も無事に終わり、オフィスでだらだら過ごしている時、それは起きた。

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「バル君バル君」

一体何の用だ、というか近づいてくんな。

「なんです所長」
「いやね、次の取材地が決まったんだけど」
「は?前回の取材で一ヶ月分の仕事はしたと思いますが・・・・・・・・・?」
「いやそれがね」









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ふっ・・・・・・なんでこんなことになっているんだろうか。
まさか所長が会社のお金をコモドのカジノにつぎ込んでしまったなんて、誰が思うだろうか。
いや、思うまい。
とりあえず所長には栓をした浴槽の中に縛って放置したあと、蛇口を捻っておいた。
今頃ドザエモンになっているだろうが、自業自得だ。

とにかくここはアルベルタから直通で来れる沈没船というものがあるところらしい。
何でも沈んだ海賊船らしいが・・・・・・・・・沈没というより陸に乗り上げた感があるのだが。
とにかく取材をするため取材スタッフは船をおり、現地の住人とコンタクトをとることに

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こんなところでもやっているカプラサービス。
お姉さん、この島でいったい何年過ごしているんだろう・・・・・・。
サービス業も大変である。
しかしいつも思うが、こいつらの倉庫システムどうなってんだ・・・・・・・・・?
ちなみに次の場所に取材に行こうとした時、やたら引き止められた。

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なんでももう一つ沈没船があるのだが、こっちはモンスター的な意味じゃなくて内部が崩れかかっている的な意味で危険で、入れないらしい。
正直ご苦労様です。
え?ついでに一杯やらないかって?
一応取材中なんで・・・・・・・・・いやいやいや、俺の酒が飲めねぇのかって貴方どこの泥酔オッサンですか!?

やたら酒を勧めたがる騎士団所属の方を振り切り、今度は多くの商品に囲まれた商人風の男がいた。
取材スタッフが彼に駆け寄ると、商人は嬉しそうに手を振ったが、話を聞いてみると目に見えて落胆していた。
どうやらこの島は殆ど誰も訪れなく、冒険者を見たのは久々らしい。
商売が成り立たないとぼやいていたが、それなら島から出ればいいのにと思ったが現地人の機嫌を損ねてはいけないので、仕方なく一つだけ商品を買って後にした。

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・・・・・・・・・ん?
あれ、おんにゃのこじゃないか。
何してるんだろう、というかなんでこんな孤島にいるんだろうと思い、取材スタッフは話しかけてみることに。

「お嬢ちゃん?何してるのかな?水に浸かってると、風邪ひくよ?」

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ガンムシかよ
警戒心が強いのだろうか・・・・・・とりあえず飴を与えてみるが、そうすると今度は蔑んだ目で見られた。
・・・・・・・・・帰りにもやってもらおう。

とにかく今回の目的である沈没船に入ることに。

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便所フナ蟲!?
便所フナ蟲じゃないか!
前回のトイレの中といい、なんで俺の前に立ちふさがる!
・・・・・・・・・じゃなくてだな、ごほん。
散乱としているのはおそらく沈没船がこの島に乗り上げた際のものだろう。
まぁそんなことはどうでもいい。
部屋がいっぱい・・・・・・えっと、ここは

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毒キノコに幽霊!?
何そのチョイス!?
この幽霊は・・・・・・・・・船員の幽霊か?

まぁそんなのはどうでもいい。
さくっと除霊して、次の部屋に入る。
・・・・・・・・・・面白そうなものはな・・・・・・・・!?
(゚Д゚ 三 ゚Д゚) キョロキョロ

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金貨をこっそり懐に入れ、次の部屋へ。
どの部屋も似たりよったりだ。
次は・・・・・・・・・下か。

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この辺りから浸水しており、フナ蟲が元気よく動く回っているのが見える。
というかキモイ。
えっと、まずこの部屋はっと・・・・・・・・・

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・・・・・・・・・・。
!?
め、めーでーめーでー!

逃げ切れた・・・・・・船員はアンデッドとなってまだこの船に残っているらしい。
よく考えたらサクッと殺しちゃえばよかったが、まぁ次の機会にするとしよう。
この先は・・・・・・・・船底のほうに通じてるようだ。
何か通路にヒドラが等間隔で沸いてるが、ひょっとして栽培でもしてたのだろうか。
だが甘い!俺には㌧㌦というストーカー取材には適した技g・・・・・・・・

>
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「がばばばっばばばば」

し、浸水してきやがった。
モウヤダカエリタイ。

といっても取材を終えずに帰るわけにはいかなく、さらに奥へと進む。


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えっと・・・・・・・・・これは、ペノっち?
あなた、時計B3にいるんじゃ・・・・・・・・。
って痛い!?痛いよ!?
触手プレイ嫌いじゃないけど対象が俺なのは勘弁!

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貞操の危機に陥りつつどっかの宝物をあさる取材スタッフ。
これは取材のためであって、私利私欲のために回収してるわけではない!

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ゴーストリング・・・・・・・・・略してゴスリン。
ポ○モンみたいなノリで略されてるよね。

これは・・・・・・・・・地獄だな。

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こっそり顔半分だけを水から出し、周囲をうかがう取材スタッフ。
どうやら退路を塞がれたらしい。
しかしここから生還してこそのドラマがあるんだー!

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や、やめてよ苛めないで!
弱いものいじめ反対!






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帰ってきた・・・・・・・いや、やっと帰れる。
今回はあまり良いものが・・・・・・というより、何もなかったな。
本当に取材する価値あったのか・・・・・・?(´・ω・`)
いや、考えまい。
次こそは・・・・・次こそは!

2-12.5『out-side』

隠れ実力テストが終わり、書類に書き残すことも書き終え、各々はこれ以上ないほど脱力していた。
特にファルとジーナに追い回されていたタクとパールの表情は今にも死神が舞い降りてきそうな程であった。
いや、もう一人そんな人物がいる。
フードを被った、道端で「ママーあれ何ー?」「しっ!見ちゃいけません!」を素でやられたことがあるエイボンだ。
最初の実力テストからフルで魔法機械を活用し、生徒達の記録をつけ続けていた彼女は物理的にも精神的にも不味い状態である。

「・・・・・・・・・もうだめ。骨は海に・・・・・・・・」

まるでこれから死ににいくと言わんばかりの台詞を吐くエイボンだが、誰も特に気にしていない。
これは彼女流のストレス発散でもある・・・・・・・・・と信じたい面々だった。

「もう、みんなだらしないなの」

どこから持ってきたのか職員室に似合わぬコタツに入りながら蜜柑を食べるトナ校長。
いったい何をしていたんだこの人は、と言いたいが頬にくっついている生クリームが全てを物語っていた。
唯一表情に変化がないガルマーは瞳を閉じ、静かに壁に寄りかかっている。
暇なら帰ればいい話なのだが、一応これは打ち上げのようなポジションなので帰るわけにはいかなかった。

「あのなぁ・・・・・・あんだけケーキ食っといてそりゃねぇだろ」

「トマトちゃんも嬉しそうに食べてた癖になの」

「俺はそもそも注文すらしてねぇよ!?」

「俺より僕っていったほうがポイントが高いの」

「いらねぇよそんなポイント!」

相変わらずトナ校長の掌の上で踊らされているトマトで、拳は我慢するためなのか震えに震えている。
あと何かもう一押しあれば殴りかかりそうであるが、その辺のさじ加減はトナ校長も心得ているのかニヤニヤするだけだ。

「あ、皆聞いてなの。これが出席簿なの」

「・・・・・・・・・もう出来たんですか」

パールが「相変わらず非常識ですね・・・・・」とついでのように付け加えて呟き、それにタクが同調して頷く。

「ふ、私の能力、体感加速魔法を使えばこんなことくらい平気なの・・・・・!」

「いや、何その魔法。魔法学会に論文として出せば一財産築けそうな魔法だよね」

「タクのものは私の物なの。だから私の物は私の物なの」

「そこでなんで僕を所有することをさらりと宣言するの!?」

ようするに論文にする気はない、ということである。
ともかく効能がどこまであるかは謎だが、そんな魔法を使ってトナ校長はエイボンのデータを元にクラスデータを纏めたのだ。

「A組を担当するトマトちゃんは何時も通り熱血馬鹿達を沈めて欲しいの。その行動力は削らずに」

「へいへい。また熱血馬鹿のクラスかよ」

「文句言わないの。一番それが向いてるの。次にB組を担当するパールには自主性を学ばせて欲しいの」

「わかりました」

「C組のタクにはこのクラスは問題ないから総合的な技術力を上げさせてほしいの」

「ん、りょーかい」

「D組、ガルマーにはこのクラスを戦闘なれさせて欲しいの。どうも稽古のような実戦を想定してない動きみたいなの」

「了解した」

「そして・・・・・・・・・むふふなの」

蜜柑を頬張りつつニヤニヤ笑う彼女に、頭上にハテナマークを浮かべる面々。

「そして私はこのE組を担当するの!」

そして自信満々に言い放ったトナ校長の言葉に、長い、長い沈黙が流れた。
それを破ったのは一瞬だけ表情が崩れたガルマーだった。

「そんな組は存在しなかったはずだが?」

「今年から始めたの」

「トナ校長さー、今回別に生徒が多いとか・・・・・というより去年より少ないよね?」

「だから思いつきなの」

「・・・・・・・・・あの、それでいったいどういう構成で決めたんですか?」

恐る恐るパールが問いかけ、それにさらに自信満々な表情になるトナ校長を見て失言だったかと思ってしまう。

「それはもちろん!面白そうな面々を集めたの!これを見てみるの!」

ばっ、と腕輪から出した書類をコタツを上に素早く置き、同時に蜜柑もとっていく。
まず最初にエイボンがそれを手に取り、ガルマーに回す。
ガルマーは首をかしげた後、言い放った。

「問題児ばかりではないか」

ピシリ、とパールとトマトが固まる。
問題児ばかりを集めてトナ校長はいったい何をしたいんだ。

「ふ・・・・・・ふふふ、面白そうなの・・・・・・否、面白くなってきたの!」

一人で盛り上がっているトナ校長にげんなりとする教師陣であった。




『今回は手短に終わらせるぜ!まずお題はなし!』
『いきなり飛ばしますね・・・・・・』
『そしてアンケートだ!番外編を書いて欲しいキャラがいたら応募してくれ!多ければたぶん書くよ!』
『曖昧ですね。ま、リクエストが来るかどうかって話はどうなのですか?』
『来なければ来ないで俺が楽を出来る!以上!』
『・・・・・・・・・ああ、アホですね?』

2-12 ラブコメってる二人

「いてて・・・・・・・・・ロロの奴、本気で蹴り飛ばしやがったな」

頭をさすりながら、ヒリヒリする擦り傷だらけの顔面に触ったり撫でたりを繰り返す。
ただの気休めだが顔に違和感があり、気になることこの上ないのだ。

「結局色紙、どうなったんだ?」

ふと思い出すのは奪われた景品だ。
広間に向かいつつも考えるが、何も思いつかない。
考えているうちに広間についたギルは、そこにソファーで暇そうに錆びた鍵を弄っているファルを見つけた。
隣ではジーナが紅茶を飲んでおり、その対面に座っているロロは何故か傍目から見て分かるほどソワソワしている。

「おう、ファルとジーナは昼間、何してたんだ?というかロロ、お前よくも蹴り飛ばしてくれたな」

疑問を言うと同時にギルはロロに文句を飛ばした。

「ギ、ギルが失敗するから悪いんでしょ!」

「だからって俺を蹴り飛ばしていいってことにはならないぞ」

「え、えと。ほら、ギルの頭がちょうど良い位置にあったから?」

「なんで疑問系なんだよ・・・・・・はぁ」

ギルの深い溜息に泣きそうな表情になったのをファルはさりげなく確認したが、
特に干渉する気はないようで腕輪から細い糸を取り出して綾取りを始めた。
ファルがいきなり綾取りを始めたので、なぜとギルは疑問に思い聞こうとするとロロが呟くような声でいった。

「・・・・・・・・・ごめんなさい」

「へ?」

「っ!?もう知らない!」

ファルに意識が逸れていたのでロロが何を言ったのかよく聞こえず、間抜けな声をあげたギルだが、
やっちゃダメなことをやったようだ。
ロロは怒って広間から出て行き、後には唖然としたギルが残された。

「なんだよいったい・・・・・・・・・」

聞き返しただけなのにロロはいきなり怒って去っていった。
それがギルの認識で、ふと感じた視線に振り返るとジーナが自身を睨んでいた。

「・・・・・・・・・なんだよ」

「別になんでもありませんよ?ただ青いな、と思いまして」

「はぁ!?」

「ギル」

「なんだよ!?」

ファルの声にギルは怒鳴る勢いで叫び、数名の寮生達がいた広間は一瞬にして静まりかえった。
そこで我に返ったのか、ギルはばつが悪そうに俯いた。

「・・・・・・わりぃ」

「別に構わないよ。それより、追いかけなくていいのかな?ロロ、泣いてたよ」

「え?あいつが?・・・・・・・・・行ってくる」

ファルから聞いたそれに胸に痛みを感じつ、ギルは急いでロロを探しに行った。
広間にいた寮生達は首を傾げるがすぐに興味が失せたのか各々の会話に戻る。

「やれやれ」

「本当にやれやれです。もうあのクソ野郎、本当に馬鹿じゃないですか?」

「言ってもしょうがないと思うよ?ギルだし」

「そうですね。ギルですし。あ。そこの糸はこっちに通したほうが・・・・・」

酷いことを言い合いつつ二人で綾取りを始めた。





「ここもいないか」

息を切らしながらも動く足は止めず、慣れていない寮を探し回る。
見つけられるのかは分からないが、探さないと後悔する。
そんな確信もあり、またギル自身、泣いている奴を放っておけるほど冷血漢ではない。

「まったくどこにいったんだよ」

この寮の構造に詳しくないのはロロとて同じのはずだ。
ならば適等に探せば見付かると思っていたのだが、多少甘かったようだ。
もちろんロロの部屋も探したが、既にいないのは確認済みである。
時間を見てないので分からないが、少なくとも1時間は探しているはずである。
そういえば昔カクレンボをした時、いつも最後まで隠れていたのはロロだった。
そして夕方になっても見付からないロロを見つけるのはいつも・・・・・・・・・

「えっと?」

んー・・・・・・・・・?
思い出すのはまず女性ということ。
あれ、あの人は誰だろう?

ピロリロリン

「うん?」

腕輪に埋め込まれた宝石が点滅しながら軽快な音を鳴らした。
腕を胸前に持っていくと腕輪の上に映像が出る。
冒険者の持つ腕輪の機能の一つで、一般的な通信機能だ。

「ファル?今忙しい・・・・・・」

『ロロの場所が分かったよ』

「本当か!?」

でもいったいどうやって、そこまで考えるがそんなのはどうでもいい。
今はロロに会いに行くのが先決だ。

「それで場所は?」

『うん、屋上にいるみたいだね。ただ屋上のどこかまでは分からないから、そこは自分で頑張ってね』

「おう、恩にきるぜ」

腕を下ろすと同時に通信を切り、見つけた階段を上がっていく。
確か屋上は関係者以外立ち入り禁止と書かれていたはずだ。
もしロロが本当に屋上へ行っているなら、ギルに見つけられないのは当然だった。
立ち入り禁止の札を無視してさらに階段を上がり、ドアを開ける。

「・・・・・・・・・」

声が出なかった。
月明かりで照らされたそこで、彼女は歌っていた。
一瞬だけ分からなかったが、彼女はロロだ。
今はどこか幻想的な雰囲気を漂わせているロロは、知らない歌を歌っている。

「ロロ?」

「へ?ギギギギギ、ギル!?」

「あ、ああ」

幻想的な雰囲気はどこに投げ捨てたのか、今ロロは真っ赤になった顔を月明かりで照らされている。
相当恥ずかしいのか、手を所在なさげに動かしながらもチラチラとギルを見る。

「!?」

その様子に心臓が高鳴り、顔が熱くなるのを感じる。

え、なんだこれ。
ちょっと待て、なんなんだこれ。

内心そのように慌てつつ、真っ赤になったロロから目が離せない。
自身が凝視されているのに気付いたロロはちょっとでも視線を遮ろうと手を前に突き出すが、全然隠せていない。

「え、えっとだな」

「な、何よ・・・・・・」

「そのだな・・・・・・・・・・えっと・・・・・・・・・」

謝って終わり、それだけのはずだった。
だが今はそんなことすら頭から飛び、出てくるのは意味のない言葉ばかり。

「・・・・・・・・・・ギル?」

心配そうにこちらに一歩近づいたロロを見て、ギルはさらに顔が赤くなるのを感じる。
もはやここに留まっているのは無理だと瞬時に判断して

「さっきはごめんな!それじゃ、また明日!」

「あ、ちょっとギル!?」

「ごめん!」

ギルは最後にそう叫ぶと階段を駆け下りていった。
走って自分の部屋に駆け込んだギルがベッドで枕を顔に当て、
ゴロゴロしている姿が部屋に入ってきたファル見られたのは、言うまでもなく恥ずかしかった。





『光の使者キュアブラ○ク!』
『光の使者キュアホワ○ト!』
『ふたりはプリ・・・・・・・』
『いつまでやるんですかこの芝居。というかあなた、男ですよね』
『まぁまぁ。ラブコメやってテンションがおかしいんだよ。きっと』
『はいはい。ところで今回もお題なしですね?』
『・・・・・・・・・。ま、製作裏話でもするかなぁ』
『まともですね』
『今回のお話を作る前に、実はもう一つ話を作ったんだよね』
『ならなんで公開しないのですか?』
『ネタバレすぎて公開したらダメかなぁと』
『相変わらず無計画ですね』
『いや、一応全体の流れみたいなのは考えてあるんだよ。ただ細かいところがまったくなだけで』
『なるほどです。ところでなんで今日は私なんです?』
『うん?』
『ほら、順番的に言えば今度はファルの番じゃないですか』
『・・・・・・・・・君のことが大好きだからさ!』
『はいはい、素直に使いやすいって言えばいいじゃないですか。ま、もうそろそろ幕引きといきますか』
『って仕切られてる!?』

2-11 結末

ギルは静かに深呼吸をした。
これからすることは、あまりにも無謀であることは自覚している。
勝算なんてあって10%程だろう。
しかしまぁ、ないよりはマシだ。
そう思わせる程あの男、ガルマー先生は異常だった。
まるで素手で特級モンスターに立ち向かうような気分だが、少なくとも勝算はある。
問題はファルが来てくれるかどうかだが・・・・・・おそらく大丈夫だ。
そんな気がする。

「美味しいところを見逃すような奴じゃないってね」

あとはどうやってガルマー先生を問題の場所まで呼び寄せるかだが・・・・・・・・・。

「まじでどうしよう」

なんとかガルマー先生を見つけたのだが、本当にどうしようかと思う。
今、ガルマー先生とギルは結構距離が開いているのだがこれ以上近づけば間違いなく気が付くだろう。
実際先程、ギルの傍を気付かずに通っていった生徒が一人哀れにも廊下で寝ている。

「ふむ」

その寝ている生徒に顔を向け、何かを思案するかのように顎に手をあてるガルマー先生。
いったいどうしたのだろう、とギルが思うと急にこちらに視線を向けた。
背筋が凍りつくような感触に捕らわれ、本能の赴くままに全力で走り出す。

「何を企んでいるのかと思ったが、このままでは埒が開かぬようでな。こちらから仕掛けさせてもらった」

「なーっ!?」

あの距離で、それこそ人がかろうじて人だと分かるような距離で気付いていたというのか。

「隠れる時は気配を絶つことだ。出来れば息もだ」

「死ぬに決まってんだろそれ!というか気配消してたぞ!?」

「ふむ。未熟者なのだろう」

いや、あんたがオカシイだけです。
そう言おうとしたがそんな馬鹿なやり取りをしているうちにガルマー先生との距離が徐除に縮まっているのが分かった。
目標の場所は古代魔法研究会の部屋。
あそこは密室だが隠れる場所が多いので、なんとかな・・・・・・・

「あ」

よく考えたらあの距離から気配を読まれたのだ。
密室で隠れられるとは思えない。

「・・・・・・・・・!?」

風きり音が聞こえると同時に大きくサイドステップ。
するとやはりというか、何か黒いものが横をありえない速度で飛来していった。

「・・・・・・・・・」

・・・・・・・・・ロロ、俺はここで死ぬかもしれ

「のうっ!?ガルマーなんでここに!?」

「ふむ?今生徒を排除しようとしているのだが」

「いえ、まず先に彼らをお願いします。ほら、来ましたよ」

「で、でたー!?」

後ろで行われるやり取りに走りながら目を向けるとそこには信じられない光景が。

「・・・・・・・・・ほわっつ?」

そこにはライフルを構えたジーナと外したとび蹴りが壁に当たり、コンクリートを粉砕しているファルだ。
ガルマーは足を止めてファルに対峙し、同時にタクとパールを追いかけていたファルとロロも足を止める。
しかし何故か二人は構えをとらず、不思議そうな表情でお互いの顔を見ている。
ジーナはどこか面白くなさそうにライフルを下ろしていた。

「ふむ・・・・・・キリアか?久しいな」

「・・・・・・・・・あれ?ガルマー?じゃあひょっとしてそっちのはタクとパール?」

驚きの声を上げたのはファルで、同時にギルもその会話が聞きたかったが今はとにかく逃げたい。
ファル、出来ればその化け物を倒しておいてくれと願いつつ、ギルはそのまま逃亡した。






「この間抜け!役立たず!」

「ひ、ひどくねぇか?」

「うっさいこの馬鹿!あんたなんて死ねばいいのよ!」

ガルマー先生を連れてくることなく部屋に帰還したギルを待っていたのは、ロロの溢れんばかりの罵倒であった。

「・・・・・・・・・・はぁ。どうするのよ?本当に」

一通り罵倒したロロであったが、落ち着いたのか現状把握に努めようとするが、表情はいたって不服。
ギルも自分のせいであることを自覚しているのだが、もう手はない・・・・・・と思う。

「せめてファルがいればどうにか・・・・・・ってファルが何かガルマー先生と知り合いらしいぜ?」

「ファルの顔の広さに驚いてても仕方ないわよ。本当に」

それもそうだな、と返して地面に書かれている魔法陣を見つめる。
おそらく術式はこれで合っていると思うのだが・・・・・・かなり不安だ。

「ねぇ、これって何の式よ?こんなの見たこともないわよ?」

「ファルが昔、俺をお仕置きする時に使ったやつなんだけど・・・・・・これを使われると頭がクラクラする」

「よく覚えてるわね・・・・・・・あれ?ファルが私達と会ったのって5年前よね?ギルが引っ越してきた時で。
 なら私も知ってるはずよね。いったい何時の話よ?」

「・・・・・・・・・うん?・・・・・・・・・忘れた」

思い出そうと頭を捻ってみてもギルには何も思い出せない。
そもそもギルがファルに色々と悪戯をしたこともあったし、お仕置きも何度もされたので多すぎて覚えてられなかった。
その中の一つに

「ねぇギル?蟲毒って知ってる?知ってるよね?
 壷の中に蟲を100匹入れて生き残った強い1匹を育てるっていうあれ・・・・・・さて問─い──ギル。
 この──量のム──が─った人が───らいの大きい壷を、これ─ら──どう─────う?」

・・・・・・・・・思い出せないな。
だが何か酷い目に合ったのは確かに覚えてる。
蟲毒の知識はあったので前半は思い出せたのだが後半が思い出せない。
となれば一番古い5年前くらいの記憶なのだろう。

「だけど頭がくらくらする魔法か・・・・・・精神作用系の魔法かしら?」

「さぁ?ただ何度も使われたから覚えてるんだが」

「そんなわけの分からない魔法使わないでよ」

もっともな話だが、これくらいしないとあのガルマー先生には勝てないだろう。
と、思った瞬間ドアが何者かによって蹴破られた。
3人いる・・・・・・しかも先頭にいるのは噂をすれば何とやらの人であった。

「ここにいたのか。君達で最後なのでな。ここで終わらせてもらう」

「・・・・・・・・パール、パール。僕達空気だよね」

「言わないで下さい」

後ろの二人はやる気がないのかげんなりとした顔でガルマー先生に付き従っている。
しかしこれは考えようによってはチャンスだ。
ギルはすぐさま置いてあったポーションを手に取り

「ちょっ・・・・・・待ちなさいギ───」

魔法陣にこれでもかというくらいかけた。

「成功か!?」

ギルが驚きの声をあげ、魔法陣は脈動するかのように地面から浮き上がって緑色の光を放つ。
もともとこれはファルの役目で、ついでに魔法陣がちゃんとかけているかも聞きたかったのだが仕方ない。

「ぬぅ!?」

これにはさすがにガルマー先生も危険を感じたのか、後退しようとして

「・・・・・・・・・あれ?」

プシューとタイヤの空気が抜けるが如く魔法陣は跡形もなく消えた。

「・・・・・・・・・・・・・・・間違っちゃった。てへッペルバ!?」

ギルは後頭部をロロに蹴り飛ばされて床にキスをした。
オヤジにも奪われたことないのに!と、意味の分からない幻聴を聞きつつギルの意識はゆっくりと沈んでいった。







「オヤジにも奪われたことないのに!」
「奪われずに育った一人前になったやつがどこにいる!」
「・・・・・・・・・はい、バルセンです」
「ギルだ。思わずのってしまったな。というかオヤジにキスを奪われて一人前になる男子なんて、やばいだろ」
「言うな。例によって手が暴走しただけだ」
「それにしてもよ、後書きったって書いてるのお前だろ?自虐するってMかよ?」
「失礼な。俺は基本的に脳内キャラを作り出すことが出来るんだ!」
「・・・・・・・・・」
「え、なんで離れるの」
「いや、電波がいるな、と」
「別に脳内人物が頭に住んでるわけじゃないよ!」
「えー」
「なんでそこで残念そうな顔をするんだよ!?」
「ま、今回は特に話題もないようだから適当に終わらすか」
「お前が仕切るな・・・・・・・とまぁ、さすがにレポート書かずに小説書いてるとやばいなって思うな」
「・・・・・・・書けよ」
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